名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

LA SEÑASのライブに行った

LA SEÑASのライブに行きました。

Country of Frenzy (熱狂の国)ツアーでした。

 

貴様はLA SEÑASを知っているか

LA SEÑASは2016年に結成された結成、打楽器奏者のみで構成された即興演奏打楽器集団です。 アルゼンチン発祥のハンドサインを用いた即興演奏法、Rhythm with Signsを取り入れた日本初のグループだそう。Rhythm with Signsってなんだ?

 

貴様はRhythm with Signsを知っているか

アルゼンチンのミュージシャン、Santiago Vázquezによって発案されたパーカッション即興演奏法がRhythm with Signs*1です。グループで演奏する際に指揮者を設定し、あらかじめ考案された150を超えるハンドサインを駆使して即興的に演奏を指示します。いわば野球で監督がベンチから出してるサインみたいなもんです。

実際にどんなハンドサインがあるのかというとこんな感じです。

drumsmagazine.jp

これを実際にやるとこうなります。


www.youtube.com

0:20付近でジャンベに16分音符4つを指示するところとかわかりやすいんじゃないかと思います。

 

こんな感じの事前知識があるとLA SEÑASのライブをより楽しめるような気がします。

 

俺はLA SEÑASのライブに行った

といったところで話はライブに戻ります。

実はLA SEÑAS自体は3年くらい前から知ってました。
私はポピュラーミュージックにおけるパーカッショングループが好きなんですが、人が聴いていて気持ちいいビートが限られているからか、だったらもうDTMでよくね?テクノでよくね?的な感じだからなのか、あんまりいなくて結構ニッチなんですよね~。GOMA and Jungle Rhythm Sectionとか好きなのに......。


www.youtube.com

とか思って探してたら見つけました。


www.youtube.com
今思えばそれより前にツイッターで何回か見かけていたような気もします。でもストリーミングサービスに配信したのはこの曲(が入っているEP)が初だったと思うので、やはりなんでも配信にかけてくれたほうが覚えやすいですね。

そして結成から七年の歳月を経た今年、ついに1stアルバムが完成した(長え)し、東名阪ワンマンツアーを行うとのことで、念願かなってライブを見ることができました。

 

以下感想です。

パーカッショングループということもあり、観客の手拍子や歓声がダイレクトに演奏に反映されるのがライブ体験として新鮮でした。驚いたのは、コール・アンド・レスポンスが裏拍主体だったことです。パーカッショングループとしての妥協がねえ。平気で16ビートのレスポンスを求めてくるので非常に楽しかったです。
さらに言うと指揮者の存在が効果的に働いていた*2と思います。実際、演者だけでなく観客にもハンドサインによる指示で手拍子や掛け声での演奏への参加を促していました。メンバーがしきりに言っていた「ここにいるおれたちだけじゃない、お前たちも含めてみんなでLA SEÑASだ」というのはまさにこの演者・観客の相互作用により生じる面白さ(彼らが言うところの熱狂を示していたと思います。なんですが、その割には客が棒立ちでノリが悪かったように思います。不思議です。どう聴いても実質EDMみたいな曲なのに?????


www.youtube.com

↑実質EDMみたいな曲の一例↑

演奏を見たい打楽器マニアよりは、踊りたいクラブ狂いとかに届くとライブ体験としてもっと充実するかも、と割と真面目に思います。あるいは名古屋が文化的空白地帯の可能性がありますが、これに懲りずにまた来ていただけると私は嬉しいです。

とか言っておきながら、謎の打楽器が大量に出現するので、楽器マニアにはたまらないと思います*3ガムランとかはさもあたりまえかのように出てきました。普通の楽器もどこかおかしくて、特にシンバルからは明らかに打ち込みっぽい音がして異様だったので後で確認しに見に行ったんですが、シンセドラムとかではなく人力だということがおそらく判明しました。その代わり見たことないセッティングでした。

全然伝わらない写真で申し訳ないんですが、セッティングが異様だったんです。信じてください。

南米だとこれが主流だったりするんですか!?

また、先ほども少し言及しましたが、パーカッショングループのジレンマとして人が聴いていて気持ちいいビートが限られているというのが挙げられると思うのですが、その辺はラテン系のビートを基調に日本やアフリカ、現代ポップスのビートを折衷することでなんとかなってました。むしろ折衷の仕方がおかしい。途中ティンバレス奏者が締め太鼓をたたくシーンがあったんですが、たたき方がもろティンバレスだったんですよね。なんでやねん。これが最もわかりやすいシーンだったんですが、おそらくこれと同じことがほぼすべての楽器で起きていました。おそらく、というのは楽器が多すぎて全容を把握できていないからです。

 

という感じで私は結構楽しめました。大所帯なので難しいかもしれませんが、また名古屋に来てほしいです。おわり。

*1:ちなみにRhythm with Signs自体にはLawrence D. “Butch” Morrisが考案した即興演奏法が元ネタとしてあるようです。

*2:本来ならば

*3:私もたまりませんでした