名大作曲同好会

“音楽”を創る。発信する。

Easy Listnerのためのアニメサントラ選 第三回 ~灰羽連盟編~

~前回~

 

nu-composers.hateblo.jp

 

 

どうも、gyoxiです。第一回、第二回と日常系アニメのサウンド・トラック紹介でしたが、今回はちょっと日常系作品から離れてこの作品。

 

灰羽連盟

より

『ハネノネ』

 

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灰羽連盟」について

灰羽連盟安倍吉俊の同人誌「オールドホームの灰羽たち」を含む作品群を原作とした作品だ。安倍吉俊さんはserial experiments lainのオリジナルキャラクターデザインも手がけており、小説の装丁等のイラストも描いているので、画風を見てピンと来る人も多いのではないだろうか。

 

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安倍吉俊さん

安倍 吉俊(あべ よしとし、英語表記:Yoshitoshi ABe1971年8月3日 - )は、日本イラストレーター漫画家東京都目黒区出身。東京芸術大学美術学部日本画科卒、同大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻日本画科修了[1]

安倍吉俊 - Wikipedia

 

そしてこの作品の監督はところともかずだ。

 

ところ ともかずは、日本男性アニメーターアニメーション演出家及びアニメーション監督所 智一所 ともかずと表記されることもある。

湖川友謙の率いていた有限会社ビーボォー出身。

ところともかず - Wikipedia

 

メインで監督をしている作品は少ないものの、アクセル・ワールド七つの大罪きんいろモザイクなどの数多くの人気作品に絵コンテ・原画・演出等で参加している。

 

灰羽連盟の世界

さて、肝心のストーリー紹介なのだが、

ひとまずWikipedeaからあらすじを引用しよう。

 

高い空からまっすぐに落ちていく少女。やがて彼女は水に満たされた繭の中で目を覚ます。古びた建物の一室で彼女を迎えたのは背中に飛べない灰色の羽を持つ、「灰羽」と呼ばれる人物たち。繭の中で見ていた空を落ちる夢から、少女は「ラッカ」と名づけられる。

高い壁に囲まれたグリの街、灰羽たちの暮らすオールドホーム、そこでの仲間たちとの穏やかな日々。戸惑いながらも少しずつその生活に馴染んでいくラッカ。しかしやがて、短い夏の終わりに1つの別れが訪れる。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/灰羽連盟

 

この作品の世界観は謎が多く、しかもその謎はストーリーの中であまり解決されることはない。また、この灰羽連盟の世界観は村上春樹世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドから大きく影響を得ているそうで(自分は読んだことない)、他にも一種の宗教的・哲学的な話が出てきたりと、語る人が見れば幾らでも語ることができる作品になっている。

 

 できればまずネタバレなしで視聴し、その後もう一周して欲しいくらいなのだが、「いや...さすがになんかよう分からへんし...」という方もいるかもしれないので、一つの導入としてその世界観についてお話したい。是非観ていただきたいので。

「ガチでゼロの状態からこの作品を観たいんだ」という方はこのパートを飛ばしてください...

 

それでは「灰羽連盟」の世界を紹介させていただきたい。

 

①灰色の羽根を持つ存在「灰羽

背中に灰色の羽根を持つ「灰羽は水で満たされた大きな繭の中から生まれる。赤ん坊の姿で生まれてくる訳では無いものの、灰羽繭の中で見た夢以外の記憶を持っていない。そして生まれてきた灰羽繭の中で見た夢を元に名前がつけられ、光輪が授けられる。第一話で繭から産まれたばかりの「ラッカ」の看病をする灰羽「レキ」は、こう語っている。

 

レキ:

私たちが何者なのかは誰にも分からない。

とりあえず、灰羽って呼んでる。

灰羽はこの街から出ることはできないんだよ。

それに、この世界のどこかにもしあなたの家族が居ても、今のあなたを見て、あなただとは思わないと思う。

あなたが、あなたの居た世界を思い出せないように、この世界の誰も、あなたのことを覚えていないの。

ここは...そういう世界。

第一話 「繭 空を落ちる夢 オールドホーム」より

 

もちろんこの街には羽根の生えていない、“普通の人間”も暮らしている。

 

ヒカリ:ていうか人の街に灰羽が居候してるのよ。

カナ:そう、そして人が使い終わったものを引き継ぐのが灰羽の務めなんだとさ。

第二話 「街と壁 トーガ 灰羽連盟」より

 

灰羽たちは灰羽連盟によって生活を保障されている。彼女らはお金を受け取ることを禁じられているため、灰羽が働いて得たお金は灰羽連盟を通して、金券のようなものが発行されるのだという。

 

では灰羽とは一体如何なる存在なのであろうか?

そして灰羽達は、"何故に"生まれてくるのであろうか?

 

②塀で覆われている街、街で暮らす人々

生活、とは言ったがそもそも不思議なのはこの街だ。彼女たちが暮らす「グリ」の街は高い塀で囲まれており、住民達は壁に触れることを固く禁じられている。作中でこの塀について「壁は灰羽を守るためにある」とレキが言及しているが、灰羽達が何から守られているのかは語られていない。しかし、街は完全に閉ざされている訳ではない。定期的に塀の外から「トーガ」と呼ばれる交易が来るのだ。しかし例に漏れず、街に住む人々はトーガと交流することはできない。そして「話師」と呼ばれる人々のみが手話によってのみ、接することができる。結局、壁の外に何があるのかは、街に住んでいる者は誰一人として知る由もないのだ。

 

何故グリの街は壁で囲まれているのか?

壁の持つ力とは?

グリの街は誰が作ったのだろうか?

街の外に住んでいるトーガは何者なのか?

 

③旅立ち、そして罪付き

そして、この作品の最大の肝は「巣立ち」の存在である。

 

レキ:

西の森の奥に古い遺跡の跡地があって、巣立ちの日が来た灰羽は、そこに導かれて壁を超えるって言われている。

巣立ちの日は、誰に、いつ訪れるか分からない。

ただある日、ふっといなくなってしまう。

何故そんなことが起きるのか、理由は誰も知らない。

巣立って行く灰羽は、決してそのことを話さない。

第6話 「夏の終わり 雨 喪失」より

 

一方で巣立ちを迎えることができない灰羽が存在するのも事実だ。そのような灰羽「罪付き」と呼ばれる。「罪付き」は灰色の羽根に黒いシミができ、繭の夢も思い出せないのだと言う。

 

巣立ちとは一体何なのだろうか?

灰羽が巣立つ条件とは?

巣立った灰羽は何処へゆくのだろうか?

罪付きの背負う「罪」とは一体?

 

 灰羽連盟サウンドトラックについて

さて、そんな作品の劇伴を手がけているのは大谷幸だ。

 

 

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大谷幸さん

モダンダンサーの両親の元に生まれ、音楽と舞踊の中で育つ。
日本大学芸術学部作曲コースにて、クラシックと現代音楽を学び、An School of MusicでJazzを学ぶ。
その後Party、ダンガン・ブラザーズ・バンドなどのバンド活動を開始。
その傍ら、サザン・オールスターズ、桑田バンド、松田聖子らのコンサート・サポート及びレコーディング・アレンジなどを手掛ける。
ピアノ・ソロ・コンサートを行ったり、海外でのコンサートに出演したりなど、演奏活動を続けるうちに映画音楽に夢中になり、作曲家・プロデューサーとして独立。
ガメラシリーズ」(平成版全作品)「ゴジラモスラキングギドラ精霊流し」「ガンダムW」「金色のガッシュベル!!」など様々なサウンドトラックを担当し、音楽ファンはもとより、映画ファン・アニメファンに愛される存在となる。
映画音楽とオーケストラ、ピアノをこよなく愛するが、クラシックに留まらず、現代音楽、ジャズやロック、テクノ、ヒップホップまで得意分野は幅広い。

 大谷 幸 Artist Plofile (imagine-music.co.jp)

 

個人的に見た作品だと「Another」人類は衰退しました。」とかですね。Anotherの1話冒頭で使われている曲なんかは実におどろおどろしい感じで、放送当時はガチビビりしながら見ていました(自分語り)。

 

それでは、灰羽連盟の世界を感じることのできる音楽たちを紹介したい。 

 

Refrain of Memory


Haibane Renmei - Hanenone - Refrain Of Memory

誕生と出会い。そしていつか訪れる、旅立ちと別れ。そんな優しさと切なさを孕んでいるのがこの曲だ。前世があるとしたら、我々はどのような人生を送っていたのだろうか。思い出すことはできないけど、確かにあった。そんな大切な何かを思い出すことのできない寂しさもこの曲からは感じ取れる。

 

Toga


Haibane Renmei - Hanenone - Toga

壁の外からやってくる交易商、トーガ。独特な衣装に身を包み、フードで顔を隠し、言葉を発しない。彼らと接することのできる話師の人々もまた、民族衣装に身を包み、面で顔を隠している。どこか妖しげで民族風なこの曲は壁の内外の”異文化”への想像をかき立たせる。

 

Rustle


Haibane Renmei - Hanenone - Rustle

灰羽は不思議な存在だ、などと長々と語ってはいたが、灰羽達だって我々と同じ日常を過ごしている。なんら変わらない、静かな日常。街で仕事の手伝いをしたり、みんなで楽しくおしゃべりをしたり、一緒に食事を食べたり。そんな灰羽たちの穏やかな生活の素顔が、この曲からは思い浮かぶ。

 

Eternal Remains


Haibane Renmei - Hanenone - Ethereal Remains

 灰羽達を守る"壁"の存在、そしてそれを超えてゆく"巣立ち"。壁にまつわる事柄の多くは特に謎が多く、不思議で、そして神聖である。壁を越えた灰羽達はどこへゆくのだろうか。転生し、また新たな人生を歩むのだろうか。分からない。分からないがその荘厳さに、ただただ、心を打たれるのである。

 

 おわりに

今回は灰羽連盟サウンド・トラックを特集した。実は灰羽連盟は冬に見るのにぴったりな作品なのだ。というのもこの作品は晩夏~冬にかけての物語であり、また毎年冬至灰羽連盟の日」として、ファンの間で灰羽連盟を見たり、思い出したりする日になっているのだ。貴方も冬至の夜は灰羽連盟を見てその世界に浸ってみてはいかがだろうか?

 

それでは、また。


〜次回〜