名古屋作曲の会では隋一大阪在住の弾け弾です。
5/13に大阪城の近く、住友生命いずみホールにて日本室内楽振興財団が主催する「第12回大阪国際室内楽フェスタ」ファイナルラウンドが開催されました。阪急電車の吊り広告でたまたま見かけて知り、普段あまり触れていない室内楽への見識を広げる機会になると思い行ってみました。
大阪国内室内楽フェスタとは

「フェスタ」という名前の通り祭典ですが、コンペティション形式で優勝を決めます。
「国際」という名が付く通り、世界各地から室内楽のグループが集う豪華なイベントで、3年に一度で、オリンピックよりは少し頻繁に、しかし夏季冬季合わせるよりはレアな周期で行われています。
そして「室内楽」という大きなくくりのため、編成は管、弦、鍵盤、民族楽器と多種多様。
短い時間でこんなにバラエティに富む音色が聴ける機会はそうそうないです。
それが、1日通して庶民にやさしいワンコイン、たったの500円で観覧できます。予約も不要で自由席。当日ふらっと立ち寄ってみることができます。コンペティションではよくあることですが、すごくお得感がありますよね。
そしてフェスタの特色として、プロの演奏家による審査に加えて一般審査があるというのがあります。これにより、必然的にお客さん皆(大阪率が高い)を楽しませることが求められ、雰囲気も堅いものではなくエンタメ的要素も入り、ますます一般人でも親しみやすくなっています。
加えて現地に行くと出演者が書いたプログラムノートが貰えるのも嬉しいポイントです。開演前に目を通すだけで、どうやって楽しめばいいかの手掛かりになります。
審査員の条件として、複数の会場で3日間すべての出場グループを観られる方というのがあり、私は厳しかったので、審査員ではなく一般不審査員として観覧しました(そういう役割はない)。
ファイナルラウンドの様子
ファイナルラウンドでは、セミファイナルを勝ち抜いた4組のグループがぶつかります。
"ザ・モーニン・フロッグズ(The Moanin' Frogs)"は、アメリカのサキソフォン四重奏グループでタイミングのバッチリあったキメと、民謡、ジャズ、ロックンロールのジャンルの垣根を超えた名曲揃いで魅了されました。
"デュオ・カロリーナ&イヴォ(Duo Karolina & Iwo)"は、ポーランドのヴァイオリンとアコーディオンのデュオで故郷の音楽、ショパンのノクターンを奏で、ラヴェルのツィガーヌは確かな技術力と音色の引き出しの多さを感じました。
"クワチュール・アヴェナ(Quatour Avena)"はフランスのサキソフォン四重奏グループで特殊奏法を取り入れて先鋭的なサウンドを聴くことができました。
"クレヴェール・クァルテット(Klever Quartet)"はロシアのチェロ四重奏(珍しい!)でファイナルラウンドの締めとなるロシア民謡「ああ広き野よ」の演奏で4本のユニゾンが奏でるロシアの草原の表現は訴えてくるものがありました。
どのグループもはるばる日本まで来られて、1次ラウンド・セミファイナルラウンドを勝ち抜いてきた錚々たる顔ぶれでありながら、なお疲れを全く感じさせることのない立ち居振る舞いでした。素晴らしかったです!
感想
今回優勝したのは「ザ・モーニン・フロッグズ」でした。有名曲の選曲や、観客とのコール&レスポンスなどのエンターテイメント性を重視し、手堅く優勝を獲りに行ったという感じがあります。
しかし!個人的優勝は絶対的にクワチュール・アヴェナです。
「マルゴーのワルツ」の複雑なリズムによるコンビネーションが綺麗に決まっていたのは、相当吹き込まれているというのが伝わりました。
特に面白かった選曲は、新年のBGMで有名な「春の海」のサックスアレンジしていたことです。息を強く吹き込んでから、すかさずか細い繊細な持続音に切り替えることにより撥弦楽器の音色が見事に再現されていました。バリトンサックスを寝かして形としても筝を表現するのも芸が細かく、その音色と視覚的演出の巧みさは会場のパイプオルガンを神社へと変貌させるほどでした。
ピアソラの「4・フォー・タンゴ」は、しゃくりや息を強く吹き込む特殊奏法がユニークです。この編曲自体はサキソフォン四重奏のレパートリーとして良く取り上げられるようで、過去同大会優勝グループのグランプリコンサートでも演奏されていました。ただ特殊奏法が、後に続く「春の海」への布石になっている感じがして、緻密に構成が練られている印象でした。
ここまででももうお腹いっぱいですが、最後に演奏されたP・ガイスの「パッチワーク」がダメ押しの一手。細かいリズムの連続にも4人の息がピッタリと合っており、極めつけにはスキャットの掛け合いも入り、怒涛の展開で会場を圧倒していました。
残念ながら優勝には選ばれず、特に新しい表現様式を感じさせる団体に授与される「ニューウェイブ賞」獲得は納得ですが、是非とも優勝してほしかったですね。
イベント終了後の出来事
さて、4組の演奏が終わり、投票の時間になりました。
隣の外国人客に、「後どれくらいの時間で結果が出るの?」というようなことを(多分)聞かれましたが、私の英語力ではうまく伝わりませんでした。くそ!
そんな中、司会の口から思ってもなかった情報が入ってきました。
なんと一般審査員としてYouTubeチャンネル「ゆる音楽学ラジオ」のパーソナリティ浦下さん、黒川さんが来阪していたのです!
「ゆる音楽学ラジオ」といえば、クラシック音楽の楽曲や作曲家の解説を発信しているチャンネルで、当会員のトイドラさんが共演しているという関係があります。私も、個人的にそのコラボ以前からチャンネルを観ていましたので驚きでした。
せっかくなので、出待ちしてお2人に「いつも観てます!」とお声がけしました。お二方とも親切に応対くださいました。現場からは以上です。
・・・ブログに書くならせめて、自己紹介するとか、写真お願いしたらよかったですね。小心者なのでそういうことはなく、ただの一般不審査員としての立ち振る舞いしかできませんでした。
でもお時間を取ってくださりありがとうございました!これからも応援しています!
最後に
今回のフェスタの内容ですが、YouTube公式チャンネルから配信のアーカイブが丸々残っています。画質・音質共にとても良いです。気になった方は是非チェックしてみてください!
第9回と第11回大会のアーカイブも残っており、勉強になります。なお、第10回はコロナ禍のため中止だったようです。
また、本日5/17からは「大阪国際室内楽コンクール」が行われています。こちらは「弦楽四重奏」「ピアノ三重奏・四重奏」部門がありますので、興味のある方は住友生命いずみホールに足を運んでみてください!公式チャンネルから配信もあるようです。
観覧を終えて狙い通り、室内楽への見識が広がりました。特にSaxは、これまでビッグバンドの中でしか見たことが無かったのですが、カルテットでの表現力の多彩さに気づかされました。
室内楽という規模はオーケストラほど肩ひじ張ることもなく、短い曲も多いとわかったので今後ピアノ以外の曲でも気軽に聴いてみようと思えるようになりましたし、自身の作曲に生かせたらと思います。
そして今回は金管、パーカッション、民族楽器は見れなかったので、その編成も観てみたいなと思いました。出場予定だった民族楽器目白押しのロシアのグループが出られなかったのは惜しいですね。いろんなコンサートも見に行ってみたいですし、フェスタもまた第13回、14回と続けて観ていきたいです。楽しい一日でした!