名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

2021年よかった曲

2022年明けましておめでとうございます。本当にめでたいですか?

まあそんなことはさておき、2021年も色々聴いたり聴かなかったりしました。

 

目次

 

Bicycle Race Remix By Plus-tech Squeese Box - Naivepop or Petitfool


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我らが名古屋で結成された男女二人組ギターポップバンド。インターネッツの情報的には1990年代後半から2000年代後半にかけて活動していた感じがします。現在はどうしているんでしょうかね。この曲以外には3.20というフリッパーズギターGoodbye, pastel's badgeにイントロがそっくりな曲が面白かったです。流石に似すぎている。


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Plus-tech Squeeze Box remix関連だとOkashina Suiyoubiremix (Remix By Plus-tech Squeeze Box)も良かったです。


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UTOPIA - 佐藤優


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佐藤優介はスカートやらKID FRESINOやらでサポートをやりつつ、稀に個人名義でリリースするんですが、毎度曲が良いです。1980年代リスペクトな音響になっていながら、ちゃんと現代的な音になってて大好き。そして「そのミックスでええんか?」と思わず突っ込んでしまいたくなるほどボーカルが埋もれているのが面白いです。確かに1980年代の曲ボーカル埋もれがちではあるのだが(高橋幸宏とか)。と思ってマスタリングした人みたらIllicit Tsuboiという長谷川白紙とかのも手掛けてる人で、なんだか納得しました。

 

慰安旅行 - SAKEROCK 


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星野源と浜野健太が在籍していたことでお馴染みのSAKEROCKです。

元々SAKEROCKはよく聴くんですが、2021年はストリーミング解禁された影響で余計に聴いてしまいました。世間的にはMUDA~SAYONARAあたりがよく聴かれてるようですが、個人的にはそれより前の方が音楽的に面白いというか、マーティンデニーとか細野晴臣トロピカル三部作をやるという元々のコンセプトに沿ってて好きなんですよね〜。キモいオタクが出てしまいました。次いきましょう。

 

YOUR OF JAMAICA - でぶコーネリアスEX


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本家コーネリアスはオリンピックに関わってしまったばかりになんか燃えてましたが、その裏ででぶコーネリアスEXは堅実に活動を続けていました。風評被害(あるのか?)に負けず、偉い。かつて銀杏boyz峯田和伸にでぶコーネリアス命名されて、今なおその名前を使い続けてて、偉い。

初期衝動とエモの塊のような曲なんですが、気づいたら2021年一番聴いた曲になっていました。多分疲れてたんだと思います。

 

The Paramedics - METAFIVE


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こっちもコーネリアスが燃えたせいでアルバム発売できなかった夢のドリームチームことMETAFIVEですが、そんなことより病気療養中の高橋幸宏が復帰できるかとても心配です。もう70過ぎだから仕方ない側面もありますが、やはり彼のドラムが聴きたいです。

曲はいつも通り安定してカッコいいです。こういうシンセの音を発しながら日々を生きていたい。あと小山田のギターフレーズが全部キモくて良い。

MVの映像は伊藤高志という実験映画監督の作品のコラージュです。HASAMI groupという音楽グループがいるのですが、このMVのおかげでHASAMIgroupの秘密の科学guru guruのMVの元ネタが判明しました。思わぬ収穫があり、そういう意味でも嬉しい曲でした。


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Lightship - ザ・なつやすみバンド


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2021年夏にはSonny Boyという逆張りクソオタクむけのアニメがやっておりまして、私も逆張りクソオタクなのでもれなく見ていました。暗喩に満ち溢れている上、必要最低限の説明だけで物語が進んでいくので不親切極まりないアニメでしたが、劇伴がめちゃエモかったのでつい見れちゃいました。この曲はその劇伴のうちの一つです。

ザ・なつやすみバンドには「毎日が夏休みであれ!」という信念、「聴いた人が現実逃避できるように」という思いがあるらしいです。後者はわかるよ、後者は。大衆音楽にはそういった側面もあるもんな......。前者はなんなんだ???? というのは聴けばわかりました。スティールパンやトランペットがフィーチャーされててめちゃ南国感が出ています。すげえ、ちゃんと夏休みだ! しかし結成当初はスティールパン&トランペット担当が在籍していなかったらしいので、当時どうやって夏休み夏休みしていたのかは不明です。

 

同アニメの劇伴はなかなか豪華でして、ミツメや空中泥棒など様々なミュージシャンが劇中曲を手がけています。Lightshipの他にはtoeサニーボーイ・ラプソディなどもよかったです。名古屋出身のOgawa & Tokoroも二曲提供してて驚きました。


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DANCE TO GOD - SPIRAL LIFE


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Spiral Lifeは1993年にデビューした二人組音楽グループです。時期的に渋谷系と混同されがちですが、本人たちは否定しています。古い時代の音楽から、同時代的な音楽まで分け隔てなく取り込み、90年代ならではの音像を形成することを目指したらしいです。それを渋谷系というのではないでしょうか?(諸説あり)

とはいえ渋谷系というにはいささかハードロックなので、そういう意味合いでは違うかもしれません。

 

水硝子 - RYUTist


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RYUTist新潟県を拠点とするアイドルグループです。以前は割と普通のアイドルグループだった気がするのですが、2020年あたりから楽曲制作にKan Sanoや蓮沼執太、北川勝利が参加し始め、2021年には君島青空が作編曲した結果こうなりました。sora tob sakanaに提供してた時はもっとおとなしい曲だったのに、RYUTistではただの君島になっています。ウケる。

 

ユニ - 長谷川白紙


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長谷川白紙は最近やたらノイジーな曲を連発しててお腹いっぱいだよぉ〜!と思っていたんですが、ここにきてバラードをリリースしました。ありがとうございます。とはいえ出だしからかなり不穏な音がなるわ、終わり方......?となるわで、普通のバラードとして聴かせてくれないのはいつも通りで、それはそれで嬉しかったです。あとほぼ全編にわたって生楽器が鳴ってるの何気に初だと思うんですが、案外こっちの方が聴きやすくて良いかもしれないなとも思いました。

 

羅針鳥(Shohei Amimori Rework) - Kitri


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Kitriは京都出身の姉妹ピアノ連弾ボーカルユニットです。大橋トリオがプロデュースしてるらしいです。Reworkを手掛けた網守将平は、東京芸大の作曲家を出ているので現代音楽の作編曲もやるんですが、近年はポップスの仕事が多いような印象を勝手に抱いています。ピアノ連弾ユニットというコンセプトを汲んだのか、ピアノをカットアップしたような編曲になってますね。

 

まちあわせ - たま


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今年はずっとたまを聴いていたといっても過言ではない一年でした。表層的にはコミックバンドにしか聴こえないんですが、真面目に聴くとかなりちゃんとした楽曲に聞こえるので面白いです。あと歌詞もいいですね。メンバー全員それぞれ違った個性もあるし、良いバンドだったんだなあとつくづく思います。

 

My Favorite Things - James Francies


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James Franciesはアメリカのジャズピアニストです。まだ23歳なので彼のリーダーアルバムはまだ2枚しかないんですが、全部素晴らしいのでみんな聴いてください。

この曲は二作目のアルバムに収録されています。My Favorite Thingsは流石に擦られすぎやろ......と思って聴いたら、ゴリゴリの変拍子ジャズになってて度肝を抜かれました。途中、ヴィブラフォンのJoel RossとピアノのJames Franciesのソロの応酬があまりにもスリリングで、「これ私のお気に入りなの!」と言われて赤黒いドロドロの脈打ってる生命体見せられてる気分になりました。褒めてます。

 

Emme - phonon


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phononの作る曲はEDMにしては妙にリズムがヨレているというか、あまりクラブミュージックっぽくない律動で面白いです。どっちかというと現代ジャズっぽいかな? この曲ではないですが、明らかにインド古典音楽みたいな連符と変拍子の嵐みたいな曲があって、マジで聴衆はどうやってノってるんだと思って動画見たら、みんな普通にノってて驚きました。俺が農耕民族だからノれないとでもいうのだろうか......。

 

Stout-Hearted Men - Shooby Taylor


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SAKEROCKのルーツを辿ってる時に出会いました。Shooby Taylorはスキャットの第一人者で世界的に有名らしいですが、申し訳ないことに声があまりにもファニーすぎて、おもしろおじさんとしてしか認識できませんでした。poopy poopy poopy poopyは流石に面白すぎる。この声が他のjazzボーカリストと違って良いんだ、みたいなことがWikipediaに書いてあったので僕の鍛錬が足りないんだと思います。

 

Green Sleeves - Rufus Harley with Georges Arvanitas Trio


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バグパイプでジャズできるんだ!というのが、驚きでした。バグパイプは基本的にベタ吹きというか、タンギングとか細かいアーティキュレーションを必要とするジャズには必然的に不向きという偏見がありました。でも全然そんなことないですね、むしろモーダルに対する親和性が高い。

とはいえRufus Harleyは元々バグパイプを吹いていたわけでもなく、サックスやフルートを吹いていたようです(プロになってからも吹いてる)。ではなぜ吹くことになったのかというと、フィラデルフィアにてケネディ大統領の葬式で流れていたバグパイプの音を聴いたのがきっかけ。天啓を感じ取ったのか、はてまた気まぐれか、バグパイプを求めてフィラデルフィア中を探し回ったそう。しかしフィラデルフィアにはなかったので、わざわざニューヨークまで買付に行ったんだそうな。執念がすごい。

 

Reeling - Bang on a Can All-Stars


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Bang on a CanはJulia Wolfe、David Lang、Michael Gordonによるアメリカのポスト・ミニマル音楽グループです。アメリカのポスト・ミニマルの潮流の始祖に位置するらしく、アンディ・アキホやクリストファー・セローンらに影響を与えている、というか師だったそう。そう言われると確かに共通点を見出したくなる。

オリジナル以外にもミニマル、ポストミニマルの曲をカバーしたりもしていて、たとえばBrian EnoMusic for Airportsを人力で再現するイカれたアルバムを作っていました。あれは人力で演奏する曲じゃないので恐怖を覚えました。

 

おわりに

2022年も良い曲をたくさん聴けるといいなあ。

その前に卒論書けるといいなあ。