名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

Brainfeederのイカれた面子を紹介する

皆さんは楽しみにしていますか?

BEATINK.COM / KNOWER JAPAN TOUR 2024

KNOWERのライブを。私は楽しみです。

 

ということで今日は復習がてらKNOWERのメンバー2人も所属している音楽レーベルBrainfeederに所属する(していた)ミュージシャンを片っ端から聞いていきます。

どうでもいいですが、私はいつも何気なく音楽を聴いたり聞いていなかったりするのですが、現代海外ミュージシャンで私が好きな人は大体Brainfeederに属している(いた)ことがわかり、もうじゃあBrainfeederでよくね、みたいな感じに、なりつつあります。よくないね。

 

Brainfeederとは

Brainfeeder | MoodboardFlying Lotusが主宰するLAのインディー・レコードレーベルがBrainfeederです。インディーとは言いつつも、LAの音楽シーンをけん引するくらいには絶大な影響力を持っています。というか、グラミー賞候補者がゴロゴロいるので影響力がないわけがないのでした。

というわけでBrainfeederに所属する(していた)いかれたメンツを紹介していきます。

 

Flying Lotus


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主催のアニオタのおじさん。現代ジャズとヒップホップ、エレクトロニカなどが混然一体に混ざり合った音楽が現在のLAを中心に席巻していますが、主催ということもありお手本のようなLAサウンドです。この人がBrainfeederに人を入れたり入れなかったりをしています。

アニオタだからなのかは知らないですが、日本のアングラ漫画家・駕籠真太郎にジャケ写を依頼したり、日本に実在した黒人武士を主題にしたトンデモSFアニメYASUKEのサントラを書いたりと、音楽以外のジャンルとのクロスオーバーも盛んに行っています。というか、映画監督もしています。


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ちなみにJohn Coltraneの親戚です。

 

Thundercat


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アニオタのおじさん2。来日公演の時はサン・ラみたいなアクセサリに身を包み、ニンテンドーのTシャツを着、エヴァンゲリオンのアスカがでかでかとプリントされた真っ赤な多弦ベース(ラメ加工)を手に登場*1して私の度肝を抜きました。

配信されている曲は2~3分と短いですが、元々ゴリゴリのメタラーかつジャズマンでもあるのでライブではすさまじいインプロが追加され、元の曲が何なのかわからなくなります。なおThunder Catはベーシストですが、ソロの時はオクターバーを乱用するのでベースが何なのかもわからなくなります。


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して肝心の曲ですが、非常にイカしたリバイバルR&Bという感じ。ただリバイバルするだけでなく、ヒップホップを経由したグルーヴ感を感じさせたり、ストリーミングで聴取されることを前提とした作曲など現代的な側面も強いですね。

 

Louis Cole


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この記事で十分語られているのでもう特に書くことはないですが、しいて言えばこのMVしかりエンターテインメントへの視座が強烈です。また、感覚的な和声進行が多く「感覚で作ってそ~」とは思っていましたが、長谷川白紙との対談で思った以上に本当に感覚で作曲していることが判明*2し、私の度肝を抜きました。

演奏面でいえば非常にメカニカルなフレーズが特徴です。さらに言えば叩き方がやや特殊で、普通8ビートを叩くときに両手がクロスしますが、Louis Coleはしません。あと足がやばく、並みのドラマーならスティックで演奏するようなハイハットのフレーズをすべて足で演奏します。彼の手数の多さはこれが理由だと思われますが、目の当たりにしてもなお信じがたいです。

音作りも特殊で、特にスネアドラムの録り方が異常ですね。昔はそうでもありませんでしたが、最近作ではスネアドラムとバスドラムの音色の違いがほぼないところまで来てしまいました。これからどこへむかうというのでしょうか。

 

Geneviave Artadi


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Louis Coleといつもつるんでる人、という印象が強いですが、そんなことがどうでもよくなるくらい曲が変化球です。正直な話、際物ぞろいのBrainfeederの中でもかなりオリジナリティがあると思います。というか常にふわっふわしていてどうノったらいいのかよくわからない(この曲(Visionary)はかなりノリが良いが)です。Louis Coleの来日公演では前座を務めていましたが、あまりの浮遊感に最初ノろうとしていた客もあきらめて最終的に棒立ちになっていました。

普通に貶めているような書き方になってしまいましたが、そこが魅力なのです。

 

Hiatus Kaiyote


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オーストラリアのバンド。オーストラリアは影が薄いようでいて、GotyeとかHiatus Kaiyoteとか、何かしら存在感のある人を輩出しますね。

こちらもR&Bを基調として様々なジャンルをミックスしていることはLAシーンと違いはないのですが、出自の違いからかその結果出力されるものが全然違うのが興味深いです。

スタジオアルバムも素晴らしい出来だと強く思いますが、Hiatus Kaiyoteはやはりライブが素晴らしいと思います。ということで、ここで一旦Tiny Desk Concertの模様をぜひ見てみましょう。


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絵面が意味不明なインパクトで我々に襲い掛かってくるのは仕方ないとして、ライブバンドとしての完成度の高さをぜひ感じてほしいと思います。

 

長谷川白紙


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日本人で唯一の所属ミュージシャンは長谷川白紙です。所属が発表されたときはさすがに驚きましたね。Flying Lotusが主催するTHEHITというライブに出たのがきっかけだったらしいですが、何があるかわからんもんです。

そもそも日本の音楽シーンをちゃんと注視しているFlying Lotusは本当に何者なんでしょうか。英語圏から長谷川白紙までたどり着こうと思うと相当な労力が必要だと思うのですが.......。


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(↑THE HITの映像)

長谷川白紙も徐々に音楽性が変わってきたというか、コアとなる部分は多分あんまり変わっていませんが、表層として現れるカオスの制御の仕方がだいぶ変わってきたなあという印象を受けます。

 

Dorian Concept


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オーストリアのミュージシャン。ジャンルでいうとエレクトロニカになってしまうのでしょうが、エレクトロニカという枠にカテゴライズしてしまうには惜しいくらい色んなジャンルの影が見え隠れしています。

音作りに関しては偏執狂の域で、古いアナログシンセサイザーなどで一回音を作ったうえで演奏したフレーズをセルフサンプリングしてさらにデジタル加工したものを断片化して再配置しているそうです。昔の小山田圭吾みたいだぜ。

ちなみに芸名のDorian Conceptは本当にドリア旋法に由来しているそうです。ドリア旋法はみんな大好きですからね。

 

Iglooghost


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ロンドンを拠点に活動するイギリス人ミュージシャンです。なんというか(私が意図的にそういう人間を選出しているというのもありますが)、Flying Lotusの趣味はだいぶわかりやすいですね。

最近だとそうでもないのですが、このころ(6年前くらい)はFuture bassっぽいIDMをやっていました。今はこんな感じ。


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とまあこんなもんです。

全然趣味じゃないのでここではほぼ紹介しませんでしたが、ラッパーとかゴリゴリのヒップホッパーもたくさん所属しています。Flying Lotusはヒップホッパーですからね!

*1:ポーズとかではなく本当に日本のアニメが大好き。家にはクソでかいアスカのタペストリーが飾ってある

*2:

ルイス・コール×長谷川白紙 フジロックで実現した夢のブレインフィーダー対談 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)