≪前回≫
どうも、gyoxiです。そして、アニメサントラ選第二回です。
今回ご紹介するのはこちら。
スケッチブック~full color's~
より
『サウンドスケッチブック』
「スケッチブック~full color's~」について
スケッチブック〜full color's〜は小箱とたんの4コマ漫画「スケッチブック」を原作とした作品だ。
原作漫画は無口な少女、梶原空と彼女が所属する美術部の部員達、そしてその周囲の人々の何気ない日常を描いた所謂ほのぼの4コマのジャンルだ。割と生活感あるエピソードもあるので気軽に読めて、面白い。
...のだが、昆虫ネタがマジで多い。美術部の先輩である栗原先輩はガチの自然好きのため、栗原先輩が出てくると必ず昆虫ネタが出てくる。最近買った8巻に登場する、栗原先輩絡みの昆虫・自然ネタはこんな感じ。
とたん先生自身も生き物大好きな方故、栗原先輩は実質、とたん先生の自然に対する熱意の擬人化である。
ウミヘビさん(ホタテウミヘビ)(魚)連れて帰ってきた。飼い始めて6年が経つのです。水槽に砂入れなきゃ。 pic.twitter.com/zZRl86SdNa
— 小箱とたん (@Kobako_Totan) 2020年9月1日
箱があったので開けてみたら虫がいてびっくりした。冷静に見たらタガメとタイコウチの抜け殻だった。昔飼ってたやつのだ。 pic.twitter.com/LzVtLJNixr
— 小箱とたん (@Kobako_Totan) 2020年6月21日
さて、そんなスケッチブックのアニメーション作品の監督を務めているのは平池芳正だ。
11月16日生まれ。
代々木アニメーション学院卒業後、スタジオジュニオ(現ジュニオ ブレイン トラスト)を経て、現在はフリーランスで活動している。
https://www.satelight.co.jp/creators/%E5%B9%B3%E6%B1%A0%E8%8A%B3%E6%AD%A3/
平池芳正とは (ヒライケヨシマサとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
平池さんが監督をしていた作品で個人的に見ていたものだと、カレイドスターとかWORKING!!とかが印象深いですね。カレイドスター、熱血スポコンで面白いんすよ、オススメです。
そして監修をしているのはお馴染み佐藤順一さんです... 自分、なんか好きなんですよね、サトジュン監督の作品。今まで何度も紹介しているので、詳しくは過去の記事をお読みください......
何故こんなにハマったか
さて、そんなスケッチブック~full color's~ですが、今年の4月に視聴してそれはもうドエライ勢いでハマりました。一体何故でしょうか。その理由を、考えてみました(事実上の布教活動)。
明確なストーリー展開がない
一般的な日常アニメというものは、巨大な山場のあるような急激なストーリー展開はあまり無い。が、それでも明確なストーリー展開はあるもので、例えば前回紹介したARIAでも、物語の起承転結が存在している。しかし、スケッチブックは元が四コマ漫画である所為もあってか、明確なストーリー展開をあまり感じさせず、物語の起伏にとらわれる事なく作品を視聴することができるのだ。
話のベースが梶原さんのモノローグ
とは言うものの、「明確なストーリー展開のないアニメ」なぞ探せばなんぼでも出てくるだろう。それでも、この作品が他の作品と違うのは「ストーリーの根底に梶原空のモノローグがある」ということだろう。
例えば自分の大のお気に入りである第4話「三人だけのスケッチ大会」でどれだけモノローグが語られているかを実際に調べてみると、合計で115秒もある。またそのモノローグもハキハキとしたモノローグでは無く、「...と、わたしは思うのだ」といった無口な梶原空らしい語り口であり、それらによって一人の時間を過ごしているような静けさと不思議な心地よさがこの作品にもたらされるのだ。
サウンドが良い
そして何より、サウンドが良い(直球)。サントラ選シリーズで紹介しているので、そりゃあ音楽が良いんでしょう、と思うかもしれないが、それだけでなく環境音も良いのだ。
美術部が活動するのは主に放課後であるが、活動しているその後ろでは吹奏楽部が練習している音や、運動部が活動している音が聞こえてくる。先に例に挙げた第4話は雨の降りそうな日に写生大会に行くという話であるが、雨の降る前にはカエルの鳴き声や風に揺れる草木の音が聞こえる、そして、雨が降り始めて雨粒が草木を打つ音が聞こえる。そんな誰もがどこかで聞いたことのある音に劇伴がそっと寄り添い、どこか懐かしいような、大きな感傷を呼び起こす風景を描いているのだ。
スケッチブックのサウンドトラックについて
スケッチブックの劇伴をしているのはピアニストの村松健だ。
なつかしゃ唄の島、奄美大島のピアニスト、作曲家、そして三絃(奄美三線)弾き。幼少からピアノをおもちゃ代わりに、東洋〜民謡やシマウタから、西洋〜クラシック・ジャズ・ブラジル音楽までボーダーレスな音楽環境で成長し、独自のなつかしい音世界を育む。成城大学在学中の1983年にデビュー。以来、自作自演のスタイルで送り出したCDは40作を超え、季節の彩りから生まれた優しくせつないアルバムは多くのファンに愛されている。
プロフィールで語られている「独自の懐かしい音世界」が、この作品の雰囲気に本当にビタとはまり込んでいるんです。すごいんです(語彙力)。村松さんの音楽は各種音楽サービスで配信してるので、是非聴いてみてください、お願いします。これ、オススメです。
それでは、スケッチブックのサウンドトラックで村松健によって奏でられるどこか懐かしい音楽たちを紹介したい。
遠まわりして帰ろ
Sketchbook ~full color's~ OST - 01 - Toomawari Shite Kaero
最初はコロコロとしたピアノで始まり、ワンフレーズが終わると、流れるような演奏に変わる。ストリングスがそのピアノに優しく寄り添う。いつものように流れる時間。何気ない静かな帰り道。まさにこの作品の雰囲気そのものを表現しているといえる曲だ。
夕焼けを歩いたね
Sketchbook ~full color's~ OST - 09 - Yuuyake wo Aruita ne
西の空に太陽が沈みゆくその瞬間、この曲が描いているのはきっとそんな光景だろう。誰しも、日没の瞬間を毎日眺めている訳ではない。でも、ふと気づけば、日常の側にはこんな壮大で美しい光景もあるのだ。ちなみに最近、村松さんによるこの曲のロングバージョンの野外演奏動画がリリースされたので、そちらも要チェックだ。
なかさつ音まちWEBシリーズ(野外編) 村松健 秋の“やさしい時間”夕焼け坂
このところ村松健の北海道での活動の拠点にさせていただいている文化振興の村、中札内より村松健の野外演奏の映像がリリースされました。文化創造センターの前庭で、木の葉舞い降りる中、アウトドアピアノをプレイ。オンラインパフォーマンスに続きどうぞお楽しみください。https://t.co/2diVt8V4WO
— 村松健 (@ken_muramatsu) 2020年11月10日
雲の澪を行く
Sketchbook ~full color's~ OST - 21 - Kumo no Rei wo Iku
どこまでも深く青い空。流れゆく雲。雲は壮大な旅をする。時には入道雲のように大きく盛り上がり、時には形を成さずにサラリと流れていく。雲は旅の途中、様々な景色を目にしているだろう。 そんな雄大で美しい雲の行く道を、ピアノとストリングスが描き出している。
バルーンムード~夢からさめても~
Sketchbook ~full color's~ OST - 07 - Balloon Mode ~Yume Kara Samete mo~
上で紹介してきた曲とは打って変わって、柔らかで温かい雰囲気の曲だ。放課後に友達と一緒に過ごす穏やかな時間。人生でこの一瞬しかない、とても大切な時間。この曲からはそんな風景が頭に思い浮かぶ。
おわりに
今回は、スケッチブック~full color's~のサウンドトラックを特集した。音楽もアニメも共に素晴らしい作品なので、機会があれば是非一度ご覧になってはいかがだろうか。
それではまた。