名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

芸術

mumyo のコンサート「euphoria」レビュー

先日、現代音楽のアーティスト集団「mumyo」による第2回コンサート「euphoria」に行ってきました。 「mumyo」とは、作曲家の山根明季子さん・梅本佑利さん・そしてヴァイオリニストの成田達輝さんの3人で2022年から活動しているグループです。 [お知らせ]m…

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋6

コンテンポラリーの回廊 なんか最近天気荒っぽくないっすか?ネットもすぐ炎上するし、誹謗中傷が当たり前みたいになってきて、なんか殺伐としていますね。そういう行動が良いとは全く思いませんし、匿名性の中から火炎瓶を投げつける輩など、ゴミみたいなも…

私の愛した吹奏楽作品-邦人編1

夏だ、吹奏楽だ。 いつも私といえばアンチ吹奏楽発言をしている「うるさいおぢさん」の一人なのだが、そもそも私自身は吹奏楽部出身だったりする。初めてそれらしきものに触れたのは小学校のクラブ活動で、はじめの楽器はTubaだった。しかしそれまでリコーダ…

ピアノでも弾いてみようかな

ピアノ 私は作曲家・編曲家とともに鍵盤奏者を名乗ることもあるのだけど、実はちゃんとピアノを弾くのは苦手なんですよね。 井口基成先生の系譜にある孫弟子で、母の無二の親友である小宮隆子先生に入試前に師事、桐朋学園入学後は最近お亡くなりになられた…

夜にまつわる東西の怪異

夜 早くも初夏の陽気も終わり始め、梅雨の匂い漂う今日このごろですが、皆様サイド増加傾向のコロナなどに罹らず、お元気に暮らしてらっしゃいますでしょうか。 私は先日、糖尿病と白内障が発覚しましたが、幸いにも薬でのコントロールも効いていて、落ち着…

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋5

コンテンポラリーの回廊 皆様GWエンジョイしましたか? 私はGWは嫌いなので出かけたりしません。人の多いところにわざわざ行ったり、他人と同じ行動しかとれないって正直人間に生まれた意味なくないですか?もっと自分の「好き」を探求したらいいんだと思い…

新曲「Δ/Replication」が初演されました(出版もあるよ)

大変ありがたいことに、わたくしの新曲「Δ/Replication」が初演されました。 youtu.be 移植していただいたBRIDGE SCOREの佐々木裕健氏と演奏してくれたその息子さん、楽器準備を手伝ってくれたご家族、なんかよくわからない曲を演奏させてくれたピアノの先生…

こどものための音楽における芸術性と大衆性

ピアノ教室の風景 最近もっぱら私の研究題材は「こどものための音楽」である。しかも私はこのブログで同じ題材で一つ記事を書いている。 nu-composers.hateblo.jp 今回はそれをさらに深く研究し、体系化を試みてみたというわけである。 このジャンルの音楽は…

一緒に聴いてよ、マイナー交響曲

オーケストラ 花粉がつらい。なんで杉の乱交パーティーに巻き込まれなければならないのかという根本的な疑問が解けぬまま、毎年巻き込まれ続けている。なんだが、吹奏楽界のくだらない「批評するな騒動」に巻き込まれたのと同じ気分である。 こういうときは…

打楽器アンサンブルのススメ

打楽器アンサンブル 暖冬と言われる今冬、たしかに例年より温かい気がしますが、その分花粉の飛散も早く、ワタシ、すでに苦しんでいます。 それにしても年初から大きな出来事が相次ぎ、先行きが思いやられる立ち上がりになりましたね。本当に災害でお亡くな…

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋4

コンテンポラリーの回廊 皆様あけましておめでとうございます。 旧年中は当ブログ、そして何より名古屋作曲の会と私自身に多くのご指導ご鞭撻をいただき有難うございました。 この会の顧問になって数年、会長も変わり次の局面を迎えた昨年は、残念ながら当会…

RMCチャンネル人気動画ランキング2023

RMC 年々、年末の雰囲気がなくなりもう師走になって私の担当も年内最後になったとは思えない状況です。相変わらず各種感染症は減るどころか、過去にない流行となっていますし、世相も荒れるばかり。嫌なご時世でしたね。今年は個人的にも環境の変化が大きく…

人は鳥に憧れる

鳥 作曲家といっても何も特別なことはなく、単なる人なのだ。だから多くの人と同じように、感動や内発的な表現の対象が偏ってくる。風に何かを感じ、花の匂いに季節を見て、鳥の姿に憧れを抱くのだ。もちろん多くの人と感動のポイントが違ったり、そう言った…

ヘテロフォニーの死 - 西村朗の訃報に接して

西村朗 2023年、収まらぬコロナ禍の中9/7に大きな訃報が飛び込んできた。我が国を、いやアジアを代表する作曲家、西村朗の突然の死である。私は、久しぶりに、いや一柳先生以来だからそれほどでもないが、思わず「えっ!」と声を上げてしまった。西村先生は1…

知られざる東欧シンフォニズムの系譜

東欧諸国 私には交響曲は長すぎる。しかし年に何度か交響曲を欲する時期があると数回前の記事でも書いた。 またやってきてしまった。 ちょっと収まっていて、前回は重い論文的な記事などもあげて、興味は中田喜直などの研究に向いていた。 しかし来てしまっ…

RMCチャンネルとリアルなピアノ演奏の関係

四分音ピアノ 私の個人研究と名古屋作曲の会の活動を繋げ、協力という形で運営していただいているYouTubeチャンネル「RMC」は、このブログの読者の皆様ならすでに登録していただいていることと思う。 基本的には今は日本の作曲家に焦点を当て、忘れられたり…

無意味/有意味の螺旋 ~音楽の価値に迫る新提案~

お久しぶりの冨田です。 久々にブログを書きます 最近、音楽における「意味」について考えていました。 意味とはつまり、「その音楽がこの世に存在する意義」のことです。 作曲をするうえで、存在意義のない曲を書くのはツラいですからね。 音楽における意味…

たまには交響曲、聴きませんか?

オーケストラ配置図 私は元々長大な曲、特にドイツ本流のブラームス、ワーグナーやブルックナーが苦手だったりする。本流の重厚さに胸焼けがするのと、ブルックナーなどはそのロマンティシズムへの共感ができないという個人的な理由だ。なのであまり「交響曲…

ポップスとの安易な結婚?

ライブハウス クラシックであること、芸術音楽であることとポップスであること、商業音楽であることは相反することなのだろうか。 私たちはこの問題に大昔から取り組んできた。 例えばルネサンス期にだって世俗音楽を取り入れたものが良いのか悪いのかなど、…

坂本龍一の死と彼の偽オリエンタリズム

坂本龍一 去る2023年4月上旬、コロナ禍も下火の春にそのニュースは国民に飛び込んできた。教授こと坂本龍一が3月28日に大腸がんに倒れ亡くなったと。 ある世代にとっては志村けん同様、彼の死も一つの原風景の消失であろうし、思想を同じくする者にとっては…

我が国の作曲家シリーズ 番外編5 成田為三の楽曲発見!

シリーズ我が国の作曲家 新型コロナが低調になる中、梅毒、サル痘に続き、マールブルク病、鳥インフルエンザの人への感染といったように、令和という時代は本当に感染症の時代となってしまいました。恐ろしいやら、以前の生活が懐かしいやら思いは複雑ですが…

ロマン好きへの手紙 -ラトビアの天才三兄弟

ラトビア 日頃現代音楽の普及と理解に筆を走らせて少しでも力になろうとしていますが、たまにはロマンティックな作品を聴きたいという声にも応えなければと思うこともあります。しかし研究の進んだジャンルを私が取り上げることにはあまり意義がないとも感じ…

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋3

コンテンポラリーの回廊 皆様あけましておめでとうございます。旧年は三の酉ということもあり、SNSではたびたび炎上、バカばかりが雨後の筍がごとく現れ切っても切ってもきりがない実に不毛な時間を多く経験しました。しかしその中から拾ったものは大きく、…

RMCチャンネル人気動画ランキング2022

RMC 皆様、今年も押し迫ってまいりました。流行病がちっとも収まらない中、ノーマスク批判をするとすぐ炎上するようなクソな世相をあざ笑いながら、今日も完全防備の生活をしています。 さて2021年ランキングは今年の年初に発表しましたが、今年は年内にラン…

コンクール受賞者を追う 第1回日本音楽コンクール

コンクール本選演奏 続くコロナ禍のなかで音楽というコンテンツ自体にも、喜ばしい方向ではない変化が出てきている。その一つに作曲コンクールが挙げられるだろう。通常作曲コンクールは譜面審査を抜けた本選で、その作品をオーケストラが演奏し、聴衆と審査…

様々な協奏曲①

協奏曲 皆様は協奏曲と言うと何を思い出しますか? ・ピアノ ・ヴァイオリン ・チェロ 確かに王道ですし、名曲も多いですよね。これは作曲家の目からするとこれらの楽器がオーケストラを伴奏に従えたときに映える楽器だからなのだろうと思います。 しかし楽…

オケコンのススメ

オーケストラ 皆さんは「協奏曲」と言ったらどういう形態を思い浮かべるでしょうか。 -ソリストが前にいて技巧的な演奏をする後ろでオケが伴奏をする音楽 そうですね。ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲とたくさんの協奏曲があります。中には変わった協奏曲…

ベスト・オブ・コンテンポラリー001 「マリン・ボングを聴く」

Best of Contemporary さて今回から始める新シリーズは、すでに進行中の「俺の視聴部屋」シリーズとは違い、もう少し専門的に一人の作曲家を掘り下げてみようと言うものである。もちろんアイキャッチとシリーズ名は某FM局の某番組のパロディである。 記念す…

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋2

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋2 さて今回も世界中の新しい音楽を、この遅れきった国日本に紹介してこうではないか。JAPANがどうのCool Japanなんて本当にバブルの亡霊まだいたのと言う感じで、口にするのも恥ずかしいというものだが、まあどうやら文…

シリーズ我が国の作曲家006「栗原泰」

我が国の作曲家 この研究をしているとしばしば出会うのがほとんど資料が残っていない、もう存在を肯定することも難しいという作曲家である。 そんな作曲家の書いた「楽譜」がと登場してしまうと、誰かのペンネームでない限りその作曲がいた事になってくるの…