こんにちは。なんすいです。
今回は私が中学・高校時代に最も影響を受けたクリエイターの1人である「kamS」を紹介しようと思います。
東方二次創作動画からkamSを知る
私は、中学の時に弾幕シューティングゲームシリーズである「東方Project」というものを知り、めっちゃハマってやり込んでいました。
東方といえば、当時は二次創作漫画やMMD(3DCG制作ソフト)を使った二次創作動画などが全盛を極めており、特にニコニコ動画では様々な東方二次創作が連日投稿されていました。
私も二次創作はそこそこ見ていたのですが、ある時たまたま流れてきたkamSの「神の御狩の道標」という作品を見つけました。これが最初の出会いです。
洩矢諏訪子と八坂神奈子が王国の覇権を掛けて繰り広げられた「神々の戦い」を表現する内容になっています。
この動画を見て最初に感じるのは、何と言っても映像の独特の空気感だと思います。
手描きの素材を重ね、それぞれを伸び縮みさせたり変形させる手法で動きを出していますが、それが特有の気持ち悪さを出しています。
そして、サビになると、急に踊ります。理由はよく分かりません。
サビで踊る構成は彼の初期作品で多く見られますが、これはTikTokを意識してサビで無意味に踊らせる現代のポップスのMVブームを先取りしていると言えるでしょう。
さて、本動画はkamSの作品の中でも最も人気の高い作品だったのですが、私個人的には、この動画はkamSの創作の重要な側面を説明するには適していないと思います。
その重要な側面とは、彼の中に蠢く「リビドー」とその表現力の高さです。
kamSの驚くべき性的表現
「努々夢見る事なかれ」という作品。
KamS本人が「シモネタばかり」と言っている通り、性的な夢世界に迷い込み、下ネタがフラッシュのように次々繰り広げられていくという内容です。
フラッシュ部分は本当に単純な下ネタに過ぎないのですが、私はそのフラッシュ部分の前後、動画の初めと終わりで描かれる「夢世界」の表現に衝撃を受けました。
俗物的な性のモチーフと抽象的なモチーフが混ざり合い、特有の映像手法も相まって、何とも粘り気のある空気感が巧みに醸されています。
性に対する「茶化し」と「畏れ」の共存とでも言うのでしょうか。その気持ち悪さが最も本質的な描写という風に私には感ぜられ、この動画をきっかけにkamSの作品を何度も何度も見るようになりました。
振り返れば、私の性に対する感性はおそらく、内田温とKamSの2人によって概ね形成されたと思います。
2人どちらの作風にも共通していることですが、忌避され直視されない性的なテーマを最悪な形で表現してみせるという所から、私は勇気を貰っていたのかもしれません。
「玩具修理者~brilliant days」という作品。
人々から忘れられた者たちがやってくる「幻想郷」(東方の主要舞台)へ、現実世界で自殺した人がバラバラ状態で迷い込んで来ます。それを見つけた「河城にとり」が、その人を"修理"してあげて…
という感じの内容です。
ヤヤネヒロコの「brilliant days」という東方二次創作曲の歌詞に沿った内容になっているので、三次創作ということになると思いますが、やはりその表現力と死臭さえ漂うエロティシズムには驚かされます。
「イヌニナル」という作品。
妖怪が代わる代わる人間を誘惑するという内容です。
そもそも東方の世界では、妖怪達は皆かわいい少女の姿をしている設定になっています。しかし、妖怪は妖怪ですので、本質は人間を食べたり襲ったりという恐ろしい存在であり、そのようなかわいいだけじゃない世界観は原作でもたびたび描かれています。
kamSの作品はそうした原作の雰囲気を最も妥協無く表現しているという点で、東方の原作好きからの支持も高いです。
そして「イヌニナル」では、妖怪たちが妖艶なポーズをしたりして性的に誘うのですが、これが本当に物凄く性的で、怖いです。
絵柄はおよそ一般のえっちな美少女漫画とは似ても似つかぬ、原作の絵柄を拡張したような絵柄なのですが、美少女漫画よりも遥かに高次元の域でエロティシズム溢れる表現を達成していると思います。
以上、kamSの才能あふれる作品をいくつか紹介しましたが、気に入っていただけたでしょうか。
kamSは現在59歳だそうで、Twitterの投稿などを見ても極めて性に厚い生活をしていそうな感じが見て取れます。
彼のようにリビドーがしっかりとある人が己のそれを追究してアウトプットする分には良いのかもしれませんが、それを当時の自分のような自我定まらぬ思春期の若者が吸収してしまうと、健康的な感性が成熟しないんだろうなあと、今になると考えてしまいます。
現在はもうニコニコで動画作品を上げることはやっておらず、流行りのAIでエロい絵を生成しまくったり楽しくやっているようです。