名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

榊山大亮

スティーブ・ライヒはミニマルなのか

Clapping Music 我が名作同も逡巡と試行錯誤の中、このコロナ禍での音楽活動を模索、実行している。在野から世界へという我々の野望は、ただのありふれたキャッチコピーや政治家の公約とは違い、人生と魂をかけた決意と言っても良いものなのだ。こんなことく…

怪異と音楽

某有名幽霊の方 夏も分かりやすいほどにあっさりと過ぎ、秋の只中、一気に涼しくなり、忌まわしきコロナもちょっと小康状態。皆様、ご健康にお変わりはありませんか? なんだか夏があまりにも一気に過ぎていってしまったので、私はちょっとだけ懐かしくなっ…

自然共生と音楽 - レイモンド・マリー・シェーファーに寄せる

冬のカナダ 訃報というものはいつも突然飛び込んでくるものである。カナダの大作曲家、レイモンド・マリー・シェーファーが亡くなった。コロナ禍に世界が揺れる2021年8月14日のことだった。 この時期、人の死の知らせを聞くとどうしても「そのこと」が頭をち…

HIROSHIMA - FUKUSHIMA

原爆投下 8/6は広島に原子爆弾が投下された日である。続いて8/9には長崎にも原爆が投下された。日本人なら誰もが知る痛ましい歴史の1ページである。 そしてこのことが日本を唯一の被爆国とならしめ、平和憲法とともに右に左に様々に語られ、利用されている。…

五輪と音楽

オリンピック まもなく東京オリンピックが開幕する。 コロナ禍で延長されたが、そもそもの開催年であった去年の西暦を変えず「東京オリンピック2020」と称したまま開催されるそうだ。2021年には誰もコロナ禍が収まっているだろうと甘く考えた結果がこの名前…

私達のコンサートのメッセージ

バトンタッチ いよいよその日が近づいてきた。 達成率100%以上となったクラウドファウンディングとういう大きな支援を頂いて、私達のコンサートが始まろうとしている。 前回私のブログの担当週ではそのコンサートからストラヴィンスキーの「春の祭典」、そ…

土俗性と祭儀性について

祭儀 来る6/26にはいよいよ我々名作同のおくる第4回ピアノコンサートがライブ配信される。 nu-composers.main.jp また、これに関わるクラウドファウンディングもおかげさまで達成し、現在ネクストゴールチャレンジとなております。御礼を申し上げるとともに…

「四季を巡る」自作解説④ 榊山大亮「last day of summer for 2 pianos」

last day of summer for 2 pianos 先に行われる名大作曲同好会第4回「ピアノコンサート」。今回はコロナ禍という未曾有の事態にあってオンライン配信でお送りすることになった。 nu-composers.main.jp 他のメンバーも書いていることかも知れないが、配信コン…

我が国の作曲家005 「淸一二」

シリーズ我が国の作曲家 最近は番外編が続いていた本シリーズですが、今回は久しぶりに研究経過発表の意味も込めて「淸一二」について書いてみようと思います。 相変わらずこの作曲家を知る人はごくごく僅かでしょう。そしてその再評価の機運も全く高まって…

酒と女と歌とバラと泪と男?

酒宴 酒と音楽については多くの芸術家が、各界の名士がその官能を同列に語っている。 え?下戸にいわないでくれ? まあそうなんですが、今日はお酒が飲めない人には申し訳ないですが、酒と音楽の官能について、いろいろな曲を聴いて見たいと思います。 そも…

子供のための作品と作曲家の作風について

ピアノ教室 我々作曲家にはふとした瞬間にやってくる依頼がある。それは「子供のためのピアノ曲」というやつだ。事実私も数曲この手のご依頼を受けたことがあるのだが、よくこのジャンルについて考えると、案外難しいものであることが分かる。 -え?簡単に弾…

我が国の作曲家シリーズ「番外編3」

我が国の作曲家シリーズ 皆様あけましておめでとうございます。 旧年中は名作同も新型コロナウイルスの蔓延で思ったような活動ができず、非常に苦しい思いを致しましたが、皆様におかれましては、ご健康にお変わりはございませんか? 中国武漢を発生源とする…

我が国の作曲家シリーズ「番外編2」

我が国の作曲家シリーズ 久しぶりのこのシリーズだが、今回はこのシリーズで取り上げるような忘れられてしまった作曲家でもなければ、無名のままひっそりと消えた作曲家でもない。確固たる仕事と、足跡を残し日本音楽史にその名を刻んだ作曲家2名である。無…

同詩異曲のススメ

天気/草野心平 同詩異曲-つまり同じ詩に別の作曲家が別の曲をつけた音楽のことである。 皆さんは案外この同詩異曲が多く存在しているということを知らないのではないだろうか。 特にPOPSなどではメロ先といって、まずメロディを作ってから歌詞を流し込んで…

マレーシアの今を聴く

マレーシア 我々はマレーシア生まれのコンテポラリー作曲家を何人挙げられるだろうか。 そしてそんなマレーシアの作曲家のなかから、結構な頻度で武満作曲賞を受賞する作曲家が登場してきていることを知っているだろうか。 日本人の悪いところでもあるのが、…

我が国の作曲家シリーズ004 「三谷俊造」

シリーズ我が国の作曲家 名作同の企画連動記事や、大作曲家の追悼記事などでご無沙汰となっていた本シリーズ、久しぶりの今回は三谷俊造を取り上げます。といってもその名前にピンとくる人は極僅かなのではないでしょうか。何よりその作品に触れたことのある…

巨星次々に堕つ -モリコーネ、カプースチン、服部克久、田中利光

鎮魂 長い梅雨がコロナとともに国民に強いストレスを与えている中にあって、中共と米国の緊張は高まり、日本の馬鹿は相変わらず寝ぼけているというとき、世界中から相次いで衝撃的な訃報が届いた。 まもなく梅雨は明け、今度は凄まじい酷暑が列島を包み込む…

「あなたも作曲家になろう」Yo-yoh/DENPAMARU☓榊山大亮

あなたも作曲家になろう 新型コロナウイルス 名作同の企画「あなたも作曲家になろう」では、私はもう一曲参加をさせていただいている。その楽曲は、本企画の公募の中で唯一といってもいい、完全な楽曲として投稿されてきたものであった。そしてそのテーマは…

「あなたも作曲家になろう」ふらったぁ☓榊山大亮

あなたも作曲家になろう 当会の会議でその企画が上がった背景には明らかに中国武漢に端を発する新型コロナウイルスの影響があった。そしてその流行の中、エンタメは次々に中止に追い込まれ、当会の企画もどんどん予定が狂って行ってしまっていた最中だった。…

我が国の作曲家シリーズ「番外編1」

我が国の作曲家シリーズ このところずっと研究しているこのシリーズだが、今回は少し軽めの内容にしようと思う。 これまでは一人の作曲家に絞って、その作曲家についてわかっていることを調査し、できる限り作品表を作るということを眼目において書いてきた…

追悼 クシシュトフ・ペンデレツキ

Krzysztof Penderecki 世界中が中国武漢を発生源とする、新型コロナウィルスによる肺炎に揺れる中、そのニュースは飛び込んできた。去る2020年3月29日に20世紀を代表する作曲家、指揮者のクシシュトフ・ペンデレツキ氏が亡くなったという。時節柄新型肺炎と…

我が国の作曲家シリーズ003 「成田為三」

シリーズ日本の作曲家 皆さんお変わりありませんか?とりわけご健康には留意されておられますでしょうか? まったくひどい世相になったものです、前回の原稿執筆をしていた頃は気にもしていませんでしたが、世の中新型コロナウイルス問題一色となってしまい…

我が国の作曲家シリーズ002 「林松木」

シリーズ我が国の作曲家 お久しぶりです。榊山です。名作同では新作のCDの発表があった関係で、緊急企画をやっておりましたが、皆さんお楽しみいただけましたか? そしてCDはお求めいただけましたでしょうか? ということで、不可解な疫病への不安が社会に満…

我が国の作曲家シリーズ001 「細川碧」

がしょ~ん! 皆様あけましておめでとうございます。どんな年末年始をお過ごしになられましたでしょうか。私はいつものように、酒に酔いしれ、友と語り合う良い時間を過ごせました。本年も名作同を始め、あちこちでしっかりと仕事をしてく気持ちを新たに臨ん…

私とクリスマス ~榊山の場合~

陰陽五行説 ある人には幸せな家族の群像の象徴、ある人にはひねくれた思いを持つに至った元凶の日そして巷には「不安を懐きつつもそれを埋め、あるいはそれから目を逸らしながら」24日、25日を迎える。懊悩と享楽と、愛と欲望のまにまに聞こえる喘ぎ声の協奏…

作曲家の技術 - クリスマスピースを作る

作曲の技術 今日の記事はとても長いので目次を作ってみました。 序文 1.はじめに知っておくこと 2.元にする曲をいくつか選ぶ 3.各原曲の利用特性を知っておく 4.序盤を書く 5.中間部を書く 6.終盤を書く 7.仕上げ あとがき 序文 いつも現代音楽やクラシック…

クリスマスナンバー・クラシック編

メリー・クリスマス 前回今年最後の担当記事と言いましたが、クリスマス特集をやるという会長の意向でカムバックしてきました。どうも榊山です。 時は12月、クリスマスの音が迫ってきますね。 恋人の時間?ミサの時間?サイレントナイト?ホーリーナイト? …

独断で選ぶニュースを音楽で2019

2019年から2020年へ 2019年もあと僅か。 すっかり師走の只中ですが、皆様いかがお過ごしですか? 今年は個人的に大きな転機になった年でしたね。弟子の活躍により、自分のこと以外にものアチコチ飛び回ることが増え、仕事面でも大きな激震があったりとてんや…

授産と音楽教育 - 在野で戦うということ

レッスン風景 音楽というものは、あるいは芸術というものは一般専門的な訓練を要し、一生を捧げた道でその人なりのスタイルを確立し、表現し続けるものであり、それは英才教育に始まる門閥教育の賜物である。 くだらない話である。 芸術というものはそもそも…

音楽のギネス記録?

ギネス 小学校で音楽の基本、つまりは楽譜の基本を習ったときに皆さんは気になりませんでしたか? え?何がって? 音楽のギネス記録ですよ!! f(フォルテ)が2つになるとff(フォルテシモ)になり、さらに3つになればfff(フォルテシシモ)になりま…