前回までで、ロクリア旋法がだいぶ実用的ということが分かっちゃいました。
ここまできたら、後は作曲するだけ。
というわけで、僕が実際にTLTを用いて作曲したピアノ曲集、
「夜の窓辺にて」
からいくつか譜例を見てみましょう。
【もくじ】
譜例1:「あめんぼと流星群」
この曲の7小節目~(11秒~)を見てみましょう。
この曲の調はA-locrianですが、前半部は基本的にT-E-T(トニック-エニモッド-トニック)という単純な進行を繰り返しています。
7小節目からの部分に着目すると少し工夫してあり、借用和音や転調も挿入されていますね。
転調してからは、I-IV-Iを繰り返したり主張に戻ったりするだけで、やはり割と単純な作りです。
最後の終わりの和音は何とも奇妙な響きになっていますが、この点を最も工夫しました。
転調したまま元に戻らず、V調のVIの和音(平行長調のI)に終止するのですが、ここにテンション・ノートを乗せてみたのです。
結果的に、こんな構成音の和音が鳴ることになりました。
この終止和音はとてもロクリア旋法らしい、TLTらしい響きだなあと思います。
譜例2:「いらなかった鎮魂歌」
この曲は、冒頭がメロディ独奏で始まります。
ロクリア旋法らしい旋律とは???というのは割と難しいのですが、上手くいったものを聞いてみるとどこか日本民謡らしい雰囲気が漂っている気がします。
というのも、日本民謡とロクリア旋法には実は密接なかかわりがあって……というのは今回は語りませんが、とにかくそうして始まるこの曲の17小節目~(1分12秒~)を見てみます。
ここではとても単純な反復進行をしており、しかもかなり良い効果を上げています。
従来の音楽で使われている技法は、TLTにも問題なく応用できるということが分かりますね。
譜例3:「水底に沈んだ星座」
最後に、この曲の9小節目~(26秒~)を見てみましょう。
かなり挑戦的な借用やずれ和音を使っていますが、全体としての響きは統率が取れているように思います。
こういった譜例を見ると、TLTがマジで使えるということを分かってもらえるでしょう。
分かってくださいお願いします……。
ロクリアの封印を解いたぞ
というわけで、ロクリアの封印はばっちり解きました。
これから先、この咎なき邪神が音楽の世界で大いに暴れまわってくれることでしょう(願望)
みんなもぜひロクリア旋法を使って作曲してください。
「いやこんな簡単な説明だけじゃ無理だべ??」
という人は、上で譜例とした「夜の窓辺にて」を購入してみてもいいかもしれません。
全曲が長短ロクリアで書かれていて、譜例集としても最適ですよ。
それでもなお
「いやこんな譜例集だけじゃ無理だべ??」
という贅沢さんは、ぜひ僕に師事でもしてください。(?????、?)
ロクリア旋法で作曲する人、マジで増やしてえ…………