名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

謎のCDを聴く 〜大学の古本市編①管弦楽金曲集〜

丁度一ヶ月前くらいに大学祭がありました。

大学祭では毎年古本市が開かれているんですが、そこで本に紛れて中古のCDが売っているんですよね~。しかも全く知らないミュージシャンの。

これが1枚3000円とかだったらまあ買わないんですが、100円なので今回はいろいろ買って聴いてみました。

書いていたら思ったよりボリューミーになったので、今回は1枚目「管弦楽金曲集」のみです。

 

管弦楽金曲集

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なんだかとても中国の香りがするジャケットですね。めちゃくちゃ中国人が作曲して中国人が演奏してそうです。あと「金曲」なので、少なくとも中国国内ではメジャーな曲が演奏されてそうです。

そうなるとCD内容の可能性としては

①民謡をオケでやる

②オケ用の曲

の2パターンが考えられると思いますが、中国語全然読めないのでわかりません。でもどっちかというと①のような気がしないでもないです。

ということで聴いてみます。

 

~♪~

 

聴きました。結論から言うと①②両方ありました。ぬかりねえな。それでいいと思います。

 

ピックアップ

1曲目「思乡曲」 马思聪(1912-1985)


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いわゆるロマン派の西洋音楽を彷彿とさせる穏やかな曲。中国音楽集の1曲目ということもあり、コテコテのステレオタイプ的な中国音楽を想像(期待)していたので、やや意外でした。まあヴァイオリンはかなり二胡っぽい使われ方をしていますが。

 

作曲者の马思聪は11歳の時にヴァイオリンを学ぶためにフランスに留学しました。その後パリ音楽院に入学し翌年帰国。1949年には中国の芸術系大学のトップに君臨する中央音楽院の初代院長に任命されるなど、かなり高名の様子です。

しかし1966年の文化大革命のときに迫害され、翌年アメリカに亡命します。

 

ヴァイオリニストということもあり、ヴァイオリンのための作品が多いようですが、管弦楽に加えてバレエ音楽やオペラの作曲もしているようです。個人的には「アジア・アフリカ・ラテンアメリカ反帝行進曲」が気になります。思想が強そうだから。

ちなみに今回収録されている曲名の「思乡」とはホームシックのこと。彼の人生と重ね合わせると、なかなか泣ける話ではあります。

 

 

5曲目「春节序曲」李焕之 (1919-2000)


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出ました、いわゆる中国音楽です。普通にかっこいい。

作曲者の李焕之は1919年香港生まれ。1938年に魯迅芸術学院音楽科に入学し、冼星海のもとで作曲と指揮を学びました。

中華人民共和国建国後は马思聪同様中央音楽学院に勤務し、その後、中央歌舞団に移籍、1960年に中央中国管弦楽団の初代監督、初代首席指揮者となります。その後は世界中で指揮を振っていたようです。

作曲家としては「春節組曲」というのが有名らしく、そのなかでも第1楽章は春節の時期になると公共の場やメディアで流れまくるそうです。日本でいうところの宮城道雄「春の海」的なポジションでしょうかね。

 

ちなみに師の冼星海はヴァンサン・ダンディとポール・デュカスに師事していたらしいです。意外なところに繋がるもんですな。

 

7曲目「火把节」王西麟(1937-)


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5曲目と同様いわゆる~という感じがしますが、より西洋音楽的な気がします。シネマティックで劇的な展開がかっこいいですね。この曲のことは全然知りませんでしたが。

 

作曲者の王西麟は1937年に河南省に生まれました。10代の頃、西洋のクラシック音楽に触れ、教会学校中国人民解放軍文化技術団第11分団で音楽理論を学んだそうです。 その後、上海音楽院で学び、丁善德、瞿维、刘庄、陈铭志などに師事しました。彼の作品は長い間注目されませんでしたが、近年中国の音楽界で広く受け入れられ、国際的に最も影響力のある中国作品の一つとなっているそうです。そんでもってこの「火把节」は中国で最も有名なオーケストラ作品の一つらしいから俺は今すぐ自殺した方が良いかもしれないな.......。ごめん全然知らなくて......。

そして交響曲四番はペンデレツキから高い評価を得るなどしているらしいです。ちゃんと聴いてみようかな......。

 

総評

中国における西洋音楽の黎明~発展を窺い知ることができて、良いCDだったな~と思います。とても勉強になりました。それはそれとして、ステレオタイプ的な中華風音楽という雰囲気のかっこいい曲も多くて満足感もありました。

まあ取り上げられている作曲家の時代が時代なので、もっと現代的な曲も入っていたらより良かったのかな~とは思います。

 

次回「清水碩二 Memorial Recital」編に続く!

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋2

コンテンポラリーの回廊 俺の視聴部屋2

 さて今回も世界中の新しい音楽を、この遅れきった国日本に紹介してこうではないか。JAPANがどうのCool Japanなんて本当にバブルの亡霊まだいたのと言う感じで、口にするのも恥ずかしいというものだが、まあどうやら文化についても我々はその亡霊に飲み込まれてしまっているようだ。前回のこのシリーズでも書いた通り、ここで紹介する作曲家は何も世界の最先端でいま売出中の存在ばかりではないのに、日本では未紹介、未演奏なんてのはザラなのである。先生方の学閥門閥のお話ほどくだらないものはないが、音楽が政争の具になって本質を見失っている間に、日本は衰退してしまっただけのことである。指導者の責任は極めて重いと言わざるをえないだろう。

 

 さて少し前置きが長くなってしまったが今日の一人目はエストニア出身の作曲家である。

Helena Tulve

 ヘレナ・トゥルヴェ(Helena Tulve)は1972年にエストニアに生まれ、自国でエルッキ=スヴェン・トゥールに師事し、リゲティやストロッパの夏期講習などを受講、IRCAMにてスペクトル・ミュージックを学んだ。このことで彼女の音楽は倍音とノイズを特徴としながらも、インスタレーション的な作品、電気増幅や変調を加える作品も多く、いわゆるエレクトリックアコースティックというスタイルを基調としていると言って良いと思う。
 エストニアは歴史的に非常に合唱が盛んな国であり、彼女もその作品群に合唱作品が多い。器楽曲で見せるのとはまた違う味わいがあって面白い。今回はオーケストラの作品「Extinction des choses vues」を紹介しようと思う。
 タイトルは難解で約すとすると「見えているものの消滅」ということになろうか。ノイズから様々な倍音を追いかけながら響きが変容していくが、構成が非常にうまく、また美しく鳴るオーケストレーションが心地よい。このあたりには合唱の影響や、本人が学んだグレゴリオ聖歌などの中世の音楽の影響があるのは間違いないだろう。特殊奏法や、珍しい打楽器が美しく響きに調和しており、厳しい現代音楽というイメージを一掃してくれる名曲ではないだろうか。

Extinction des choses vues

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Irini Amargianaki

 続いてはギリシャ出身の作曲家、イリーニ・アマルジアナキ(Irini Amargianaki)である。高名な民族音楽学者を父に持ち、1980年にアテネに生まれている。
 基礎的な作曲をテルザキスの下で習得すると、ドイツにわたり、ヴァルター・ツィンマーマン、クリステン・リーゼ等に師事、さらに電子音楽経も興味を持ちこれらも習得した。極めて興味と習得に長けた作曲家のようで、その後アラビアの民族楽器ウードを習い、これも習得している。
 作風は電子音響を伴うアンサンブルを好み、ドローンやノイズの持続を基調とするちょっと辛口のもの。今回はフルート三重奏とアンサンブルのために書かれた「N 37° 58' 21.108 E 23° 43' 23.27 Athens」という曲である。
 タイトルは座標でありアテネの遺跡「アレオパゴス」を指し示している。古代の裁判所である地の座標をタイトルにいかなる音楽が開陳するか聴いてみよう。

N 37° 58' 21.108 E 23° 43' 23.27 Athens

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Andrea Tarrodi

 最近の若い作曲家は「調性」「無調」という区別にこだわらなくなってきており、それぞれ必要なら躊躇なく選び、混在も全くいとわない。同時にノイズについても同じことが言え、語法の差を意識しなくなっている。
 そんな作風を持つ一人として、高名なトロンボニスト、クリスチャン・リンドベリの娘であるアンドレア・タッローディ(Andrea Tarrodi)がいる。彼女は1981年にスウェーデンに生まれ、ストックホルム王立音楽大学他海外を含む数校ででヤン・サンドストレム、ペア・リンドゲン、ファビオ・チファリエッロ=チャルディ、ジェスパー・ノルディン、マリー・サムエルソンに師事した。楽譜のうちトロンボーンに関するものは父のリンドベリの出版社で刊行されてはいるが、その他の作品はまだまだこれからのようだ。
 非常に北欧らしい純度の高い音楽を書き、先程指摘したように作曲技法の自由な混在を特徴としている。こういった音楽が出てくることは同じような語法を探る私としても心強く、勝手活躍を応援したくなってしまうものである。

Birds of Paradise

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Vasiliki Kourti-Papamoustou

 こういった状況から、今までは一部予算の少ない劇伴や、アマチュアの音楽家のおもちゃと言ってもいいくらいに扱われてきた「打ち込み」の手法や、midi自体もコンテンポラリーに取り入れられてきている。もちろんサンプリングした音の解析や変調には今までもそういった手法は使われてきたが、もっと直截に介入してくるようになってきた。
 そういった作風を取る一人としてヴァシリキ・コウルティ=パパモウストウ(Vasiliki Kourti-Papamoustou)がいる。ギリシャ出身の作曲家で生年を公表しておらず、また詳しい経歴もまとまったものがない。
 非常に現代というものを感じるのに十分な作風を持っており、なるほどもはやこの次元まで音楽というものは形を変えたのかと思うばかりである。私には隔世の感があるが、若い人には違和感はないのではなかろうか。

Interlude

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Eygló Höskuldsdóttir Viborg

 今回最後に紹介するのはエイグロ・ヘスクルドスドッティル・ヴィボルイ(Eygló Höskuldsdóttir Viborg)である。アイスランド人ではあるが、バークリー音大で学び、ニューヨーク大学のマスタークラスを受講したという。そしてあのポスト・ミニマル世代の代表的な牽引者であるジュリア・ウォルフ、ロバート・ホンステインに師事している。
 2019年にアイスランド交響楽団の委嘱で「Lo and Behold」を書いたことが名を知られるきっかけになったまだまだ売出中の若手である。師事した師匠を見れば明らかだが、彼女の音楽はミニマリズムを極めて特異な形で取り込み、自分の言語にしている。
今回紹介する曲も、ハーモニクスのみで構成された弦楽四重奏曲となっていて、極めて純度が高くまた静かでドライな音楽だ。アイスランド人の特性とアメリカの音楽の出会いについては、前回このシリーズで紹介したフョーラ・エヴァンスにもにた部分があるように思う。

Silfra

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 いかがだっただろうか。今回選んだのがすべて女性の作曲家であるということはもちろん偶然ではない。少し前まで女性に立派な音楽など書けぬなどと言われていたのがどうだ、今となっては自由闊達そして見下していたものを吹き飛ばす勢いではないか。そして何より大切なのは、それぞれの個性がしっかり発揮されみな「自分の言葉」を用いて音楽を書いていることだろう。ポスト・モダンの時代にあっては当たり前のことだが、これが出来ていない人は非常に多い。
 過度な批判は控えるが、良くも悪くも芸術は芸術なのである。商業に牽引され客のいいように書いたものは、やはり芸術ではなく商品である。そして世界の動向を研究し、古典を学ぶこともせず、自分の思い上がりで音楽らしきものを書いている人は、その愚かしさに気づき恥じるべきであろう。音楽を作るハードルが下がって裾野が広がるのは本末転倒であり、専門職としてきちっとした研究と発信をしてこそ音楽であり、今はそのことをもう一度見つめ直すいい時期ではないだろうか。

〈作曲ものまねシリーズ〉#1 ベートーヴェン

どうも、名作会会長の冨田です。

自分は今年度大学を卒業してから、作曲家として活動すべくインプットを重ねる日々を送っております。

「インプットを重ねる」というのは、具体的にいうと優れた作曲家の曲を分析して作風を真似してみるということです。

実際やってみるとなかなか面白いものがあり、ちょっとシリーズものとして解説してみようと思います。

今回はかの有名なベートーヴェンをものまねしてみましょう。

耳の聞こえないベートーヴェンが不屈の精神で骨伝導を発見するまでの物語 (2021年6月14日) - エキサイトニュース

 

ベートーヴェンとは

ベートーヴェンLudwig van Beethoven)は、楽聖とも呼ばれるドイツの作曲家です。

1770~1827年を生き、古典派の集大成をなすと同時にロマン派への先駆けともなりました。

神経質で繊細な性格を表すように、重厚で暗く時に荒ぶるような楽想を見せるのが印象的です。

20代から難聴を患い、その後完全に聴覚を失ったというエピソードもよく知られています。

ソナタ形式に通じており、たいへん構成力のある作品を書きあげます。

 

さて、今回彼の作風をモノマネするにあたり、参考にした曲は「月光ソナタ」こと「ピアノソナタ第14番 『幻想曲風ソナタ』」です。

特徴点の分析

全体

まずは全体的なことから。

このソナタは3楽章制ですが、同じ主題が別々の楽章に共通で使われています

特にわかりやすいのは、第1楽章と第3の冒頭部分です。

どちらの楽章でも、分散和音+低音の順次下行という音型が見られます。

第1楽章冒頭

第3楽章冒頭

また、第1楽章の第2主題は第3楽章でもそのまま用いられています。

半音進行が印象的で、絶妙な不協和音を生じる不思議な主題なのですが、これが第3楽章でも再現されることで、ある意味伏線が回収されたような感じがしますね。

第1楽章の第2主題

第3楽章29小節目

このような、楽章間で使い回される循環主題ベートーヴェンの大きな特徴です。

 

また、古典的なソナタでは第1楽章はふつう明るいものなのですが、この月光ソナタの第1楽章は大変重々しく暗いです。

ベートーヴェンの挑戦的な一面が現れているといえます。

☆POINT☆

・循環主題

・伝統的な形式に対する反抗

 

第1楽章

さて、第1楽章の特徴を見ていきます。

なんといっても一番の特徴は、主題がぜんぜん旋律的ではないということでしょう。

きわめて鈍重な分散和音から始まり、そのあと第1主題が奏されますが、旋律的な要素はほぼありません。

同じ音が「デーンデデーン」と連打されるだけです。

たいへん主張が穏やかで、主題としては最低限のものだといえます。

ただ、茫洋とした均質な音像の中で、「デーンデデーン」というリズム感が印象的に響くので、結果的に耳に残る主題となっています。

 

そして、その背景の和声はとても不思議なものです。

古典音楽ではなかなか考えられないような複雑な転調もあり、かなり茫洋としています。

古典のソナタでは転調する調が決まっているのですが、そうした原則は破られています。

とても変わった転調

 

また、メロディの音が第5音高位になることが大変多いです。

ふつう、ある和音が鳴っているとき、メロディはその和音の根音か第3音を鳴らすのが美しい響きになるのですが、この曲ではあえて硬い響きになる第5音が好んで用いられています。

さらには、高音だけではなく低音も、第5音を保続することが多いです。

第5音高位の第1主題

属音保続部

これらのことから、ベートーベンは属音や属和音の響きを強く意識していたことがうかがえます。

つまり、解決の響きよりも緊張の響きの方に重点を置いていたということです。

☆POINT☆

・旋律的な動きのない主題

・複雑な和声

・属音機能への傾倒

第2楽章

第2楽章は、このソナタの中で唯一明るい楽章です。

冒頭からいきなり示される直截な反復進行がかなり印象的で、果敢な反復進行はベートーヴェンの得意とするところだったと分かります。

冒頭の反復進行

また、この第1主題はきわめて美しい旋律動向でできています。

ベートーヴェンが対位法の名手だったことが分かりますね。

旋律的な要素が最低限しかなくても、対位法的にリズムや和音を絡み合わせることで、聞きごたえのある音を作っているというわけです。

こうした対位法は、中間部にも見ることができます。

やはり旋律的要素はかなり希薄であるにも関わらず、係留音を使いこなすことで対位法的な面白さが生まれています。

中間部

☆POINT☆

・効果的な反復進行

・対位法的な処理でシンプルな旋律をおもしろく

第3楽章

第3楽章は、まず第1主題がかなり特徴的です。

なにしろ、ただの駆け上がる分散和音が第1主題となっているわけですから。

やはり旋律的な要素の薄い主題が用いられています。

第1主題

それに対し、第2主題はとても旋律的なものが示されます。

ややモーツァルト的な、転がるような旋律ですね。

第2主題

が、この第2主題もすぐに変奏されていき、結局は旋律的要素のないものになってしまいます。

変奏された第2主題

和声的には、ナポリのII、つまり主調の半音上をrootとするメジャーコードが多用されます。

ベートーヴェンナポリ学派の影響を受けていたことの証左ですが、この和音は第1楽章にもかなり多用されています。

和音どころか、ナポリのII調への転調さえ見られます。

これはなかなか果敢です。

ナポリのII調(半音上)への転調

結果的に半音の動きがやや多めになり、妖艶な響きを形作っています。

 

また、特にカデンツァ付近が分かりやすいですが、曲全体に直接的なdim7の響きがたくさん見られます。

カデンツァ付近

ベートーヴェンはこの響きが好きだったようです。

☆POINT☆

・第1主題は和音主題

・第2主題はモーツァルト的な旋律主題

ナポリのII・dim7の和音を偏愛

 

ものまね曲、完成

……以上のポイントを踏まえて、ベートーヴェンをものまねしてみました。

この曲は僕が作ってみた曲です。

ちゃんとベートーヴェンっぽく聞こえるでしょうか?

まあ、ちょっと月光ソナタに寄り過ぎた気もしますが、おおむねいい感じではないでしょうか。

こうしたものまねはを通して、音楽的な理解が深まっていけばいいな~と思います。

皆さんもぜひ、ベートーヴェンっぽい曲を作ってみては?

作ったらぜひ僕に聞かせてください

 

 

なお、「月光ソナタ」の詳細な分析はこちらにアップしています。

興味があれば見てみてください。

ブックオフオンラインの宇宙SFラノベガイドが凄すぎる件

みなさんこんにちは、gyoxiです。

皆さんは小説、特にライトノベルはお読みになるでしょうか。実は私、大の活字嫌いで本という本は当分読めていません。それでも「このライトノベルの特集、マジですげえ!」と思うページを見つけたので今回はそれを共有したいと思います。

 

そのページとは...

 

宇宙SFライトノベル完全ガイド 

宇宙SFライトノベル完全ガイド

 

 

こちらはブックオフオンラインライトノベルに関する特集記事の一つだ。そのタイトルの通り宇宙SF系作品のライトノベルの紹介ページで、スペースオペラ」「ファーストコンタクト」「宇宙人と交流」など、8つのジャンルに分類されて紹介されている。ちなみに各作品タイトルをクリックすると商品購入ページに飛ぶことができる(商売上手ですね)。

 

そしてなんといっても凄まじいのがその紹介作品の幅と紹介作品数だ。このページには1967年から2017年まで計364作品が紹介されているのだ。1967年って私が生まれる遥か遥か前ですよ。そんな時代からラノベってあったんだな...と少し感動しました。また、これだけの数ライトノベルを紹介されりゃ、活字嫌いの自分でも流石に心を惹かれます。ズラッと並んでいる表紙を眺めているだけでもなんだかとてもワクワクさせられました。

 

ちなみにこの特集では紹介作品を纏めたCSVファイルも配布しているので、是非活用していただきたい。


特集の紹介はこんなところだが、せっかくなのでこの特集にある作品の中で自分が(アニメで)観たものや(アニメで)これから観てみたい作品をピックアップしてご紹介したい。

 

王立宇宙軍 オネアミスの翼

今私が今秋の4k版の公開を今か今かと楽しみにしている作品。あの庵野秀明氏が作画監督をしており、当時からアニメを視聴していらっしゃる方に「この作品は是非観るべきです!」と教えていただいた作品です。予告版からして既にハイクオリティすぎるので早く観に行きてぇ...!

 

宇宙一の無責任男シリーズ(無責任艦長タイラー)

(アニメ版が)私の大好きな作品。無責任で奔放な性格のジャスティ・ウエキ・タイラーが宇宙航行艦「そよかぜ」の艦長を務めることになるのだが... タイラーの側で巻き起こる事件には毎回ドキドキさせられそれを可憐に(?)解決してゆく様を見るのは実に痛快!!!次回予告の最後に表示される「音と映像を愛するすべての人にささげます」という言葉がその完成度を物語っていると言っていいだろう。

 

天地無用!シリーズ

1992年のOVA作品から始まったが、TV版やらスピンオフ作品やらが作られまくったので、今では一大超クソデカコンテンツと化している。シリアスな話もあるが基本ドタバタしていて観ててとても面白かったです、観たのは一期だけだけど。オープニング曲がインストでとにかくカッコいいので是非一度聴いてみてください。

 

星界の紋章

2話の途中まで観ました。まだ本編の面白いであろう所には到達できていません...がしかし、このアニメのOP曲が歌詞なしオーケストラ曲でとにかくかっこいい!様々な分野で活躍されていた服部克久氏の作曲です。このオープニング曲を聴くだけでも壮大な宇宙物語が想起されて非常にワクワクします。早く観なきゃ...

 

カウボーイビバップ

シートベルツが演奏するOP楽曲があまりにも有名なこの作品。太陽系を飛び回る賞金稼ぎ達の物語となっております。登場人物の言動がとにかくハードボイルドで超カッコイイ。主人公の仲間のフェイ・ヴァレンタインの一連の身の上話、特に18話「スピーク・ライク・ア・チャイルド」は観ててマジで泣きそうになりました。演技してた林原めぐみさんはすげー恥ずかしがってたらしいですが...

 

涼宮ハルヒの憂鬱


皆さんご存知、涼宮ハルヒの憂鬱です。宇宙要素はそんなにないですが、この特集では「(宇宙人・異星人・異星生物との)交流」の項目で紹介されています。登場人物の長門有希ヒューマノイド・インターフェース(≒宇宙人)という設定ですね。因みにこの作品は私の浪人時代の大学入試前夜に観ていた作品です(何やってんだ)。

 

ミニスカ宇宙海賊

モーレツ宇宙海賊というタイトルでアニメ化もされている作品。ももクロがOP・EDを歌っていることでも有名。実はこのアニメ、映画演劇部門・メディア部門で星雲賞を受賞しているすごい作品なのです。内容も、ガッツリSF!スペースオペラといった感じで星雲賞受賞も納得の一作品です。

 

 

おわりに

さて今回はブックオフオンラインの宇宙SFラノベガイドについて特集した。本好きラノベ好きの方は是非この特集ページで見知らぬ宇宙の物語をdigってみてはいかがだろうか?

 

ではまた!

ナンダコーレとは何ぞこれ

スペースシャワーTVというCSのテレビ局がありますね。

ロゴ

日本初の音楽専門チャンネルとして名高く(?)、基本的にはPVを垂れ流し続けています。

が、アーティスト特集やよくわからないバラエティー番組、マニアックなイベントの中継などもやっていて私は割と好きです。

かつて、その中でも一際意味のわからない番組が存在しました。それが突撃3分番組「ナンダコーレ」だ!!!!

 

......とは?

説明するより見るのが早いです。百聞は一見にしかずと言いますしね。ということで初回の映像をご覧いただきましょう。


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いかがでしたか?

竜巻太郎というドラマーの紹介であるのはかろうじてわかるのですが、アクの強すぎる某国際問題のパロディによって全てがナンセンスの虚空に消えました。この感情を言葉で表すとしたらそう、まさに「なんだこれ」ですね。はい、そういう番組です。

 

ここに私のお気に入りの放送回ベスト3を紹介します。

 

ばばん


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選定の理由:最もくだらないから。「大切なのは楽しもうと思うこと」を免罪符にするな。

 

アルパカ


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選定の理由:ナンダコーレという番組名に最も相応しくシュールだから。森に迷い込んだ少女は、見てはいけないものを見てしまいがち。

 

テルミン太極拳


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選定の理由テルミンを何かの動作をトリガーとして発音させるのはアイデアとして面白いから。普通に真似したい。

 

 

これだけ抽出して紹介しているとマジでただのふざけた番組に思われるかもしれませんが(実際そうですが)、ただナンセンスをやるだけでなく、一般人からしたら「なんだこれ」となるような前衛芸術の紹介も一応しています。


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あと芸術や音楽に限らずサブカルなども少々


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セーラちゃんになる前のまぼろし博覧会館長の貴重な発声シーンが見られます。

 

こんな感じのが50本YouTubeに上がってるので、どうしても暇で仕方ない時などに見るといいのではないかなと思います。

 

おわり。


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シリーズ我が国の作曲家006「栗原泰」

我が国の作曲家

 この研究をしているとしばしば出会うのがほとんど資料が残っていない、もう存在を肯定することも難しいという作曲家である。
 そんな作曲家の書いた「楽譜」がと登場してしまうと、誰かのペンネームでない限りその作曲がいた事になってくるので、調べ上げなければならなくなる。


今回テーマにしているのはまさにそういうタイプの作曲なのである。

 

栗原泰


「栗原泰」

 

 この名を聞いたことがある人がどの程度いらっしゃるのだろう。
 私も当初は彼の書いた「Walzer Sakura」という曲の楽譜を目にしただけで、いつもどおりある程度の情報は出てくるだろうと考えていた。しかし調べても調べても彼の横顔はわからずじまい。さくらさくらをテーマにした件のワルツを書いた人以上の情報が見えてこないのである。

Walzer Sakuraの冒頭

 そこで調査の範囲を広げ、Twitterでいつもお世話になっているErakko.I.Rastas(@erase_m)さんにも聞いてみることにした。その結果おぼろげながらこの作曲家の横顔が見えてきた気がする。

 まず生年についての類推だが、直接生年に触れた資料は見つかっていないことをお断りしておきたい。これについては前述のErakko I. Rastasから教えていただいた東京音楽学校の資料である「東京音楽学校一覧」である程度想像ができる。

 まず東京音楽学校に入学した年であるが

dl.ndl.go.jp

この資料から1925年(大正14年)に「甲種師範科」に入学していることがわかる。

 

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 そしてこの資料から1928年(昭和3年)に同科を卒業していることがわかる。
 同期に町田等がいることから、その生年と入学年をあわせて鑑みると1900年代初頭、1903年頃~1907年頃の生まれであろうと思われる。
 そして「甲種師範科」の卒業なので中等教員の育成をメインとした科ということから、教員になったのではないかと想像される。更に出身地についても「埼玉→東京」となっているので、埼玉生まれで東京に移住したと思われることがわかる。

 

 この資料から読み出されたことを更に掘り下げてみようと思う。

 

http://www.linkclub.or.jp/~taka-org/workscd.htm

 

 上のページを見ると「栗橋市出身の栗原泰」との記述があり、静御前に関係する史跡の催しで彼の書いた「静を偲ぶ」という曲が歌われているとのこと。なるほど埼玉県出身という点についての裏付けになるはなしだろう。

 

dl.ndl.go.jp

 今度は昭和16年発行の「音楽年鑑」であるが、ここに彼の名の記述がある。
 東京音楽学校出身で教師していることと、当時の住居が牛込区早稲田、現在の新宿区早稲田に居を構えていたことがわかる。これで彼は1900年初頭頃に埼玉県栗橋市に生まれ、その後東京都新宿区早稲田に居を構え東京音楽学校甲種師範科に大正14年に入学、昭和3年に卒業し教員の道を歩んだ。というところまでまとめられる。

 続いて教員になったという点から、校歌を手掛けたのではないかという類推ができるだろう。この点から教員としての彼を少し追いかけられるかもしれない。

 

www.city.kazo.lg.jp

 真っ先に見つかるのがこのページである。


「埼玉県加須市立元和小学校校歌」

 作詞は「栗原浩」とあり兄弟かもしれない。

 そのほか「さいたま市立馬宮小学校校歌」、「さいたま市立桜木中学校応援歌」を書いていることがわかる。また教員として幸手市幸手中学校、蓮田市立蓮田中学校に奉じた記録がある。どうやら出身地の埼玉に錦を飾ったようだ。このあたりの学校を歴任しているのは昭和30年代であり、その後の記録が途切れることから、その頃なくなっているのかもしれないし、引退し表に残る活動から遠のいたのかもしれない。没年については生年より遥かに調べにくいものであり、現時点で定かではない。ただ生まれ年を考えればまだ存命と考えるのはちょっと無理筋だろう。

 

 いかがだったであろうか。

 

 調査としては未完成であり、内容も充実しているとは言いかねるが、こういった忘れ去られてしまった作曲家について、その調査の方法や過程とともに、栗原泰の横顔を少しでも多くの人に知っていただければ幸いである。

 さて最後にそんな栗原泰の書いたピアノ曲「Walzer Sakura」を聴いて、今回を閉められえばと思う。

 

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地下のライブハウスでバイトし始めた

お久しぶりです、「名古屋作曲の会」主宰の冨田です。

今年度で大学を卒業したので、うちの会の名前を「名古屋作曲の会」とすると同時に、バイト先を探し始めました。

(音楽をやるために就職はしなかった)

それで名古屋の地下ライブハウスで働きはじめました。

せめて何か音楽とつながりのある職場が良かったので……。

そのライブハウスはほとんど地下アイドルの公演しかやらない小屋で、僕は地下アイドルたちのライブを眺めながらドリンクを注ぐ仕事をしています。

しかし、やってみると変わった業種で、なかなか面白い。

地下のライブハウスには未知の世界が広がっています。

今日はバイト先での発見をあれこれ書いてみます。

 

地下アイドルは礼儀正しい

バイトに行くと、本番前のアイドルたちが準備に励んでいます。

そんな彼女らは、バイト風情に過ぎない僕にでも

「お疲れ様です!」

などとたいてい労いの声をかけてくれるので、僕は驚きました。

なんというかこう、地下アイドルってもっと育ちが悪いイメージが……というのは完全に僕の偏見だったわけですね。

お見それしました……。

 

人によっては、わざわざ舞台関係者全員のもとを回って自己紹介&深々とお辞儀までしているアイドルもいます。

「よく考えたら、エンタメで身を立てようと頑張ってるという意味では僕と一緒なんだな……」

と気づき、自然と応援したい気持ちになりました(とはいえアイドルの追っかけとかはしないが)。

しかも、人気なアイドルほど挨拶などの礼儀もちゃんとしている、というのはなかなか示唆に富んでいます。

 

意外と曲が良い

正直、僕はアイドルソングが嫌いです。

なぜって、単純に音楽的につまらないので……。

だから、地下アイドルの持ち歌なんてよっぽどつまらないだろう、とたかをくくっていました。

しかし、むしろ歌に関してはマイナーアイドルの歌の方がカッコいいかも知れません。

もちろんグループによるのですが、意外とカッコいい歌がたくさん聞けて、バイト中も普通に音楽を楽しんでいます。

まあ、もちろん人気のないグループは歌のクオリティもそれなりですが……。

 

客層が広い

地下アイドルを見に来ている人なんて中年のおっさんばかりなのでは?……と思っていました。

しかし、実際には若い男性が3割、中年の男性が5割くらいで、残りの2割は若い女性、中年の女性、家族連れ、おじいちゃんなど様々です。

意外と、「地下アイドル=サブカルチャー」とは見られていなくて、普通にライブを楽しみに来る感じで気軽に来場する人が多い印象です。

 

仕事が異様に楽、だが……

バイトをする身としては、業務内容がめちゃくちゃに楽なのが気に入っています。

なにしろ、ライブが始まったら基本的にやることがないので、本を読もうがスマホをいじろうが自由です。

社員の人にも、

「この仕事空き時間が多いから、漫画とか持ってきた方が良いよ」

と言われました。

この「ちゃんと仕事さえやればそれ以外はどうでもいい」という感じ、実に業界っぽい感じがして個人的には好きです。

もちろんこれは「努力してても仕事ができなかったらダメ」ということの裏返しでもあるんですが。

 

さて、そんな感じで楽ちんな仕事なのですが、イヤな点もいくつかあります。

まず、出勤時間が前日まで分からないので、臨機応変さが求められます。

次に、給料が安く交通費も出ません。

極めつけは、業務中ヒマすぎて疲れる。

まあこれはいい点とも言えますが……。

 

こんな感じで、ライブハウスのバイトを通して今まで知らなかった世界と触れ合うことができています。

名古屋という土地は、どうやらけっこう地下のライブハウスでのライブが盛んなようです。

興味があれば、一度見に行ってみるのはアリなんじゃないでしょうか。

もちろん、その時はばっちりコロナ対策をしていきましょう。

たいてい換気のカの字もないようなライブ会場なので……。