はじめに
こんにちは、gyoxiです。
突然ですが、皆さんはクラシックはお好きでしょうか。
「勉強のお供によく聴いてるよ!」とか「寝るときに聴くと落ち着くわ~」って人もいると思いますが、「むつかしそうだなぁ」「なんか...聴けるようにはなりたいけど...聴くモチベが湧かねぇ...」なんて人も多いんじゃないか、と思います。
自分もそんな人間の一人で、「音楽は好きだけど、クラシックはあんまよくわかんないなぁ」といった感じでした。このアニメを見るまでは。
今回は「クラシックと仲良くなる」ためのアニメとして「プリンセスチュチュ」を取り上げたいと思います。
プリンセスチュチュとは
「プリンセスチュチュ」は2002~2003年にかけてキッズステーション等で放送されていた子供向けアニメだ。全26話で、「卵の章」「雛の章」の前・後編に分かれている。原案は伊藤郁子さん(セーラームーンの作画監督などを担当)、総監督は佐藤順一さん(セーラームーンのシリーズディレクター、ARIAの監督などを担当)が担当している。
「なんだよ子供向けかよォ…」と思う人もいるかもしれないが、これがなかなか面白い。ストーリはちょっとダークで深みがあるストーリーだ。まあ、いかにも”子供向けアニメ”って感じのノリの場面があったり、第二話では主人公がアリクイとバレエでバトルしたりと、人によってはなかなか慣れない場面もあるんですけどね…それでも、独特の世界観や魅力的なキャラクターとストーリーが多くの視聴者の心を掴み、今でも演奏会などのイベントが行われている。
肝心のあらすじだが、すいません、あの、文章力と説明力があまりにも無さ過ぎてうまく説明できそうにありませんでした...ゆるして…Wikipediaさんの力、お借りします。
金冠町という町の金冠学園バレエ科の落ちこぼれ生徒・あひるは、憧れの先輩・みゅうとと一緒にパ・ド・ドゥを踊ることが夢。人の心を持たず、いつも寂しげなみゅうとの役に立てればと願うあひるに、謎の老人・ドロッセルマイヤーが力を授け、あひるはプリンセスチュチュに変身して、みゅうとに失った心のかけらを返してあげることができるようになった。
しかし、みゅうとの親友・ふぁきあやガールフレンド・るうは、なぜかみゅうとが次第に心を取り戻してゆくことを拒否し、あひるが心のかけらを集める事を妨害しようとする。謎めいた女性・エデルはあひるに何かを教えてくれるが、あひるには難しすぎてよく分からない。やがてドロッセルマイヤーの眠っていた物語『王子と鴉』が目覚め、彼らは否応なくその物語の渦に巻き込まれてしまう。
次第に自分の真の姿に気づいていくあひるは、自分の境遇や物語の王子様だったみゅうとの幸せを思って苦悩すると共に、周りの人達の思いにも心を向けるようになる。そこに敵役・プリンセスクレールが登場して、物語の歯車は一気に回り始める。
はい、「卵の章」のあらすじはこんな感じです。が、この最後の「物語の歯車は一気に回り始める」ってところが結構ものすごい回り方なので。「雛の章」でも後半は雰囲気がガラッと変わって、もう物語の歯車が滅茶苦茶ブン回りますので。おそらくこれを読んでいる何人かにはブッ刺さるストーリーだと思いますよ。
現在プリンセスチュチュは、Hulu・dアニメストア・バンダイチャンネル・FODプレミアムで配信している。もし現在これらに加入している人がいたら、何かの片手間でもいいので視聴してみてはいかがでしょうか。
プリンセスチュチュの音楽について
さて、そのプリンセスチュチュの音楽についてだが、この作品ではバレエとクラシックが作品のエッセンスとなっている。それは上記のあらすじにもあるように物語の中心人物たちがバレエを習っているというところにも表れているし、クラシックの名曲がドイツ語表記で各話のサブタイトルに使われていることを見れば一目瞭然だ(例えば第一話のサブタイトルは"Der Nußknacker:Blumenwalzer"、すなわち『くるみ割り人形:花のワルツ』となっている)。
そしてそれはサウンドトラックの面においても例外ではない。
こちらのページに去年発売された全曲集の収録内容が載っているのでぜひ見てほしい。CD6枚組、122曲入りの全曲集だが、入っている曲は数曲を除き全部クラシックとそのアレンジなのだ。 そう、なんとこのアニメ、クラシックの名曲がアニメのBGMとして使われており、このアニメを見れば自然とクラシック曲を摂取することができるのである!!!!!
クラシックに慣れ親しむのにベストな視聴方法は、現時点で流れている曲を逐一チェックしながら見る方法だ。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ryunosuke/4896/tutumusic.html
こちらのサイトではどの場面で何の曲が使われているかが非常に纏められていた。が、Yahoo!ジオシティーズのサービス終了に伴い閲覧できなくなってしまった。しかし、こちらのインターネットアーカイブを使用すれば閲覧可能なので、視聴の際は是非活用をオススメしたい。
一度このアニメで自然とクラシックに慣れ親しんでしまえば、もうあとは何も怖くはない。クラシックに対する聴かず嫌いの感情は消え、自ずと興味も湧いてくるだろう(自分はそうでした)。
プリンセスチュチュは貴方をクラシックの世界へ自然と誘ってくれるアニメなのだ。
プリンセスチュチュ劇中曲を聴いてみよう
折角なので、劇中で使われている曲を何曲か紹介したい。
チャイコフスキー - バレエ組曲「くるみ割り人形」より「花のワルツ」
チャイコフスキー : バレエ組曲「くるみ割り人形」 花のワルツ
恐らく聴けば誰もが知っているあの曲。
「くるみ割り人形」はこのアニメでは一つのテーマ曲のようになっており、「小さな序曲」や「行進曲」のアレンジが至る場面で使われている。
「花のワルツ」は第一話のクライマックスで使われており、プリンセスチュチュが窓から落ちそうになるみゅうとを、ブワーーーーーっと花畑を出して助ける場面はまさに圧巻。また、最終話のクライマックスでも使われており、自分が「花のワルツ」を聴いて感情がブチ上がる原因となっている。
チャイコフスキー - 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
Tchaikovsky: Romeo & Juliet / Gergiev · London Symphony Orchestra · BBC Proms 2007
ロミオとジュリエットといえば『モンタギュー家とキュピレット家』(s〇ftbankCMのアレ)だろ、と思う人がいるかもしれないが、そちらはプロコフィエフ作曲だ。
この曲は若干演奏時間が長いが、ロミオとジュリエットのあらすじに沿った結構分かりやすいストーリー展開があり、その解説を見つつ聴くと「ああ~、このパートはこういう場面を表現してるのか~」となって意外とすんなり楽しめてしまう一曲だ。
特に聴いてほしいのは、ストーリー展開でいう「両家の争いのシーン」(上の動画の5:30~)や「クライマックスのシーン」(15:30~)。マジでかっこいい、ヤバい、マジで。
プリンセスチュチュ本編では第8話のテーマ曲となっている。これまでと、前編のラストへ向かうこれからとで雰囲気がガラッと変わる回であり、8話のクライマックスではこの曲の「両家の争いのシーン」が使用されている。ストーリーと音楽が一体となって畳みかけてくる、緊迫した場面は必見。
エリック・サティ - ジムノペディ 第一番
お、落ち着く.........
この曲は『涼宮ハルヒの憂鬱』の劇場版である『涼宮ハルヒの消失』においても使われているため、ハルヒで聞いたぞ!というアニメファンもいるだろうし、そもそも結構有名な曲なのでこれこそ「入眠のお供にしてるぜ」って人がいるんじゃないでしょうか。
チュチュ本編ではプリンセスクレールのテーマとして各所で使用されている。ジムノペディは第3番まであるがそれぞれに指示が出されており、第1番には「ゆっくりと苦しみをもって(Lent et douloureux)」と指示が出ている。プリンセスクレールの妖艶さを演出しつつも、その心中や境遇を静かに暗示している一曲だ。
サン=サーンス - 組曲「動物の謝肉祭」より「水族館」
Saint Saens: Carnival of the Animals~Aquarium
なんとも幻想的で怪しげな雰囲気だ。プリンセスチュチュ本編でも各所で使用され、とても印象的に残る曲となっている。
「動物の謝肉祭」は14の曲からなっている。各曲はそれぞれ動物の名前が付けられ、その動物を描写した曲となっている。一曲一曲が短く、全曲を通して分かりやすく楽しみやすい組曲なので曲の解説を見つつ聴いてみてはいかがだろうか。
ワーグナー - オペラ「ローエングリン」より「第三幕への前奏曲」
ワーグナー 歌劇《ローエングリン》第3幕への前奏曲 コンドラシン指揮MPO
テンポも速く、とても華やかな一曲。イントロの”パパパパーン!”って部分でもうテンション上がっちゃいますよね、ハイ。
チュチュ本編では「卵の章」のラストである第13話にて、ふぁきあがプリンセスクレールと戦う場面で使用されており、この曲が場面を非常に盛り上げている。そのシーンに続く「白鳥の湖」のシーンも鳥肌モノで、いかにもクライマックス!といった感じだ。
「ローエングリン」もまた白鳥が物語のカギを握る物語だ。こちらもなかなか面白いストーリなので調べてみるといいですよ。
バレエについて
少しバレエについても触れておきたい。
バレエに関しても「何か難しそうやな~~~」という印象を抱いている人が多いと思うが、実は難しく考える必要はない。バレエは言葉を使わず、音楽と踊り、そして「マイム」というジェスチャーを使って物語を表現している。そのため、ストーリーさえ把握しておけば誰でも楽しむことができるのだ。バレエの動画は動画サイトになんぼでも落ちているし、その気になれば県内でバレエの講演も年に何回か行われているので、この機に見てみるのはいかがだろうか。
「マイム」はプリンセスチュチュ本編でも登場するので、見る前に少し調べておくとより楽しむことができますよ。
おわりに
さて、ここまでクラッシックへのアプローチの一つとしてプリンセスチュチュを紹介してきました。もしこれがきっかけで、「クラシックを楽しめるようになったよ!」という方がいたら是非動画サイトやCDショップでクラシックをどんどん掘ってみてください。きっと今までなら触れることのなかった、素敵な曲たちに出会うことができると思いますよ!
それでは、貴方の音楽ライフがこれからより充実することを願って。