はじめに
心の底から好きなアニメがあるとしよう。大好きで、何度も、何度も観た作品。さて、そのアニメ関連で何かグッズを買いたいとなった時、何を買うだろうか。DVDやブルーレイ・ディスク?それとも、生活の中でいつも身近に使える雑貨グッズだろうか。主題歌のCDだって外せない。
そんな時、私はいつもサウンドトラックを買うようにしている。サウンド・トラックは素晴らしい。だって、家でも電車の中でも、その音楽を聴くだけで大好きな作品のワンシーンを回想することができるから。映像は無くても、脳裏にはその作品が鮮やかに蘇る。
さて、そんなアニメサントラの中には、アニメ本編を知らなくてもスッと聴き流して楽しめる素晴らしい音楽もたくさんある。そこでこれから、「Easy Listnerのためのアニメサントラ選」と称し、イージーリスニングとして楽しめるアニメ音楽の数々を紹介していきたい。
第一回に紹介するサウンドトラックはこちら。
より
『「ARIA The ANIMATION」オリジナルサウンドトラック』
「ARIA The ANIMATION」について
ARIAは天野こずえの漫画「AQUA」および「ARIA」を原作とした作品だ。アニメは2005年が初回放送で、ARIA The ANIMATION・ARIA The Natural・ARIA The ORIGINATIONの3シーズン構成となっている。また、OVA化やゲーム化、映画化もされており、2021年春には新作映画化も決定している。(楽しみですね。)
物語の舞台は、テラフォーミングされて水の星となった火星。そこにある、ヴェネツィアをモチーフに作られた街「ネオ・ヴェネツィア」。そして主人公は、そのネオ・ヴェネツィアの観光業を支えるゴンドラ漕ぎの「ウンディーネ」を目指し、マンホーム(地球)からやってきた少女、水無灯里。このアニメは彼女や彼女の友人達、そして周りの人々の穏やかな日々を描いた作品だ。ちょっと遠くへ出かけたり、人と人との新たな出逢いがあったり、現実を超えた不思議な体験をしたり...作中で描写される日常の中の出来事は、見ていて心安らぎ、時に大きな感動を覚える。
このアニメの監督は以前の記事で紹介した「プリンセスチュチュ」でも監督を務めていた佐藤順一だ。最近では、コロナウイルスの影響でNETFLIXで独占配信されたアニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」の監督を柴山智隆と共に務めている。
1960年生まれ。1990年代に『美少女戦士セーラームーン』『夢のクレヨン王国』『おジャ魔女どれみ』といった児童・少女向け作品を中心に手掛け、数多くの名作を世に送り出す。現在ではオリジナル作品の制作も積極的に行なっており、企画段階から精力的に関わった作品を発表している。
現在ARIAはhuluやU-NEXT、dアニメストア等で配信されている。ちょっと心落ち着きたい時に、是非観てみてはいかがだろうか。
ARIAのサウンドトラックについて
そして、この作品のサウンドトラックを作成・演奏しているのは「Choro Club feat. Senoo」だ。
Choro Clubは楽器編成をブラジル音楽であるショーロに倣った3人組のアコースティックバンドだ。
ブラジルの伝統的な都市型インストゥルメンタル・ミュージック「ショーロ」にインスパイアされながらも、全く独自のサウンドを創造する。90年にファンハウスレコードと契約、94年までに5枚のCDをレコーディングしたのを皮切りに、現在までにソニーレコード、キングレコード、オーマガトキ、ビクター、ソングXジャズなどから、計24枚のCDを発表している。その活動のフィールドは、通常のコンサートホールやライブハウスだけでなく、美術館やギャラリー、神社仏閣、ジャズフェス、ストリートに至るまで幅広い。
feat.Senoo表記でピアノ等を演奏しているのは、ピアニストの妹尾武だ。アーティストやドラマ、CM等への楽曲提供も多数行っている。
1994年、大学在学中に作曲した「So Heavenly.」がサウンド&レコーディング ・マガジンの細野晴臣監修のオーディションにて優秀作に選出される。翌年、同曲がコンピレーションアルバム「Ecole」(EPIC SONY)に収録されたのを機にプロとしての活動を開始。同作品はフジテレビ系深夜番組「かしこ(監督:片岡K)」のオープニングテーマに起用された。 2000年、ゴスペラーズに楽曲提供した「永遠に」が44週に渡るロングヒットとなり、代表作品の一つになる。以降、作曲家・作詞家として高橋真梨子、鈴木雅之、東方神起、夏川りみ、平原綾香、他多くのアーティストに楽曲を提供する傍ら、谷村新司、松任谷由実、三浦大知、等のレコーディングやコンサートにピアニストとして参加している。 その他、映画「スイートリトルライズ」、テレビドラマ「チーム・バチスタの栄光(フジテレビ系)」、「いま、会いにゆきます(TBS系)」テレビアニメ「ARIA」等のサウンドトラックやCM音楽なども数多く手がけている。
妹尾 武 :: Takeshi Senoo Official Web Site :: » BIOGRAPHY
それでは、そんなChoro Clubと妹尾武によって奏でられる、穏やかで爽やかな音楽の数々から、数曲ピックアップして紹介していきたい。
なんとこのサウンドトラック、先日ストリーミング配信が始まってApple MusicやSpotifyで聴けるようになったのである!!!これは聴くしかありませんよ。それでは早速。
AQUA
この曲は実に"水の都"らしい雰囲気を持った曲だ。水辺のさざ波の音を感じさせるイントロから始まり、ギターがメロディを奏で始める。運河を流れゆく水のようにゆるやかで、水の反射を思わせるキラキラとしたそのメロディからは、ネオ・ヴェネツィアの美しく穏やかな日々が頭の中に思い浮かぶ。この作品のメインテーマと言って過言ではないだろう。
逆漕ぎクイーン
疾走感と緊張感のある一曲。テンポも速めで格好いい。因みに逆漕ぎクイーンとは主人公の水無灯里のことで、普通はウンディーネは乗客の視界の邪魔にならないように船の後ろで操船をするのだが、灯里はネオ・ヴェネツィアに来る前、間違って船の先頭に立ってゴンドラを漕ぐ練習をしていたために"逆漕ぎ"の操船技術は完璧だった、ということに由来する。第一話では、流されてしまったアリア社長(猫)を救うために灯里が逆漕ぎをするシーンがあり、そのシーンでこの曲が使用されている。
水の鏡
作品の中では、灯里は"有り得ない手紙"を届けるよう頼まれたり、猫の集会に迷い込んだり、過去にタイムスリップしたりと、不思議な出来事に巻き込まれる。それは灯里に不思議を呼び込む性質があるからかもしれないし、ネオ・ヴェネツィアの街自身にもそのような性質があるのかもしれない。細く、薄暗く、入り組んだ運河の水路。この曲はそんなネオ・ヴェネツィアのもう一つの表情を描き出している。
落陽
第二期のサウンドトラックである『「ARIA The NATURAL」ORIGINAL SOUNDTRACK due』からも一曲紹介させていただきたい。陽が沈んだ後の、徐々に薄暗くなっていく空。「落陽」とタイトルのついたこの曲は、懐かしいような、寂しいような、そして何故だか涙が出てきてしまいそうな、そんな風景をピアノとヴァイオリンが奏でている。
おわりに
Easy Listnerのためのアニメサントラ選と題して、第一回ではARIAのサウンドトラックを特集した。そろそろ夏も終わりかけだがまだまだ暑いこの季節、このサウンドトラックを聴いて水の都の旅をしてはいかが?
それではまた。
~次回~