名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

現代音楽

シリーズ「ロシア・アヴァンギャルド」 第二回「ニコライ・ロスラヴェッツの合成和音」 ―PCS理論発見の前に同じ基本哲学に気がついた男

シリーズ「ロシア・アヴァンギャルド」 Nikolai Andreevich Roslavets 第1章 問題設定 (Roslavets理論再検討の必要性) 20世紀初頭のロシア音楽においては、調性崩壊以後の音組織の問題が、単なる無調の導入としてではなく、より構造的な音素材の再編として…

シリーズ「ロシア・アヴァンギャルド」- 第1回「スクリャービンのエクスタシー・システム」

シリーズ「ロシア・アヴァンギャルド」 アレクサンドル・スクリャービン― ロシア神秘主義と拡張調性の創造 Aleksandr Scriabin 1. 序論 20世紀ロシア音楽の前衛的展開は、ほとんど例外なくアレクサンドル・スクリャービン(1872–1915)を起点として始まる。…

シリーズ我が国の作曲家009「建依別彦」

シリーズ我が国の作曲家 ・建依別彦(野町二)――二つの名を持つ作曲家を追って この作曲家の名を、最初から知っている人は、おそらく極めて少ないだろう。建依別彦――読み方すら即答できる人は多くないに違いない。ところが、この名の背後には、日本の近代文…

大学の実技試験でオリジナルのコンテンポラリー楽曲を演奏する話。

はじめに 圧倒的な練習不足 作品のコンセプト:『Monologue IV -"ソロ・ユーフォニアム"のための-』 タイトルに込められた「嘘」と「真実」 楽曲のテーマ:『Exhaust』 作曲のアプローチ:技術不足を逆手に取る特殊奏法 1. エア・サウンド (Air Sounds) 2. …

「現代音楽=無調」は本当に過去のものになったのか?

Superscriptio/Brian Ferneyhough 先日本ブログに当会の発起人であるトイドラくんが面白い記事を書いた。曰く、彼は梅本佑利のコンサートを聴き、彼の作風の変遷に触れ、そこで「現代音楽=無調」の時代は終わったと感じたというものであった。 ちなみに、こ…

「現代音楽=無調」という時代の終わり

どうも、トイドラです。 先日、よこはまみなとみらいホールで開催されるコンサート「梅本佑利 音MAD ~デジタル・マキシマリズムと音楽~」を見るため、東京旅行に行ってきました。 梅本佑利と言えば、大変若い新進気鋭の作曲家でありながら、昨今ヨーロッパ…

一緒に聴いてよ、マイナー交響曲(聴き方を変えてみよう編)

ゲームのノリでクラシックを聴こう いやはや暑い。毎年言っていますが現代の夏は異常に暑い。夏は暑くて当たり前とか、節電を考えてなんて言ってたら命が危ないです。しっかり冷やして、感染症対策もなし崩しになった危ない外界とは隔絶した空間で、音楽研究…

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋7

コンテンポラリーの回廊 ご無沙汰しております。当会では持ち回りでブログを執筆していましたが、いままで不定期執筆だった方々が定期執筆に加わっていただいたことで、定期執筆をしていたコアメンバーの負担が軽減され、執筆間隔が長くなりました。いやー嬉…

弦楽四重奏コンサート こぼれ話

弦楽四重奏コンサート 去る3月8日に、名作会の第7回演奏会として、弦楽四重奏に焦点を当てたコンサートが開かれた。 お客様の数こそ課題が残ったが、挑戦的な内容のコンサートに多くご協力を賜り、成功裏に終了することができた。 拙作も書いてから2年の月日…

シリーズ我が国の作曲家007「名倉晰」

シリーズ我が国の作曲家 本編の更新は久しぶりになるこのシリーズだが、今回はきっかけが存在している。と、いうのも先日RMCチャンネルにあげている名倉晰の「気まぐれ」という小品に以下のようなコメントが寄せられた。 --原文引用 @mica0612RMC様、こんに…

fantasma/nostalgia-自作解説

fantasma/nostalgia 時は2023年、コロナ禍が長引き巷にはこれらの対策に疑問を唱える「我慢のできなくなった民」が出現し始め、くちぐちに聴くも虚しい「陰謀論」を言い出していた。 私は基礎疾患者、そして科学の純然たる信奉者としてコロナ対策へのマスク…

我が国の作曲家シリーズ 番外編6 新たに見つかった資料

我が国の作曲家 みなさんあけましておめでとうございます。本年も名作会とその活動にご支援ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。 さて、新年はじめの私の担当回は久しぶりにこのシリーズを書いてみようと思います。というのも、これまで調査不足などでよく…

RMCチャンネル人気動画ランキング2024

RMCチャンネル 暑かった2024年もやっと年の瀬になって一気に寒くなってきましたね。私のブログ担当回も今年最後となりました。 例年その年の最後は名作会との共同研究として続けているRMCチャンネルのランキングです。今年は例年とは違い、夏の自由研究を行…

ベスト・オブ・コンテンポラリー003「田中カレン - その音楽の変遷を聴く」

ベスト・オブ・コンテンポラリー 暑かった夏が長引くこと10月を越え、やっと涼しい秋かと思いきや一気に初冬となりました。私は珍しく風邪を引いてしまいましたが、皆様はお変わりなくお過ごしでしょうか。 さて、なかなか書くのが大変なので進まない本シリ…

実は、音部記号っていっぱいあるんです

音部記号 私達が楽譜に触れるとき、タイトルの次くらいに目に入ってくるであろう音部記号。ト音記号とかへ音記号とか音楽をやらない人々でも教科書なんかで見ましたよね。 でもあんがい音部記号ってたくさんあるんです。 今日はかつて強弱記号色々を紹介した…

mumyo のコンサート「euphoria」レビュー

先日、現代音楽のアーティスト集団「mumyo」による第2回コンサート「euphoria」に行ってきました。 「mumyo」とは、作曲家の山根明季子さん・梅本佑利さん・そしてヴァイオリニストの成田達輝さんの3人で2022年から活動しているグループです。 [お知らせ]m…

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋6

コンテンポラリーの回廊 なんか最近天気荒っぽくないっすか?ネットもすぐ炎上するし、誹謗中傷が当たり前みたいになってきて、なんか殺伐としていますね。そういう行動が良いとは全く思いませんし、匿名性の中から火炎瓶を投げつける輩など、ゴミみたいなも…

私の愛した吹奏楽作品-邦人編1

夏だ、吹奏楽だ。 いつも私といえばアンチ吹奏楽発言をしている「うるさいおぢさん」の一人なのだが、そもそも私自身は吹奏楽部出身だったりする。初めてそれらしきものに触れたのは小学校のクラブ活動で、はじめの楽器はTubaだった。しかしそれまでリコーダ…

ピアノでも弾いてみようかな

ピアノ 私は作曲家・編曲家とともに鍵盤奏者を名乗ることもあるのだけど、実はちゃんとピアノを弾くのは苦手なんですよね。 井口基成先生の系譜にある孫弟子で、母の無二の親友である小宮隆子先生に入試前に師事、桐朋学園入学後は最近お亡くなりになられた…

夜にまつわる東西の怪異

夜 早くも初夏の陽気も終わり始め、梅雨の匂い漂う今日このごろですが、皆様サイド増加傾向のコロナなどに罹らず、お元気に暮らしてらっしゃいますでしょうか。 私は先日、糖尿病と白内障が発覚しましたが、幸いにも薬でのコントロールも効いていて、落ち着…

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋5

コンテンポラリーの回廊 皆様GWエンジョイしましたか? 私はGWは嫌いなので出かけたりしません。人の多いところにわざわざ行ったり、他人と同じ行動しかとれないって正直人間に生まれた意味なくないですか?もっと自分の「好き」を探求したらいいんだと思い…

クラシック音楽という呪い ~ ピアノ小品の出版に寄せて

作曲家のトイドラ、もとい冨田です。 私事ですが、僕のピアノ小品集「夜の窓辺にて」が先日発売されました! 5年前に書いた曲集を改訂し、このたび正式に出版していただけることになったのです。 しれっと榊原副会長の曲も出版されている bridge-score.com …

こどものための音楽における芸術性と大衆性

ピアノ教室の風景 最近もっぱら私の研究題材は「こどものための音楽」である。しかも私はこのブログで同じ題材で一つ記事を書いている。 nu-composers.hateblo.jp 今回はそれをさらに深く研究し、体系化を試みてみたというわけである。 このジャンルの音楽は…

一緒に聴いてよ、マイナー交響曲

オーケストラ 花粉がつらい。なんで杉の乱交パーティーに巻き込まれなければならないのかという根本的な疑問が解けぬまま、毎年巻き込まれ続けている。なんだが、吹奏楽界のくだらない「批評するな騒動」に巻き込まれたのと同じ気分である。 こういうときは…

打楽器アンサンブルのススメ

打楽器アンサンブル 暖冬と言われる今冬、たしかに例年より温かい気がしますが、その分花粉の飛散も早く、ワタシ、すでに苦しんでいます。 それにしても年初から大きな出来事が相次ぎ、先行きが思いやられる立ち上がりになりましたね。本当に災害でお亡くな…

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋4

コンテンポラリーの回廊 皆様あけましておめでとうございます。 旧年中は当ブログ、そして何より名古屋作曲の会と私自身に多くのご指導ご鞭撻をいただき有難うございました。 この会の顧問になって数年、会長も変わり次の局面を迎えた昨年は、残念ながら当会…

RMCチャンネル人気動画ランキング2023

RMC 年々、年末の雰囲気がなくなりもう師走になって私の担当も年内最後になったとは思えない状況です。相変わらず各種感染症は減るどころか、過去にない流行となっていますし、世相も荒れるばかり。嫌なご時世でしたね。今年は個人的にも環境の変化が大きく…

人は鳥に憧れる

鳥 作曲家といっても何も特別なことはなく、単なる人なのだ。だから多くの人と同じように、感動や内発的な表現の対象が偏ってくる。風に何かを感じ、花の匂いに季節を見て、鳥の姿に憧れを抱くのだ。もちろん多くの人と感動のポイントが違ったり、そう言った…

は!? -強弱記号の世界

強弱記号 さて皆さんは楽譜をよく読まれるでしょうか? あるいは作曲行為をするでしょうか。 今はDTMが盛んなのでどんどん薄れてゆく概念に「強弱記号」があります。DTMでは「Velocity」というパラメータに統合されていて、これを適当に弄って調節しますよね…

ヘテロフォニーの死 - 西村朗の訃報に接して

西村朗 2023年、収まらぬコロナ禍の中9/7に大きな訃報が飛び込んできた。我が国を、いやアジアを代表する作曲家、西村朗の突然の死である。私は、久しぶりに、いや一柳先生以来だからそれほどでもないが、思わず「えっ!」と声を上げてしまった。西村先生は1…