名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

現代音楽

HIROSHIMA - FUKUSHIMA

原爆投下 8/6は広島に原子爆弾が投下された日である。続いて8/9には長崎にも原爆が投下された。日本人なら誰もが知る痛ましい歴史の1ページである。 そしてこのことが日本を唯一の被爆国とならしめ、平和憲法とともに右に左に様々に語られ、利用されている。…

三善晃のイカれた合唱曲5選

みなさん、合唱曲といえばどんな曲を思い浮かべますか? 多くの中学や高校では合唱コンクールがあるでしょうから、「コスモス」とか「青葉の歌」、「YELL」とかが定番かも知れませんね。 が。 「合唱曲ってキレイで感動するよね~~」 そう思っているアナタ…

五輪と音楽

オリンピック まもなく東京オリンピックが開幕する。 コロナ禍で延長されたが、そもそもの開催年であった去年の西暦を変えず「東京オリンピック2020」と称したまま開催されるそうだ。2021年には誰もコロナ禍が収まっているだろうと甘く考えた結果がこの名前…

自作曲あけすけ解説シリーズ③「夜の窓辺にて」~楽曲編その2~

~前の記事~ ピアノ小品集「夜の窓辺にて」 /冨田悠暉 - YouTube 曲のタイトル 前回では、「あつくって ねむれない」まで解説しました。 今回はその続きいってみましょう。 【もくじ】 街のからすの守り唄 好きな子ができて…… 母さんが ねずに ないてる よ…

自作曲あけすけ解説シリーズ②「夜の窓辺にて」~楽曲編その1~

~前編~ 気づけば。もう6月も中旬に差し掛かろうとしています。来る6/26、名作同は1年ぶりにコンサートを挙行するわけでして、今はその準備に追われております。そうわけで、ブログの更新が1週間遅れたことはご勘弁を……と弁解させてもらったところで、今回…

土俗性と祭儀性について

祭儀 来る6/26にはいよいよ我々名作同のおくる第4回ピアノコンサートがライブ配信される。 nu-composers.main.jp また、これに関わるクラウドファウンディングもおかげさまで達成し、現在ネクストゴールチャレンジとなております。御礼を申し上げるとともに…

自作曲あけすけ解説シリーズ①「夜の窓辺にて」~ライナーノーツ編~

私たち名大作曲同好会は、芸術に向き合いながら表現を模索する仲間たちを募集しています!!! 芸術を磨きたい方、発信の場を探している方、芸術家を応援したい方、私たち「名作同」の会員になってみませんか??? 気になる方はHPから気軽にお問い合わせあ…

「四季を巡る」自作解説④ 榊山大亮「last day of summer for 2 pianos」

last day of summer for 2 pianos 先に行われる名大作曲同好会第4回「ピアノコンサート」。今回はコロナ禍という未曾有の事態にあってオンライン配信でお送りすることになった。 nu-composers.main.jp 他のメンバーも書いていることかも知れないが、配信コン…

我が国の作曲家005 「淸一二」

シリーズ我が国の作曲家 最近は番外編が続いていた本シリーズですが、今回は久しぶりに研究経過発表の意味も込めて「淸一二」について書いてみようと思います。 相変わらずこの作曲家を知る人はごくごく僅かでしょう。そしてその再評価の機運も全く高まって…

スペクトル学派の技法 初級編②

~前回~nu-composers.hateblo.jp 今回は、実際にスペクトル学派の技法を使ってどのように作曲するのか、自作曲の解説を通してお教えします。 【もくじ】 「変調」で素材を増やす 変調とは スペクトルの弱点、それは―― 次の曲に向けて 「変調」で素材を増や…

スペクトル学派の技法 初級編①

音楽は時代と共に変化しています。 その変化には2つの側面があって、それは文化的な変化と技術的な変化。 つまり、時代の流れの中で過去の価値観が新しい価値観に塗り替えられていくのが前者、 技術が発展して昔できなかったことができるようになるのが後者…

子供のための作品と作曲家の作風について

ピアノ教室 我々作曲家にはふとした瞬間にやってくる依頼がある。それは「子供のためのピアノ曲」というやつだ。事実私も数曲この手のご依頼を受けたことがあるのだが、よくこのジャンルについて考えると、案外難しいものであることが分かる。 -え?簡単に弾…

個人的音楽が芸術なら、青木龍一郎も芸術家ではないのか ―「HASAMI GROUP=現代音楽」説―

”現代音楽” 個人主義の台頭 HASAMI GROUPに見る個人主義 1.ありがとう 2.てて様 3.景色がほしい 総括 HASAMI groupは現代アートではないか ”現代音楽” 現代音楽という言葉ができてから、いったいどれほど経ったのだろうか。今様色が今や今様ではなく、…

我が国の作曲家シリーズ「番外編3」

我が国の作曲家シリーズ 皆様あけましておめでとうございます。 旧年中は名作同も新型コロナウイルスの蔓延で思ったような活動ができず、非常に苦しい思いを致しましたが、皆様におかれましては、ご健康にお変わりはございませんか? 中国武漢を発生源とする…

我が国の作曲家シリーズ「番外編2」

我が国の作曲家シリーズ 久しぶりのこのシリーズだが、今回はこのシリーズで取り上げるような忘れられてしまった作曲家でもなければ、無名のままひっそりと消えた作曲家でもない。確固たる仕事と、足跡を残し日本音楽史にその名を刻んだ作曲家2名である。無…

同詩異曲のススメ

天気/草野心平 同詩異曲-つまり同じ詩に別の作曲家が別の曲をつけた音楽のことである。 皆さんは案外この同詩異曲が多く存在しているということを知らないのではないだろうか。 特にPOPSなどではメロ先といって、まずメロディを作ってから歌詞を流し込んで…

悪魔の第七旋法 "ロクリア" の封印を解く 最終話「実用と譜例」

前回までで、ロクリア旋法がだいぶ実用的ということが分かっちゃいました。 ここまできたら、後は作曲するだけ。というわけで、僕が実際にTLTを用いて作曲したピアノ曲集、「夜の窓辺にて」からいくつか譜例を見てみましょう。 【もくじ】 譜例1:「あめん…

マレーシアの今を聴く

マレーシア 我々はマレーシア生まれのコンテポラリー作曲家を何人挙げられるだろうか。 そしてそんなマレーシアの作曲家のなかから、結構な頻度で武満作曲賞を受賞する作曲家が登場してきていることを知っているだろうか。 日本人の悪いところでもあるのが、…

追悼 クシシュトフ・ペンデレツキ

Krzysztof Penderecki 世界中が中国武漢を発生源とする、新型コロナウィルスによる肺炎に揺れる中、そのニュースは飛び込んできた。去る2020年3月29日に20世紀を代表する作曲家、指揮者のクシシュトフ・ペンデレツキ氏が亡くなったという。時節柄新型肺炎と…

我が国の作曲家シリーズ002 「林松木」

シリーズ我が国の作曲家 お久しぶりです。榊山です。名作同では新作のCDの発表があった関係で、緊急企画をやっておりましたが、皆さんお楽しみいただけましたか? そしてCDはお求めいただけましたでしょうか? ということで、不可解な疫病への不安が社会に満…

音楽のギネス記録?

ギネス 小学校で音楽の基本、つまりは楽譜の基本を習ったときに皆さんは気になりませんでしたか? え?何がって? 音楽のギネス記録ですよ!! f(フォルテ)が2つになるとff(フォルテシモ)になり、さらに3つになればfff(フォルテシシモ)になりま…

月の光ものがたり

月 日本には月を楽しむ風情ある文化があります。「中秋の名月」「十六夜」「朧月」月にまつわる言葉もたくさんあって、どれもとても雰囲気がありますね。 そういえば今日は今年の中秋の名月に当たるそうですね。 月を見あげて様々に思いを巡らせるのは日本人…

ノイズと音楽の間に~チェルノウィンの系譜

Chaya Czernowin 彼女の名はChaya Czernowin、ハーバード大学の教授である。1957年にイスラエルに生まれ、音楽の道へ進んだ。今世界で最も権威ある作曲家である。今回は最新の現代音楽シーンの中核である彼女を中心に書いてみようと思う。はじめに断っておく…

ちょっとだけ覗く現代音楽 - 歴史編2 百花繚乱の時代へ

キノコおじさん 前回はキノコおじさんの登場までを簡単に振り返りました。 ここまでを纏めてみると次のように言えると思います。 ①調性音楽の歴史が続いている ②調性を壊したくなる ③調性の代わりの原則を見つける ④全部計算で縛ってみる ⑤だるいから好き勝…

アイスランドの二人の女性作曲家を聴く

アイスランド アイスランドの作曲家と言って数人の名前を挙げられる人はクラシックフリークでもかなりの通だろう。 実にアイスランドのクラシックの歴史はまだまだ短く国歌を書いたことでも知られるSveinbjörn Sveinbjörnssonが生まれたのが1847年で古く最も…

ちょっとだけ覗く現代音楽 - 歴史編1 ジョン・ケージ登場まで

現代音楽って聞いて何を思い出しますか? 一般的な現代音楽のイメージ ・難しい!・音楽に聞こえない!・吐き気がするっ!・笑っちゃうwww・真面目に何やってるの?・どうしてこうなった?・あれでお金もらうの?・詐欺にはならないの? ……………す、すいません…

タイトル考 ~芸術家の苦悩の果に~

タイトルを考える |タイトルとは 芸術家にとって最も大切かつ最も厄介な問題が 「タイトル」 である。 熟慮に熟慮を重ね、言葉を手繰り寄せ、 自作を表現するにふさわしいものを撚る。あるいは至極適当に意味もなく。色々なスタイルはあれど、 タイトルを付…

自作解説「塑像 ~オルガニート独奏のための~」

塑像 |作曲動機 「オルゴールのコンサートがしたい」 会長のレッスン中の一言がこの曲を書く動機の最も原初のものであるのは間違いない。 トイドラは私の作曲の弟子である。 そして彼は現代芸術に理解を示し 類まれな音楽への才能を武器に 新たな音楽の地平…