名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

【音楽理論】進捗発表①(基本的な定義:音空間~スケール)

こんにちは!なんすいです。

最近、研究っていうほどではないけれど和声理論で考えていることがあって(近々ちゃんとした形で出すつもりです)今回はその導入部分を記事にします。

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ちょっとだけ数学っぽい話になります

 

離散的音空間

導入部分でやっているのは「環境整備」です。話をより快適に進めていくために、色々基本的な部分を定義していきます。
特に、私が今考えたいのは和声理論なので、それに特化した環境を整備します。

以下、今執筆中のpdfから適宜引用しつつ解説していきます。

 

最初に「音全体」を定義しようと思います。
繰り返しになりますが、今は和声理論を考えたいので、音の要素のうち特に「高さ」だけ見れたらいいですね。したがって「音全体」というのは実際には「音の高さ全体」ということになります。
また、詳しい説明は省きますが、音の高さはcentという単位を利用して実数値で表すことが出来るので、音全体は実数全体ℝとみなすことが出来ます。

 

さて、これで音の空間をℝの中で扱えることが分かりましたが、このまま一般的な和声理論を扱うのは難しいです。

なぜかというと、ℝは連続的な空間ですが、一方で、多くの理論は「ドレミファソラシ…」のような「とびとびの音」の空間の中で組み立てられているからです。

そこで、「離散的な音全体の空間」を考えましょう。実は、これは整数全体ℤと見なせます。

 

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ここで「整列的」と言っているのは、"任意の元xに対して「次の元」x'が存在する"という性質を強調したかったからです。ℤがこの性質を持つことは、ℕ(自然数)が通常の≤で整列順序集合になることから分かります。

 

さらに定義1.1では、音程の定義もしています。2つの音の差の絶対値としました。

これで、「同度が1度」っていうマジでやめてほしい度数表記の慣習から逃れることが出来ました。嬉しいです。

 

 

n音律空間

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定義1.3では、ある音程n(1オクターブ)があって、その音程関係にある音同士を同じ音とみなす空間を定めています。

また、今回は調性のある音楽を考えたいので、n音律空間の中に「中心音」を定めたものも定義します。中心音が複数あるような空間も考えられますが、とりあえず中心音がただ1つであるもののみ考えることにします。このとき、0∈ℕ_nを特に中心音としておけば良い、ということですね。

これで、私たちが一番馴染みのある12平均律の世界を表すことが出来るようになりました。すなわち12音律単純調空間ℕ_12={0,1,...,11}で表され、中心音ドが0、ド#が1、レが2、…となります。

 

 

音列・スケール

最後に、音列スケールを定義します。

 

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(この定義ではとりあえずmを「位数」と呼ぶことにしていますが、「位数」と呼ぶか「基数」と呼ぶか「次数」と呼ぶかどれが一番妥当なのか、ずっと迷ってます。助言とか下さると助かります。)

 

定義1.6にしたがって、いくつかスケールの例を考えてみましょう。

  • 位数1のスケールはただ1つ、すなわち中心音のみの1点音列[0]に限ります。
  • 任意のnに対してℕ_nの位数nのスケールはただ1つ[0,1,2,...,n-1]で、これをクロマチックスケール、半音階と呼びます。
  • 私たちに馴染み深い12平均律におけるメジャースケールは[0,2,4,5,7,9,11]∈SK_12^7 と表すことが出来ます。

 

 

いかがだったでしょうか

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いかがだったでしょうか

まあ正直定義ゾーンなのであんまり面白味は無かったと思います。ごめん!

この後からは、上で定めた定義のもとで、スケールを正規性などの特徴によって分類したりしていきます。(まだまだ手探り状態な部分は大きいので頓挫するかもしれません)

考えてる内容はもちろん作曲にも活かせたらいいなあと思っています。今後益々の進捗をご期待下さい。終わり