どうもこんにちは。Red Cat Theaterの榊原ですよ。
これもネコ。
ということで昨日に引き続き「机上の空中散歩」の収録曲について語っていこうと思いまして、えてして、さてはて。
はい。
今回は「Illegal Utopia Nagoya」についてお話しさせていただきます。
この曲を作り始めた頃、丁度「表現の不自由展」が絶賛大炎上していました。
それまで名古屋というのはクソつまんね〜都市だなと思っていましたが、この騒動でますますその思いが強まっていきました。
嗚呼名古屋、炎上し燃え尽き、此処には何も残っていないのね......
という気持ちで作られたのがこの曲です。
ここら辺の話をするとクソ長くなるので端折りました。詳しく知りたいという奇特な方は↓この記事↓読んどいてください。一万字を超える文章があなたを待っています。
death-transzendenz.hatenablog.com
ところでよくよく考えるとですよ、名古屋のこと本当にオワコンと思っていたら、名古屋のこと気にもならないし、こんな曲を書くこともないはずなんですよ。
つまり僕のこの「オワコン名古屋」という感情は名古屋が大好きであることの裏返しなんだ、と、この曲を作りながら気づきました。つまりこの曲は名古屋を終わらせまいと、砂漠と化した名古屋を緑化せんという運動でもあるわけです。
そういうアンビバレントな感情がこの曲にはたっぷり詰まっています。どろどろ〜。
ただ基本は焼け落ちたオワコン名古屋という設定で作っているので、どこを切り取ってもディストーションで潰された攻撃的な音が鳴り響いています。魔境か?
ディストーションといえば途中でディストーションで音割れポッターみたいになったピアノがわけわからんフレーズを弾いていますが、あれは十二音技法によるものです。十二音技法とは、クソざっくり言うと半音階の音十二音全てを良い感じに並べるやつです。良い感じに並べると無調になります。今回は「ポップスのリフで使うとかっこいい」という僕の好みで使われています。
でも無調のリフは何かつまらなかったので、装飾音を大量に付けて部分的に調性感を出すことにしました。ついでにリズムが異なる同一のリフを重ねて完成です。
ついでのついでに暗号を仕込みました。
NAGOYAという文字列をある法則に従って音列に変換します。
こんな感じ。
ただわりかし綺麗な音列になってしまったので、全体的にキモいこの曲では浮きます。
じゃあどうすんねん。ということで半音ずつ音高を下げた同様の音列をいくつか用意し、並べてみました。そしたらディレイをかけてしまいます。そうすると音が重なって徐々にクラスター化していって良い感じになります。ヨシ!
また、ドラムにはめちゃくちゃ微妙なクオンタイズの調整が施されています。Triangle (not) Bossaで用いたようなCornelius的ドラムパターンの模倣にも飽きたので、リズムを自分なりに弄ってみることにしたのです。
基本的には八分音符を40%スウィングさせてるんですが、部分部分でイーブンにしたり十六分音符をシャッフルにしたりしてます。しまいにはこの異なるリズムのヨレが同時に演奏されているのでめちゃくちゃキモいです。
これポリリズムとはまたちょっと違う気がするんですが、なんなんですかね。ポリグルーヴ?
最後に、この曲はほぼサンプリングで構成されてますが、これはサンプリングを使い倒すという目的の他に「ほかの曲のサンプリングにより構成された音楽は果たして自分らしい音楽と言えるか?」「自分らしい音楽とは一体何か?」という問題提起でもあります。皆さんはどう思いますか。
という曲です。
名古屋圏に住んでいる人は全員CD買って聴いてください。そして名古屋に樹を植えましょう。たとえ明日世界が終わるとしても、名古屋に林檎の樹を植えるのです。
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