名大作曲同好会

“音楽”を創る。発信する。

酒と女と歌とバラと泪と男?

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酒宴

 酒と音楽については多くの芸術家が、各界の名士がその官能を同列に語っている。

 

 え?下戸にいわないでくれ?

 

 まあそうなんですが、今日はお酒が飲めない人には申し訳ないですが、酒と音楽の官能について、いろいろな曲を聴いて見たいと思います。

 

 そもそもなんで酒と女なのか。

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人間の堕落

 多分それは「酔う」ものだからなのではないでしょうか。
 そしてそれは根源的には「神への捧げ物」だからなのかもしれませんね。
 本体神への捧げものである、それらを人間が頂くことで、至上の快楽を得る。
 まあ、人間の堕落の象徴といえばそれまでですが、苦しい人生に許された僅かな楽しみということも出来るのではないでしょうか。


 しかしそんなことよりなによりみんな「好き」なんでしょうね。

 

 かく言う私もお酒は大好きです。
 若い頃のようには飲めなくなりましたけど、機会があれば美味しい酒を楽しんでいますよ。

 あ、私は大の日本酒党でして
 日本酒と、ビール、ほんの少し焼酎をのみますが、ほとんど日本酒ばかり飲んでいます。
 お好きな方、是非ご一緒しませんか?
 げっそりするぐらいディープに語り合い、最後は荒れ狂う嵐のごとく…。ゴホンゴホン

 

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Deacon Blues/Steely Dan

 音楽と酒、もちろんPopsでは普遍的命題すぎて山のように名曲がありますね。
 酒とバラの日々、ホテルカリフォルニア、ディーコンブルース

 

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酒よ/吉幾三

 日本にももちろん「演歌」がありますのでこのテーマは親しみがありますね。
 舟歌、酒よ、これが呑まずに居られるかい…

 

 さて今回はクラシックではこの命題でどんな曲があるのか聴いていってみることにしましょう。

 

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ヨハン・シュトラウスII

 それならまず出てくるのは間違いなくこの曲、ヨハン・シュトラウスII世ワルツ「酒、女、歌」でしょう。

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Wein, Weib und Gesang/Johann Strauss II

 

 この曲はジョセフ・ベルの詩にシュトラウスが曲をつけたものです。
非常に長い序奏とウィーン気質のワルツが印象的、ワインを注ぎまくる悦楽がありますね。

 あ、私はワインは飲めません(聞いてません)

 

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ジュゼッペ・ヴェルディ

 そしてもう一つクラシックの酒の大名曲といえば、オペラの巨人ジュゼッペ・ヴェルディの書いた名曲がありますね。
 歌劇「椿姫」から「乾杯の歌」です。

 

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La traviata - Libiamo ne' lieti calici/Giuseppe Verdi

 

 青年と娼婦の恋を、複雑な青年の嫉妬心などを織り交ぜ描き、乾杯の歌は青年と娼婦の出会いの場になったパーティのシーンで歌われます。
 酒席の高揚した気分が見事に表現された大傑作だと思いますが、なんと初演は大失敗だったらしいですね。

 

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カミュサン=サーンス

 ちょっと通っぽくなるとこんな曲も出てきます。
 フランスの作曲家、カミュサン=サーンスの書いた歌劇「サムソンとデリラ」の中の「バッカナール」です。

 

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Samson et Dalila - Bacchanale/Camille Saint-Saëns

 

 バッカナールというのはそもそも神様バッカスの名前から来ています。
 バッカスはワインの神様であり、これを祀る酒宴の踊りを描いたシーンなんですね。

 

 そしてこのバッカナールを「饗宴」と約して書いた日本の作曲家がいます。
それは黛敏郎です。

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黛敏郎

 黛敏郎は日本の芸術音楽の勃興を支えた世代の作曲家で、芥川也寸志團伊玖磨と三人の会を結成し、クラシック音楽の布教啓蒙活動をしたことでも知られ、TV番組「題名のない音楽会」のMCとしてテレビにも登場、お茶の間にも親しまれた作曲家です。
 仏教に取材した作品も多く、激しい保守の論客でしたが、この若い頃の作品は、Jazzや当時の現代音楽が野心的に融合され、他に例を見ない曲となっています。
 どうして黛先生はそういう立場をとったのか、そしてその音楽に息づく日本人としての民族主義の匂いは、当然師匠である伊福部昭への尊敬から来ており、右翼という楽壇では稀有な立場をとったのも、もとを正せば反骨の裏返しだったと言われいます。

 

www.youtube.com

Bacchanale/黛敏郎

 

 ちょっと目先を変えてみるとこんなおしゃれな曲があります。

 

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ゴフ・リチャーズ

 イギリスで放送音楽を中心に活動されているゴフ・リチャーズが書いた「高貴なる葡萄酒を讃えて」です。
私がまだ吹奏楽の世界に携わっていた頃、この曲は結構流行ってあちこちで演奏されていました。

 

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Homage to the Noble Grape/Goff Richards

 

 この曲は金管八重奏のために書かれ、各楽章のサブタイトルが以下のように、ぶどう酒の名前になっています。

1.シャンパ
2.シャブリ
3.キャンティ
4.フンタドール

 そしてコルク栓を抜くような擬音が用いられるなどおしゃれでかわいい曲ですね。

 

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日本酒

 実は各言う私もこのリチャーズの曲に影響されて日本酒をテーマに曲を書いたことがあります。
 もともと金管五重奏のために書かれたのですが、初演が流れてしまい、その後金管六重奏、管楽十重奏とアレンジを重ね、最近ピアノ・リダクション版をなんとなく書いてみました。
 組曲「日本酒に魅せられて」と題して7曲からなるこの曲も、各楽章は特定のお酒の印象をもとに書いたもので、その特定名称のようなものをサブタイトルにしました。

1.純米発泡酒
2.本醸造
3.純米酒
4.醪酒
5.純米吟醸
6.大吟醸
7.純米大吟醸斗瓶取り大古酒

 若い頃の作品なので内容はマダマダ感がありますが、このピアノ・リダクション版も初演の日が迎えられたら嬉しいですね。
 興味があるという方はお問い合わせいただけたら嬉しいです。

 さて我らが名作同会長トイドラ氏も大のお酒好きなんですね。様々な酒を自作したり、ツイッターでビールや日本酒のレビューを書いたりとなかなかの好きっぷりを垣間見ることができます。

 彼は今後お酒と音楽にどんな関係を導いて、どんな曲を書くんでしょうか。
 そんなことも気になりますね。

 コロナ禍で外飲みをする機会が奪われてしまい、大好きな酒を飲みに行くのをやめて、はや一年が経過しています。
 以前は当たり前だったことが、当たり前でなくなったときに、そのことの尊さ、素晴らしさを再認識するのはなんとも皮肉なものですが、この困難のを乗り越えた先には、       またあの悦楽の夜を楽しみにせずにはいられません。

もちろん飲み過ぎはだめですけどね(激しい自戒を込めて)。