行きました。
思えば私はライブによく足を運ぶほうだと思うんですが、ロックバンドとかにはあんまいかず、ジャズとかファンクとかその辺をよく見に行ってる気がします。その辺のロックバンドって、ライブ音源とCD音源にいい意味での違いがほとんど見られないんですよね。せめてライブに合わせて再編曲してくれ(映像とか演出に凝っているのならショーとして見に行きたい気持ちはありますが)。とまあそんな感じなので、私はライブに対して、音源からは想像もつかないインプロの応酬を期待して見に行ってるのかもしれません。あるいは全く音を知らないまま聴きに行くこともしばしば。
そういう意味では今回のKNOWERのライブは非常に満足でした。
いかれたメンツを紹介するぜ!
Louis Cole (Dr.)
ドラマー。KNOWERは実質彼のバンドでしょう。
Geneviave Artadi (Vo.)
プレジデント。Louisの家に住んでいる(ほかにもあと二人住んでる)。
Thom Gill (Gt.)
カナダ在住のギタリスト。アンコールのOvertimeではまさかの口笛ソロを演奏してくれました。どうやら日本最終公演から披露されたようで、いいもん見れたなと思います。
10年くらい前にはTHOMAS名義でソロ活動をしていたようですが、今どうなってるかは不明です。ソロはこんな感じ。
弾き語りかなと思いきやビートが入ってきたりと、結構渋くてかっこいいです。
後述するSam WilkesやChiquita Magicとはよく組んでたようですが、KNOWERで演奏するのは今回のツアーが初めてのようです。
Sam Wilkes (Ba.)
激やばベーシスト。
一秒ごとに表情がめちゃくちゃ変わる。大体常に爆笑しています。
www.youtube.com最近だと長谷川白紙の曲に参加していましたね。
Paul Cornish (Key.)
普段は結構ちゃんとしたジャズスタンダードを演奏しているみたいです。
上品なソロ回しがKNOWERのハンドメイドな(B級な)雰囲気と絶妙に乖離してて、逆にぴったりあってて面白いです。
Samとは逆に全く表情が変わりません。
Chiquita Magic (Key.)
本名はIsis Giraldo。LouisやGeneviaveのソロではコーラスとしておなじみです。
元々はIsis Giraldo poetry Project名義で生音中心のアンサンブルをしていましたが、思うところあってかChiquita Magicに名義を変更。今はソロで打ち込み中心の音楽を製作しています。
www.youtube.com今回のライブではSam Gendel (A.Sax)が抜け、代わりに入っていますね。キーボードが増えた影響で、テクノっぽいサウンドの再現度が向上してました。
肝心のライブですが、アンコールのOvertimeがヤバいです。もうなんか全部それに持っていかれるし何ならお釣りもでる。
改めて見ると
・ノリがめちゃくちゃ良い
・口笛?!?!??!??!
・Keyのソロの応酬がアツい
という具合にアンコールピースとして完璧ですね。
というかThom Gillの口笛ソロが面白すぎる。なんか音量が落ちて観客が不安になってシン......としたぐらいで口笛でインプロしていることに気づき歓声が上がるのが、完全にギャグなんだけど、実際に見るとこんなに楽しいことはないですね。
そして2番サビ後のKeyの応酬は、色々テイクがある中で、このソウル公演のが一番アツいですね~。技巧的に優れているテイクはほかにもあるんですが、アンコールで見たいのってこんな感じのやつかも。
そしてなによりベースとドラムのインタープレイが強烈ですね。他のテイクを見ても結構毎回ちゃんと違うのが驚きです。
前座がすでにヤバい
今回の来日公演には前座があったのですが、前座が馬場智章グループでした。前座......?
このメンツもだいぶ熱いので、その中から二人をついでに紹介していきましょう。
馬場智章(T.Sax)
一般的には報道ステーションのテーマ曲の演奏で有名だと思います。最近では、映画BLUE GIANTでテナーサックス奏者の主人公の演奏を担当したことでも話題でしたね。
彼曰く馬場智章グループの略称がBaba Bandらしいんですが、それだと違うBaba Bandが引っかかってくるので別の略称を考えてほしいです。
渡辺翔太(Pf.)
愛知県が誇る凄腕ピアニスト。コロナ禍でつぶれる直前のBlue Note名古屋で彼のライブを見たことがありましたが、本当にいい演奏をします(書く曲もすごくいい)。当時、愛知県でジャズやってる人間で知らないやつはモグリくらいの人気だったのですが、まさか4年の時を経てKNOWERの前座で合えるとは、感慨深いものがありました。
そんな感じで割とドリームメンバーがそろっていたので、正直前座でお腹いっぱいみたいなところはありましたね。本当にこれを前座として見ちゃって大丈夫なんですかね?みたいな不安も。会場だった梅田トラッドはおそらく二階に演者控えがあって、そこの窓からSam WilkesとThom GillがBaba Bandの演奏をずっと見てました。Samは終始笑顔でノりまくりでしたね。YOUずっとそれなのか。
ルイスコールの今後を予想
今回のライブはやたら編成が大きかったのも特徴でした。
ホーンセクションがおる。しかも馬場バンドの面々とLouis Coleソロ来日公演で来てたメンツが!じゃあそれLouis Coleのソロライブと何が違うの?
実際最近のLouis Coleの曲と最近のKNOWERは違いがあんまり判りません。同じ人間が曲を書いているのである意味当然といえば当然なのですが、昔はソロは人力、KNOWERは打ち込みというように、ある程度差別化していました。今ではどちらも人力で演奏可能な範疇に収めようという意志を強く感じます。というか、Geneviaveが歌ってる/歌ってない以外の違いを感じることがかなり難しいです。
昔
今
この方向性が面白くないとは別に思わないのですが、じゃあ全部一緒でよくね?と思ってしまいますね。
そして編成は拡大する一方です。
Louis Coleの新作はオーケストラとの共作です。さらに40人の合唱団のための曲も発表されました。
もう来るところまで来てしまったという感じがしますが、そもそもLouis Coleは昔の曲でもオケっぽい編曲をしていたり、ビッグバンドを引き連れて興行したりと大編成自体にはもともと興味があるようでした。
そもそもLouisはマルチプレイヤーですが、本当は大編成で演奏したいけど人が呼べなかったからマルチプレイヤーになって全部自分で録音していたのではないか?とすら思ってしまいますね。
音の質感や編成について、持ってるプロジェクトで全部同じような状態に移行しているので、どうやら彼はやりたいことが一つ決まったら全部にそれを適応してしまう癖があるようです。
さて、オケや合唱団と作品を作ってしまったLouis Coleが次にどのような編成で曲を書くのか予想してみたいと思います。
パターン1:へらす
流石に増やし過ぎるのもなんか違うなと反省したLouis Coleは、原点回帰して一人で音楽制作を始めます。KNOWERの次のアルバムは二人による宅録打ち込みアルバムです。
パターン2:そのまま
この編成が最善だと確信したLouis Coleは、オーケストラでの世界ツアーを開始します。KNOWERの次のアルバムは当然オケものになり、Louis Coleは第二のJeff Millsになります。
パターン3:もっとふやす
全然足りないとおもったLouis Coleは、際限なく編成を拡張していきます。その途中で仏教思想に邂逅し、梵我一如、すなわち全人類、全世界、全宇宙が自身と等しいことに気づき、太陽信仰トランスに移行します。そして77人のドラム奏者を集め、即興演奏主体の演奏形態を形成します。
いかがでしたか?
3パターン考えたので、どれかはあたるんじゃないかな~と思ってます!それではこのへんで。