メキシコの作曲家ピックアップ
皆さんお久しぶりです。Gです。寒くなってきましたね。コロナも相変わらず東京では数百人の感染者が出続けていますが、感覚が麻痺して来たのか慣れてしまったのか外出してる人が多くなってきました。僕のいる大学でも課外活動を段階的に許可するそうです。感染者増やしたいんですかね…
さてそんな情勢でもホットな国がメキシコ!10月15日にはサルバドル・シエンフエゴス前国防相(72)がアメリカの麻薬取締局に拘束されたというニュースが話題になりました。麻薬カルテルと闘っているはずの国防相がまさかカルテルと繋がっているとは…まるでドラマのような世界です。
そんなホットな国の作曲家を色々調べてきました。中々興味深い人々が出てきました。資料不足故あまり詳しい記述が書けないのはご容赦ください。
・メキシコにはバロック音楽があった!
さて、記録を調べると、メキシコで最も古い作曲家たちは
Juan de Lienas(1617~1654)
Francisco López Capillas(1614~1673)
Manuel de Zumaya(1678~1755)
などの17世紀の作曲家が続々と出てきました。基本的には聖歌の作曲や大聖堂のパイプオルガン奏者です。
時代区分的にはバロックに当たります。音楽の中心地であったヨーロッパから離れたアメリカ大陸の中ではこの17世紀という時期にヨーロッパ式の教会音楽が定着していること、また史料が現存していて尚且つ音源も再現されていることは非常に珍しいことです。
参考までに南米の他の国の最も古い作曲家は
ブラジル
・Emerico Lobo de Mesquita(1746~1805)
アルゼンチン
・Amancio Jacinto Alcorta(1805~1862)
・コロンビア
・Oreste Sindici(1828~1904)
などで18世紀後半~19世紀初頭にかけての間といえます。
ただし少数のオペラを除いて大半は宗教音楽であり師弟関係などもわからなかったことなどから、これがメキシコ音楽の源流であるわけではないないようです。
・カルロス・チャベス
さて18世紀にもぽつぽつと作曲家は輩出されていますが19世紀の末にビッグネームが誕生します。
カルロス・チャベス(1899~1978)です。
フルネームはカルロス・アントニオ・デ・パドゥア・チャベス・イ・ラミレスといいます。
長え。
そんな彼は生涯でバレエ曲5曲、交響曲6曲、協奏曲4曲、その他多数の声楽、室内楽、ピアノ曲などを作曲しています。なお作曲技術はほぼ独学です。
また音楽評論家としても有名で、2冊の本と200以上の雑誌の記事を投稿しています。
彼自身の活動もさることながら注目すべきは音楽教育者としての力でありメキシコ国立音楽院の院長に就任し後に「メキシコ4人組」と呼ばれる作曲家の全員に作曲を指導しています。現代のメキシコのクラシック音楽はこの人が基礎を築いたといっても過言じゃないかもしれません。
メキシコ四人組
・ルイス・サンディ(1905~1996)
・Daniel Ayala Pérez(1906~1975)
・サルバドール・コントレラス(1910~1982)
・ホセ・パブロ・モンカーヨ(1912~1958)
こうしてみるとやはり中南米の泥臭さというか力強さといったようなものを感じますね。
メキシコ四人組にはカウントされていませんが、同じくチャベス門下の
Blas Galindo(1910~1993)
も中々好みの音がします。
サムネがなんか気になりますけど…微妙にどの文明なのかわからない造形をしています。恐らく中南米の古代のものだとは思いますが見方によってはインドっぽくも手の印から仏教ゆかりのものに見えたりします。ガランドは150曲以上の作品を作った多作家でもあります。音源は総じてサムネがなんか変な像ですけど…
・現代音楽
さて、メキシコにおける音楽の主流は上記のチャベス門下の流れですが、やはりというか何というか、どの国にも突出して前衛的な音楽を作曲する人がいるものです。今回は2人ほど紹介します。
コンロン・ナンカロウ(1912~1997)
動画を見てもらえれば分かるのですがこれは自動ピアノ(Player Piano)という特殊なピアノを用いた作品です。トイドラ会長が持っているようなオルガニートと同じような構造で紙のシートに穴を空けて音符を記録した楽譜を用いて演奏します。自動ピアノは日本だと浜松の楽器博物館に一台だけ展示されているのを見たことがあります。
人間ではほぼ不可能な演奏も実機で演奏することが可能です。しかし打ち込みなどの技術の発達と紙のシートの管理の大変さなどから現在は生産されていません。
ナンカロウは自動ピアノに可能性を見出し多数の自動ピアノのための曲を作曲しました。最終的にシートに幾何学模様を打ち込んで作曲を行ったりもしました。今でいうMIDIアートのようなイメージですね。
・Julián Carrillo(1875~1965)
この人はメキシコ国立音楽院で音楽を学んだヴァイオリストでした。どうも初期は割と普通な曲を作曲していたようです。
しかし後期になると微分音に可能性を見出し最終的には半音間を16に分割する16分音を用いて作曲をしました。
こうなるともう訳が分かりません。僕にはお手上げです。
さてメキシコの作曲家いかがだったでしょうか。バロックから始まり現代音楽に至るまで幅広い作曲家の層とその史料が充実していたことが個人的にはかなりの驚きでした。
所見を広げるためにもご意見ご感想などありましたら是非コメントをお願い致します。
それではまた次の国で会いましょう。