名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

〈作曲ものまねシリーズ〉#3 フランツ・リスト

どうも、名作会会長の冨田です。

自分は今年度大学を卒業してから、作曲家として活動すべくインプットとアウトプットを重ねる日々を送っております。

この連載では、今までベートーヴェンショパンの作風をものまねして一曲ずつ新しい曲を作ってみました。

今回は、ピアニストであれば誰もが憧れるピアノの魔術師、フランツ・リストをものまねしてみましょう。



フランツ・リストとは

フランツ・リストFranz Liszt)は、1800年代にピアノのヴィルトゥオーゾとして活躍した、ドイツロマン派に位置づけられる作曲家・ピアノ奏者です。

ドイツを本拠地としながら、自分がハンガリー人であるということをアイデンティティとして強く意識し、自身の音楽にもハンガリー民謡を取り入れようとしました。

ピアノ奏者としては強烈で、ピアノの弦を切るほどの情熱的な即興演奏を持ち味とし、その圧倒的な演奏技術には同時代の音楽家たちも驚嘆しました。

女性ファンが多く、コンサートではファンが失神することもあったとか……。

音楽性は当時にしては先端的で、後期には無調音楽にも挑戦しています。

 

さて、今回彼の作風をモノマネするにあたり参考にした曲は、超絶技巧練習曲より第4番「マゼッパ(Mazeppa)」です。

リストの音楽は作品や時期によって曲風のばらつきが大きいですが、分かりやすくリストらしい超絶技巧が詰まったこの曲を今回は参考にしました。

特徴点の分析

この曲の特徴は、まずなんと言っても異常に分厚い和音、そして乱高下する音のかたまりです。

冒頭から幅の広い和音が両手に書かれ、かたまりごと激しく乱高下します。

その後、まだ曲が始まったばかりなのにいきなりカデンツァ的な自由奏が始まります。

カデンツァ部分が非常に多いのも、リストの特徴です。

 

そのあと主題が始まりますが、伴奏には夥しい数の装飾音符がつけられ、半音のぶつかりを含んだ激しい響きとなっています。

極端すぎるほどの装飾音符によって、聞いた時の演奏効果が高まるわけですね。

実にリストらしいです。

また、伴奏の音のレンジが大変幅広く、演奏の際には手の動きが大変なことになります。

こうした広いレンジにわたる激しい跳躍も、特徴点だといえます。

また、この主題部分では同じ音が4つ重ねてユニゾンされていることが分かります。

例えば、初っ端の1音目では「レ」の音が左右の手で4つ同時に鳴らされていますね。


このような極端なユニゾンは、そこかしこに見られます。

☆POINT☆

・異常に分厚い和音

・4オクターヴ重ねユニゾン

・激しい跳躍

カデンツァのバーゲンセール

・夥しい装飾音

 

 

他にも特徴はあります。

和声の面で、リストの音楽はかなり挑戦的です。

例えば、非常に厳しい響きの偶成和音を果敢に用いていたり、

かなり攻めた反復進行や転調を用いていたりします。

また、ハンガリー民謡への憧憬からか、随所に民謡的な和声も見られます。

特に特徴的なのは、フリギア旋法を思わせる半音下行解決でしょう。

☆POINT☆

・響きの崩壊さえ恐れない果敢な和声・偶成和音

・随所に現れる民謡調の雰囲気

 

 

また、激しい演奏効果を指向するあまり、古典的な音楽理論のルールは無視されつつあります。

違反が多いのもこの曲の特徴です。

一方で、演奏効果に焦点を当てすぎて、全体的にヴォイシングがおろそかになっています

音が過剰に積まれていて、濁った音響になってしまうのです。

逆に言えば、響きが濁ってでも弾ける音は全部弾くのがリスト流と言うことでしょう。

☆POINT☆

・演奏効果のためなら理論も無視

ヴォイシングが悪く濁った音響

 

 

ものまね曲、完成

……以上のポイントを踏まえて、フランツ・リストをものまねしてみました。

この曲は僕が作ってみた曲です。

ちゃんと超絶技巧練習曲の雰囲気が出ているでしょうか?

リストのものまねは個人的になかなか難しかったです。

演奏にたいへん偏ってフォーカスされているので、作曲家としてのアプローチは掴みどころがなく感じられました。

皆さんもぜひ、リストっぽい曲を作ってみては?

僕よりうまく作れたらぜひ聞かせてください。

 

なお、「マゼッパ」の詳細な分析はこちらにアップしています。

興味があれば見てみてください。