名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

Easy Listnerのためのアニメサントラ選 ~たまゆら編~

【前回】

nu-composers.hateblo.jp

アーカイブ

ARIA/スケッチブック/灰羽連盟/あっちこっち/風人物語/ココロ図書館/セイントテール/びんちょうタン

 

前回から随分と間が空きましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。どうも、gyoxiです。

今回紹介しますのはこちらのアルバム。

 

たまゆら〜hitotose〜

より

たまゆら〜hitotose〜」オリジナルサウンドトラック



たまゆらについて

たまゆら~hitototse~は、プリンセスチュチュARIAスケッチブックの記事で紹介した、佐藤順一が原案・監督を務めるアニメーション作品だ。

佐藤順一監督

1960年生まれ。1990年代に『美少女戦士セーラームーン』『夢のクレヨン王国』『おジャ魔女どれみ』といった児童・少女向け作品を中心に手掛け、数多くの名作を世に送り出す。現在ではオリジナル作品の制作も積極的に行なっており、企画段階から精力的に関わった作品を発表している。

佐藤 順一 | ツインエンジン

 

この作品は元々OVAとして発売されており、たまゆら〜hitotose〜はそのTV版として作られたものだ。この作品はのちに第二期であるたまゆら〜もあぐれっしぶ〜が放映され、その後4部構成のたまゆら〜卒業写真〜が劇場公開されている。(卒業写真、まだ観れてないです...)

 

神奈川の汐入に住む沢渡楓は高校進学をきっかけに、父を亡くしてから疎遠になっていた広島の竹原へ引越す。そしてそこで塙かおる岡崎のりえ桜田麻音の3人と友達になる。竹原の古き良き街並みの中で、日々の出来事を通して、4人と周りの人々との温かな交流を、そして4人の成長を描いている、というのがこの作品の主なあらすじだ。

 

具体的な地名も出ているのでお気づきの人も多くいるだろうが、この作品には“聖地”が存在する。彼女達の暮らしの舞台となるのは広島県竹原市、それも「たけはら町並み保存地区」の周辺だ。

ここは「安芸の小京都」とも呼ばれており、伝統的な家々が軒を連ねている地域である。この地域は非常に雰囲気が良く、私の行ってみたい場所の一位にずっっっっっっと君臨し続けている。行きてぇよ、行きてぇ...

 

さて、そんなたまゆらだが、この作品のサントラは私がこのサントラ選シリーズを書き始めた訳に大きく影響しているのです...

 

私がサントラを聴き始めたきっかけ

私がサントラの記事を書こうと思ったきっかけ、元より私がサントラを聴き始めたきっかけは、実はこのアルバムにある。

この作品を観ていたのは私が中学3年生の頃だ。深夜アニメを観漁っていた私は、この温かな作品を大層気に入り、作品のクリアファイルも所持・使用していたくらいだった。

さてその翌年、高校1年生の私は「東京研修」に行くこととなった。「東京研修」というのは学校行事の一環で、東京へ行き、大学の研究室や企業を訪問して将来のことを考えよう、というものであった。その東京研修でスケジュールに空き時間があった私は、友達と一緒に池袋のアニメイト本店へ足を運んだ。欲しいのはたまゆらのグッズ。......しかし放映から半年も経っているのでグッズは全く売っておらず、偶然手に入れたのがこのたまゆらのサントラだったのだ。

CDを聴く前、私は不安だった。今までサウンドトラックなんて聴いたことがない、果たして私にも楽しめるものだろうか... 結果はその予想を大きく超えた。とても穏やかで心地の良い音楽。そして曲を聴くごとに、頭の中に蘇ってくる作品の1シーン。それは当時の自分にとって、全くの新発見だった。

それからというもの、私はアニメを観る時には、その劇伴に耳を傾けるようになった。そして、普段はあまり注目されない劇伴を、みんなにもっと聴いて欲しいとも思った。これが私がこのシリーズを書く理由なのです...

たまゆら〜hitotose〜サウンドトラックについて

さて、そんな素敵なたまゆらサウンドトラックを作っているのは中島ノブユキだ。

 

中島ノブユキ

作曲家/ピアニストとして 映画音楽~JAZZ~POPS~広告音楽~クラシック 等様々なフィールドで活動。菊地成孔 ペペ・トルメント・アスカラールに楽曲及び編曲を提供。持田香織畠山美由紀ゴンチチらの作品にサウンドプロデューサーとして参加。またタップダンサー熊谷和徳東京フィルハーモニー交響楽団が共演する「REVOLUCION」(2010年)では音楽監修/作曲、オーケストレーションを担当した。

JP | nobuyuki-nakajima

 

それでは早速音楽を聴いてみよう。

 

ひととせ〜メインテーマ

このアニメのメインテーマがこの曲だ。どことなく懐かしい感じの漂うこの曲は、目を閉じて聴くと、静かで温かな竹原の古き良き街並みが瞼の裏に浮かんでくる。

 

出発!

「出発!」というタイトルからも分かる様に、これはどこかに出かける時の様子の曲であろう。また、この曲の心地よいリズムは、ガタンゴトンと揺れる電車を連想させる。竹原にはJR呉線が走っているので、個人的には瀬戸内海の横を走る、呉線に乗っているイメージだ。

 

竹灯りの路

竹灯りの路というのは、実在のイベントである「たけはら憧憬の路」のことで、その日は街に竹細工が並び、街並みが“竹灯り”でライトアップされるのだ。

参考↓

竹灯りで柔らかにライトアップされた、いつもとは違った街の様子が、この曲からは思い浮かぶ。

 

静かな一年の終わりに

「静かな一年の終わりに」というタイトルだが、この曲はなんだか初日の出を見ている様な、神秘的な気持ちにさせてくれる曲だ。事実、この曲は第12話にて新年のご来光に立ち会っているシーンで流れている。

 

おわりに

今回はたまゆら〜hitotose〜サウンドトラックを特集した。観ているとじんと暖かくなる、心と身体に優しい作品なので、機会があれば是非一度観て欲しい。自分もいつか竹原旅行に行きたいなぁ...

ではまた!

 

【次回】