名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

「あなたも作曲家になろう」Yo-yoh/DENPAMARU×冨田悠暉

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あなたも作曲家になろう

いきなり余談から始めましょう。

トイドラ会長ことわたくし冨田には、ネーミングセンスがあまりありません。

名作同の1stアルバムは「名作同オルゴール企画」とかいう町おこしイベントみたいな名前してますし、そもそも「名大作曲同好会」という名前自体何のひねりもないですね。

というわけで――

 

「「「あなたも作曲家になろう」」」

 

名前だっさ……

悔しかったのでジャケットは超カッコよく作りました。

 

とりあえず聞こう

これから曲紹介をしていきますが、とりあえず聞いちゃってください。

Knot will Overcome the Not、作曲はYo-yoh/DENPAMARU氏で編曲は僕です。


 

作曲をしてくれたYo-yoh/DENPAMARU氏、なんと普通に作曲をたしなんでいる方です。

なので、送られてきたのも鼻歌ではなく普通に4分あるピアノ曲でした。

 

みんな「編曲めんどくさそ~~!!

 

めんどくさそうな編曲はやっぱ会長がやるしかありませんね。

ここは会長の威厳をビシバシと見せつけてやりましょう。

難しいと燃えるタイプなんですわたし。

 

1.原曲を分析しよう

まずは原曲を聞き込みますが、その前に。

タイトルの「Knot will Overcome the Not」というのは、Yo-yohさんが原曲の時点でつけていたタイトルで、どうやら彼のコロナ禍における思想を表しているらしいです。

日本語訳すると

「人と人との結び目は、『できない』を超克する」

 という意味で、コロナによって分断が深まった今だからこそ人間同士の結びつきを大事にしようという意味でしょう(たぶん)。

しかも「Knot」と「Not」で韻を踏んでてお洒落です。

というわけで、そういうメッセージ性が込められていることを念頭に原曲を聞き込みました。

聞いてみると、いろいろな曲想が現れては消えていき、確かにまるで世の中の動きのような印象を受けました。

冒頭は平和な雰囲気で始まり、短いブリッジを経てややメランコリックな展開、ミニマルチックなパルスを経て再度メランコリックに。

そしてキメが入り、希望を感じさせるサビが現れます。

そのあとは再度ミニマルが現れ、段々と音が厚く重なり激しさを増します。

と思ったら一気に静かになり、とても平和で暖かなアウトロに移って曲は静かに終わります。

 ――と書いたところでお聞かせできないので想像してもらうしかありませんが、とにかくこんな感じの曲でした。

何が言いたいかというと、展開がめちゃ多いということです。

聞いた感じでは、素晴らしい曲である一方で少々展開が散らかっている印象も受けました。

ここは会長の本気を見せるしかないでしょう……!!

 

2.構想を練ろう

展開が多すぎてややゴチャってはいるものの、それがこの曲の特徴であるような気もしました。

実際コロナで世の中はいっぱい変わりましたからね。

とすると、この展開の多さには手を付けずに、かつゴチャゴチャしないよう手を加えなければなりません。

ここで、僕は楽式論の技術を使うことにしました。

ウィキペディア見てもびっくりするくらい何も書いてないですが、楽式というのは軽視されてるんでしょうか。。。

しかし、長い曲を書こうとする場合やバランスを取りにくい曲を書く場合には、割と必須の技術です。

良く知られているものには3部形式とかソナタ形式とかがありますが、今回はまず原曲を楽式論的に分析してみました。

すると、めちゃくちゃ変則的な3部形式と解釈できることが分かったので、3部形式を意識してアレンジをしていくことにします。

さらに、原曲の状態では曲の主題が薄かったので、主題だけを抽出した上で、重要性の低いフレーズを削除しました。

さらに、主題を印象付けるために確保という技術を使います。

つっても、単に主題を2回繰り返すようにするだけなんですが。

同じメロディを繰り返すと手抜き感があってイヤな人もいると思いますが、れっきとした技術なんですよ。

というわけで、まとめると

  1. 原曲の形式は一切変えずに、3部形式ベースで構成する
  2. 抽出した主題とその確保で各部を作る
  3. コロナやだ!! 平和になれ!!

という感じの構想でアレンジしていくことにしました。

最後だけすげー適当ですが、まあ何とかなるでしょう。

 

3.つくってあそぼ

構想練ったら作るだけです。

はい完成。

 

~おわり~

 

 

としたいところですが、せっかくなので多少語っておきましょう。

まず、この曲にはイントロがありますが、これは原曲にはなかったのを僕が付け足しました

原曲では、冒頭でいきなり平和な社会みたいなメロディが提示されて始まってましたが、僕は平和な社会を信じてないので、もっと主観的な始まり方をさせようと思い抽象的なイントロを入れました。

全体的に、原曲の方では曲の視点がマクロ(=社会全体を描写してる感じ)な印象を受けたんですが、僕は社会というものがそんなに好きじゃないので、コロナ禍の社会にはあくまでフォーカスしつつ、その主体を社会ではなく個人に投影したつもりです。

コロナ禍において個人はどう変わったのか?

そこに「Knot」がどう作用できるのか?

みたいな感じですね。

なので、原曲にあったようなあからさまな希望や平和な感じは抑え、もっと抽象的で多義的な響きにしてみました。

 

あ、あともちろん全体の雰囲気は「rei harakami」リスペクトです。

前に記事にした通り、編曲とreiは切っても切れない関係があると思います。

 

4.つくってあそんだ

編曲楽し~~~!!!

割といい出来になったっぽいのもあって、この曲のアレンジは楽しかったです。

まあすげー手間かかりましたけどね。

この楽しさ、音楽を創る楽しさを、企画に参加してくれた方々に少しでも分け与えられたなら嬉しいです。

やっとオンライン配信も開始したので、好きなデバイスでどんどん聴いちゃってください。

再生数が増えると超嬉しいです。

 

 

★配信開始しました!→コチラ