~前回までのあらすじ~
ロクリア旋法がだいぶ使えるということが分かりました。
長・短は大事だよ
音楽には、長・短の2種類のスケールがあります。
メチャ簡単に言うと、明るいのが長調で暗いのが短調ですよね。
「いや当たり前だべ」
と思うかもしれませんが、音楽に長・短があるおかげで僕らはだいぶ恩恵を受けています。
音楽に幅と揺らぎを与え、より面白みあるものにしているのがこれらの調だからです。
もし短調がなかったりしたら、米津○師も泡吹いて死んじゃうことでしょう。
で、現状TLT(トイドラ式ロクリア旋法理論)には長・短2種のスケールが存在しないわけです。
これはいけねえ!
さっさと作りましょう。
長・短の構造分析
そもそも、みんな当たり前に「これは長調、これは短調」なんて話してますが、
なぜこの形が長/短調なのか
知ってますか???
諸説あるとは思いますが、僕なりの分析を書いておきましょう。
まず、知っての通り従来の音楽は5度圏音楽、つまり完全5度大ちゅきグヘヘな音楽です。
したがって、あらゆる構造の単位に完全5度が隠れており、和音の構造も実はそうだよという話を 前回と前々回にしました。
で、これがスケール自体の構造にも言えるということは、第1回の記事で話した通り。
完全5度を7回堆積した音階はリディア旋法です。
リディア旋法は、現代にいたるまで使われ続けている長旋法の祖であることが知られています。
すなわち、リディア旋法の特徴音である第4音が、下属音を取れるように下方変位した結果として長旋法が生まれた、というわけです。
つまり、長調は完全5度の堆積でできているわけですが、それでは短調はどうなのでしょう?
一見5度堆積には見えないですが、実はこうすることで説明がつきます。
スケールをただの5度堆積と見るのではなく、
主音と第3音それぞれからの5度堆積
と見ることによって、第3音が長3度か、短3度かという観点から2種類のスケールを作ることができます。
つまるところ、これが長・短旋法の正体なのです。
ちなみに、ここで導出された短音階はドリア旋法になっていますので、長調の元祖がリディアだったのと同じように、短調の元祖はドリアだったことが分かります。
ドリアはリディアの第6音を主音に移した場合の音階ですので、エオリア(短旋法)がイオニア(長旋法)の第6音から始まるスケールだ、ということともバッチリ符合しますね。
TLTにも長・短つくるよ
つーわけで、TLTにも全く同じことをします。
わーいできた。
ロクリア旋法がTLT的短調だったことと、ミクソリディア旋法がTLT的長調だということが同時に分かりましたね。
さて、さらに話を進めます。リディアに下属音が加えられてイオニア(長旋法)に変化した過程を思い出すと、ロクリアにも属音を補うことが考えられます。
すると、この通り導出されるのはフリギア旋法です。つまり、TLTにおける本当の短調はフリギア旋法だということです(ロクリアは短調の元となる元祖)。
加えて、ミクソリディア(TLT短調の元祖)がロクリア(TLT短調の元祖)の第6音から始まる音階であることを考えると、フリギア(TLT短調)の第6音から始まるイオニアがTLTにおける本当の長調ということになります。
え、イオニアは従来の音楽とTLT両方の長調として扱われるんすか??????
音楽の神「そうだよ」
ということなので、とりあえずそういうことになりました。
めでたくTLTにも長・短を定義できたので、こっから楽しくなることでしょう。
~第4話(最終話)へ続く~