名大作曲同好会

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【R-18】アンチ・アイドル音楽の絶望的新星「ルイス・コール」を語る

最近、音楽とアイドルとの関係は切っても切れないものになりましたね。
聖子ちゃんブームがあり、おニャン子クラブが世間を騒がせた時代から時は流れ、ジャニーズが一世を風靡したかと思うと、AKB48だかAK-47だかわかんねー奴らがオリコンチャートを壊滅させたりもしました。
今やアイドル業界はシッチャカメッチャカの様相を呈しています。

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AK-47

なんでこうなったかといえば、それはもう可愛いおにゃのこor性的なボーイズが歌唱してんのを見ると人間の幸福中枢は活性化する傾向にあるからです。
つまり一言でいうと、アイドルというのは外見がいいのです。
外見がいいからアイドルなのであり、アイドルだから外見がいい。
もはや歌すらヘタクソでもいいのです。
アイドルは歌手ではなく、あくまでアイドル。
歌がうまければその分魅力的ではありますが、別に下手でもそれはそれ。
ただし、外見だけは絶対に良くないといけません。
だってアイドルだかんね!!!

 

 

え、それ音楽と関係あんの??????

 

【もくじ】

 

下ネタと反骨精神の化身「knower」

そう、アイドル文化は音楽文化と並行しているように見えて、実際は全然違うもんです。
見た目の良い男女が音楽を利用して自身のカッコよさ・可愛さを売る、というのがアイドル文化の正体なので、それはもう音楽というより演劇的の方が近いと思います。
実際、アイドルが歌うためのBGMと化したアイドルソング(特に最近の)は酷い質のものばかり。
そしてその歌詞も、当然ですが性的な魅力を誇張したものが多いです。
抱き合うとか濡れるとか脱がすとか何回言えば気が済むの???

www.dailymotion.com

 

さて、こんな感じに蔓延したアイドル文化ですが、これは別に日本だけの話ではありません。
アメリカなどの海外を見ても、アーティスト=アイドル=見た目が良い&セクシー、という構図は同じ。

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K-popアイドルとか

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ジャスティンビーバーとか


そんな中、ある音楽グループが2010年頃からyoutubeに動画をアップし始めます。
その名も「kower」。
まずは音楽を聴いてみましょう。


色々ツッコミどころはありますが、一旦無視して話を進めますと、「knower」はルイス・コール(Louis Cole)ジェネヴィエーヴ・アルタディ(Genevieve Artadi)(すげー名前)の2人による音楽グループです。
で、失礼なことを言いますとこの2人、ルックスはお世辞にもいいとは言えません。。。

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kowerのふたり

「なんだブスじゃん、動画見んのやめよ……」と思ったそこのあなた。
今すぐ悔い改めて雷に打たれ転生してknowerの歌を聴いてください。
歌はめちゃくちゃにカッコいいのです。
新世代らしいDTMサウンドを大胆に取り入れつつ、ルイス・コールの高い演奏技術と作曲センスを存分に生かしたサウンドになっています。
ベースラインの動きとドラムのフィルインがドチャクソカッコいいですね。

が、今回特に注目してほしいのは歌詞の方。
上に挙げた「BUTTS TITS MONEY」の歌詞を見てみると……

Butts and tits and money (Yes!) (x3)
Cause I'm broke and ugly

〈日本語訳〉

おケツ、オッパイ、そんでお金(Yes!)
だってアタシは文無しのブスだもん

おお…………
なかなか重い歌詞ですね。
MVでは、白鳥の首に跨った下着姿のアルタディが体をくねくねさせるシーン(oh...)を見ることができますが、歌詞を知らない人が見ても多分エロいというより不気味に思うでしょう。
というのも、アルタディが全然かわいく見えないからです。
本人の外見のせいというより、製作者の意図として明らかに可愛く見せようとしてないでしょう。

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全くエロくなくむしろ怖い

さらに、「THE GOVERNMENT KNOWS」の出だしの歌詞を見てみましょう。

The government knows when you masturbate

〈日本語訳〉
政府はあんたがいつシコってるか知っている

う~~~ん前奏明けの歌詞がいきなりこれかい?????
ちなみに、それ以外の部分の歌詞も

They fill the sky full of drones
To check and you and your bone
〈日本語訳〉
政府は空をドローンで埋め尽くす
あんたとあんたの亡骸を確認するためだ

They can see your dick from outer space

〈日本語訳〉
あいつらはあんたのちんちんを宇宙からでも見ることができる

The only dick they haven't seen is Edward Snowden's

〈日本語訳〉
政府が観察していないちんちんはエドワード・スノーデンのやつだけだ

などと供述しておりひどいもんです。
全体的にド直球な下ネタと政府批判に満ちています。
MVにドナルド・トランプ出てくるし。
ちなみに、「BUTS TITS MONEY」のMVにはちんちん型ロケットが出てきて2人の顔面を粉々に粉砕していきます。
ちょいと下ネタが直接的すぎやしませんか?????

 

…………というように、knowerの音楽性は極めて変わっています。
音楽自体はめちゃくちゃクールなのに、歌っている内容はぐっちゃぐちゃの下ネタ・ナンセンス・大衆批判に政治批判ときたもんです。
そして特筆すべきは、2人とも明らかに意図的にルックスを良く見せようとしてません
むしろ、自ら進んでブサイクを演じているように感じます。
”ブッサイクな2人組がクソみてえな歌詞をめちゃくちゃイカした音楽に乗せて歌い上げる。”
それこそが、knowerなりの表現のしかたなのです。

 

歌詞は数行、後は暴走「ルイス・コール」

彼らの音楽に込められたメッセージは、ルイス・コールのソロ作品からも存分に味わうことができます。
まず、「When You’re Ugly」を聞いてみましょう。

MVは開始早々いきなり混沌に支配されますが、それはいいとして注目すべきは歌詞です。

We all live on planet earth and this is how it works (x2)

When you’re sexy, people wanna talk to you
When you’re ugly, no one wants to talk to you
When you’re ugly, there is something you can do, called
Fuck the world and be real cool 

 

〈日本語訳〉

僕らはみんな地球に住んでる
そして、これがこの星の仕組みだ(x2)

 

あんたがセクシーなら、みんながあんたと話したがる
あんたがブスなら、誰もあんたと話したがらない
でも、あんたがブスでもやれることはある
つまり、
世界をブチ犯して本当のカッコ良さを手に入れろ、ってことさ

歌詞はたったのこれだけ。
4分間ずっとこの歌詞を繰り返して終わるのですが、この短い歌詞が心に染みます。
Fuck the world and be real cool 」ってメチャクチャかっこよくないですか????????

ちなみに、MVでは途中からルイス・コールが実際に近所の町を破壊しはじめます。
それどころかキーボードまで破壊したうえ、今度はコール自身がイスでぶん殴られて最後は車に轢かれて吹っ飛んでいきます。
因果応報ということでしょうか。

 

他にも、「F it up」という曲も見てみましょう。

If life is asking, here's what's up
I would rather f- it up
Easy, safe and dreams with dust
I would rather f- it up

I don't know what I'm doing but I want to live (x3)

 
〈歌詞〉
人生が俺に「何があった?」といちいち求めてくるなら、*1
そんな人生ぶち壊したほうがマシだ
簡単で安全で、でも夢はホコリをかぶっている
そんな人生ぶち壊したほうがマシだ
 
俺がしていることが分からない
でも俺は生きていたい(x3)

 やっぱり歌詞はほとんどこれだけ。
一通り歌詞を歌い終わると、長い長い間奏に入ってみんな好き勝手に暴れ始めます。
「言いたいことは言い終わった、よし暴れっぞ!!!」みたいなノリですね。

ちなみに、上の2つのMVにはどちらにもアルタディがゲスト出演しています。
というか、ルイス・コールのMVにはだいぶ頻繁にアルタディが出てきますね。
おめーら仲良しかよ…………。

 

「アイドル」の対義語は「ルイス・コール」でいいと思う

というわけで、ルイス・コールはじめknowerの音楽性はかな~り独特でした。

  • 直截な下ネタ・風刺・ナンセンス
  • 短く直球なメッセージ
  • 不快で混沌としたMV
  • 圧倒的な演奏技術とクソかっこいいサウンド

これらがバカみてえなバランス感(なんてあるのか???)で配合された結果、歴史的な要注意ポップス量産マシーンが完成したわけです。

これに対して、冒頭に挙げたようなアイドルたちは、

  • 遠回しな性的表現
  • メッセージ性を失い道具と化した歌詞
  • アイドルの外見を映えさせることに特化したMV
  • 演奏や音楽の質は二の次

というわけですから、これはもう実質対義語と言っていいでしょう。

 

最後に余談ですが、実はルイス・コールはもう一つ別のバンドも手掛けています。
「Clown Core」という覆面バンドです。
一つ聞いてみましょう。

 

 

 

 

 

「Toilet」

 

 

 

 

 

いやバカなのか??????

 

 

*1:翻訳に自信がありません。間違ってても知らないよ。