名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

作曲法

打楽器アンサンブルのススメ

打楽器アンサンブル 暖冬と言われる今冬、たしかに例年より温かい気がしますが、その分花粉の飛散も早く、ワタシ、すでに苦しんでいます。 それにしても年初から大きな出来事が相次ぎ、先行きが思いやられる立ち上がりになりましたね。本当に災害でお亡くな…

は!? -強弱記号の世界

強弱記号 さて皆さんは楽譜をよく読まれるでしょうか? あるいは作曲行為をするでしょうか。 今はDTMが盛んなのでどんどん薄れてゆく概念に「強弱記号」があります。DTMでは「Velocity」というパラメータに統合されていて、これを適当に弄って調節しますよね…

坂本龍一の死と彼の偽オリエンタリズム

坂本龍一 去る2023年4月上旬、コロナ禍も下火の春にそのニュースは国民に飛び込んできた。教授こと坂本龍一が3月28日に大腸がんに倒れ亡くなったと。 ある世代にとっては志村けん同様、彼の死も一つの原風景の消失であろうし、思想を同じくする者にとっては…

「音楽ガチ分析チャンネル」の紹介 ~YouTuberへの問題提起~

どうも、名作会会長のトイドラこと冨田です。 僕は最近、YouTubeで「音楽ガチ分析チャンネル」を開設しました。 ポップス、クラシック、ジャンル問わずいろんな音楽を理論分析するチャンネルです。 そんな音楽分析でいいのか で、「なんでいまさら???」と…

〈作曲ものまねシリーズ〉#4 モーリス・ラヴェル

どうも、名作会会長の冨田です。 自分は今年度大学を卒業してから、作曲家として活動すべくインプットとアウトプットを重ねる日々を送っております。 この連載は、クラシックの大作曲家たちの作風を研究し、ものまねで一曲書いてみようという趣旨です。 4回…

〈作曲ものまねシリーズ〉#3 フランツ・リスト

どうも、名作会会長の冨田です。 自分は今年度大学を卒業してから、作曲家として活動すべくインプットとアウトプットを重ねる日々を送っております。 この連載では、今までベートーヴェン、ショパンの作風をものまねして一曲ずつ新しい曲を作ってみました。 …

〈作曲ものまねシリーズ〉#2 ショパン

どうも、名作会会長の冨田です。 自分は今年度大学を卒業してから、作曲家として活動すべくインプットを重ねる日々を送っております。 そんな研究成果を生かし、前回はベートーヴェンの作風をものまねして一曲作ってみました。 今回はピアノの詩人・ショパン…

〈作曲ものまねシリーズ〉#1 ベートーヴェン

どうも、名作会会長の冨田です。 自分は今年度大学を卒業してから、作曲家として活動すべくインプットを重ねる日々を送っております。 「インプットを重ねる」というのは、具体的にいうと優れた作曲家の曲を分析して作風を真似してみるということです。 実際…

5thコンサート曲解説-組曲「新栄」/なんすい

なんすいです。こんにちは。 春も麗らかに、過ごしやすくなってきましたね。 お花見とかしました? 定番の桜も綺麗だけど、私はチューリップが好きです。 あとこないだミツマタの群生地に行ってきたんですけど、それが凄く綺麗でしたね。 うん、綺麗だ。花は…

ヤバい変拍子の世界

▽この記事をもとにした動画▽ www.youtube.com 今日は変拍子の話をしましょう。 「あーハイハイ、5/4拍子とかね?」 と思ったそこのあなた、僕も少し前まではその程度の認識でした。 しかし、世の中にはもっとはるかにヤバい拍子の曲が存在します。 この記事…

自作曲あけすけ解説シリーズ③「夜の窓辺にて」~楽曲編その2~

~前の記事~ ピアノ小品集「夜の窓辺にて」 /冨田悠暉 - YouTube 曲のタイトル 前回では、「あつくって ねむれない」まで解説しました。 今回はその続きいってみましょう。 【もくじ】 街のからすの守り唄 好きな子ができて…… 母さんが ねずに ないてる よ…

自作曲あけすけ解説シリーズ②「夜の窓辺にて」~楽曲編その1~

~前編~ 気づけば。もう6月も中旬に差し掛かろうとしています。来る6/26、名作同は1年ぶりにコンサートを挙行するわけでして、今はその準備に追われております。そうわけで、ブログの更新が1週間遅れたことはご勘弁を……と弁解させてもらったところで、今回…

【音楽理論】進捗発表①(基本的な定義:音空間~スケール)

こんにちは!なんすいです。 最近、研究っていうほどではないけれど和声理論で考えていることがあって(近々ちゃんとした形で出すつもりです)今回はその導入部分を記事にします。 ちょっとだけ数学っぽい話になります 離散的音空間 導入部分でやっているの…

自作曲あけすけ解説シリーズ①「夜の窓辺にて」~ライナーノーツ編~

私たち名大作曲同好会は、芸術に向き合いながら表現を模索する仲間たちを募集しています!!! 芸術を磨きたい方、発信の場を探している方、芸術家を応援したい方、私たち「名作同」の会員になってみませんか??? 気になる方はHPから気軽にお問い合わせあ…

「四季を巡る」自作解説③ 榊原拓「星色の水面」

我々は、かつての四季を失いつつあるだろう。 こんばんは。榊原です。センセーショナルな見出しを書いてしまいました。さて、今回はピアノコンサート用に書き下ろした曲「星色の水面」について書きます。 これは楽譜の表紙の一部 過去の記事にも書きましたが…

「四季を巡る」自作解説② 冨田悠暉「巡るものたちの輪舞曲」

どうも、冨田です。 ちょっと前までトイドラと名乗っていましたが、最近はアート活動の時には本名で通すことにしています。 冨田悠暉フェイス そんなことより、コンサートですよコンサート。 あれは正直面白い企画になりました。 ぶっちゃけて言うと、コンサ…

スペクトル学派の技法 初級編②

~前回~nu-composers.hateblo.jp 今回は、実際にスペクトル学派の技法を使ってどのように作曲するのか、自作曲の解説を通してお教えします。 【もくじ】 「変調」で素材を増やす 変調とは スペクトルの弱点、それは―― 次の曲に向けて 「変調」で素材を増や…

スペクトル学派の技法 初級編①

音楽は時代と共に変化しています。 その変化には2つの側面があって、それは文化的な変化と技術的な変化。 つまり、時代の流れの中で過去の価値観が新しい価値観に塗り替えられていくのが前者、 技術が発展して昔できなかったことができるようになるのが後者…

子供のための作品と作曲家の作風について

ピアノ教室 我々作曲家にはふとした瞬間にやってくる依頼がある。それは「子供のためのピアノ曲」というやつだ。事実私も数曲この手のご依頼を受けたことがあるのだが、よくこのジャンルについて考えると、案外難しいものであることが分かる。 -え?簡単に弾…

悪魔の第七旋法 "ロクリア" の封印を解く 最終話「実用と譜例」

前回までで、ロクリア旋法がだいぶ実用的ということが分かっちゃいました。 ここまできたら、後は作曲するだけ。というわけで、僕が実際にTLTを用いて作曲したピアノ曲集、「夜の窓辺にて」からいくつか譜例を見てみましょう。 【もくじ】 譜例1:「あめん…

悪魔の第七旋法 "ロクリア" の封印を解く 第3話「ロクリアにおける長・短旋法」

~前回までのあらすじ~ ロクリア旋法がだいぶ使えるということが分かりました。 長・短は大事だよ 長・短の構造分析 TLTにも長・短つくるよ 長・短は大事だよ 音楽には、長・短の2種類のスケールがあります。メチャ簡単に言うと、明るいのが長調で暗いのが…

悪魔の第七旋法 "ロクリア" の封印を解く 第2話「4度圏音楽『TLT』の誕生」

~前回までのあらすじ~ 4度圏音楽の和音の形と和声進行ができたらしい???? 覚えて帰れ「TLT」 4度圏音楽の和音構造 4度圏音楽の和音進行 「TLT」の激ヤバ発展性(ヤバい) 覚えて帰れ「TLT」 今まで当たり前だと思われてきた音楽は、いずれも完全5度主…

悪魔の第七旋法 "ロクリア" の封印を解く 第1話「完全5度の“桎梏”」

~前回までのあらすじ~ 主和音に3全音を含むため嫌われてきたロクリア旋法だったが、トイドラがあることに気付いたのだった。 それは果たして……??? 5度堆積のリディア 衝撃の事実 4度堆積のロクリア 5度堆積のリディア さて、ロクリア旋法の真の可能…

悪魔の第七旋法 "ロクリア" の封印を解く 第0話「ロクリア旋法とは?」

ついにこの記事を書く時がやってまいりました! といっても、読者の方々は何のことやらわからないでしょう。 皆さまおはこんばんにちは、名作同の会長トイドラこと冨田悠暉とは私のことですが、実は私の音楽研究における主要な領域こそが、このロクリア旋法…

rei harakamiに見る “編曲”の奥深さ

突然ですが、YouTubeとかで曲を探していて、「あった!」と思ったらよく知らん人のカバーver.でイラっとしたこと、ありませんか? 僕は掃いて捨てるほどあります……。 カバーならカバーだと明記するよう刑法で義務付けるべきだと思いますが(早口)、それは一…

作曲家の技術 - クリスマスピースを作る

作曲の技術 今日の記事はとても長いので目次を作ってみました。 序文 1.はじめに知っておくこと 2.元にする曲をいくつか選ぶ 3.各原曲の利用特性を知っておく 4.序盤を書く 5.中間部を書く 6.終盤を書く 7.仕上げ あとがき 序文 いつも現代音楽やクラシック…