名大作曲同好会

“音楽”を創る。発信する。

ちょっとだけ覗く現代音楽 - 歴史編2 百花繚乱の時代へ

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キノコおじさん

前回はキノコおじさんの登場までを簡単に振り返りました。

ここまでを纏めてみると次のように言えると思います。

①調性音楽の歴史が続いている

②調性を壊したくなる

③調性の代わりの原則を見つける

④全部計算で縛ってみる

⑤だるいから好き勝手やる

 

nu-composers.hateblo.jp

 

 

そういえば前回、各作曲家の作品を貼ってほしかったと知り合いに言われたので
今回は音源も添えていこうと思います。
まずそんなきのこショップの作品からわかりやすいものを貼っておきましょう。

www.youtube.com

Concert for Piano And Orchestra/John Cage

 

さてこのブログをお読みの方々はその方向性からも聡明な方ばかりと思いますが、
までの経緯は言ってみればまあ確かにそうなるのかもな的にはご理解いただけると思います。
しかしそこまで来ると次に何が出るかなかなか想像できないものがあるかと思います。

 

しかしね
人間てね
すげーんだよ

想像力ってね
宇宙超えちゃうのかもよ?

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にんげんだもの

 

実はきのこ料理研究家のやったことは次のような側面があったんです。

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きのこ

 

①音楽表現の根本を音から解き放った
②基本的には単純化の概念による

 

この方向性にさらなる可能性が眠っていました。

①については音楽を超えた様々な芸術に波及していく事になり
このシリーズでは扱いきれないので、まずに注目します。

 

純化という言葉は思ったほど簡単ではないものでもあります。
何故か芸術と単純化の背景には文明への礼賛と自然回帰という2つの相反する概念が眠っています。
前者の大元はかつてイタリアで生まれた未来派という芸術運動にその根源を見出すことができますが、
ここでは前に戻るのではなく先に進める観点から、ミニマリズムの潮流をご紹介します。

 

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Steve Reich

彼の名はスティーヴ・ライヒ、帽子の似合うニューヨーカーです。
彼の音楽はその時期にもよりますが、一貫して小さいフレーズを執拗に反復することからなるものです。
これは文明が生む都市構造物が、無機質に繰り返しの風景をもたらすことと関係する
ミニマリズムという芸術運動の音楽版とみなされ、
純化の音楽の代表と言われます。

www.youtube.com

Music for 18 Musicians/Steve Reich

 

純化?馬鹿らしい複雑化こそ至高だろ。
という人も現れます。

 

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Brian Ferneyhough

このマッドサイエンティストな雰囲気のオジサマはブライアン・ファーニホウ
現在世界で最も権威のある作曲家の一人と言えます。
かれは遅れてきたセリー主義者とも言われましたが、
徹底してパラメータ作曲を追求し、非常に複雑な音楽を作り出します。

www.youtube.com

String Quartet No.2/Brian Ferneyhough

 

こういったキノコ以降純化複雑化以外に、計算と音楽を別の道筋で追求したのが
イアニス・クセナキスです。
ギリシャ反政府運動からフランスに逃れ、顔面を撃たれるなどしつつも
建築に道にすすみ、あのル・コルビジェの事務所でも働いていました。

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Ianis Xenakis

彼の音楽は、ミュジック・ストカスティクとも言われ
確率や群論を用いた作曲法を考案、その後書いた図形の音声化を可能にするシステムを構築するなどしました。

www.youtube.com

Metastasis/Ianis Xenakis

 

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Giacinto Scelsi

少し時代は戻りますが
ジャチント・シェルシも忘れてはなりません。
メディチ家に繋がる貴族の家系だった彼は、ありあまる富で若手有望な作曲家を秘密裏に雇い、足踏みオルガンを不気味にかき鳴らした音などを与えて作曲をさせ
自分の名前で発表します。
そうです元祖佐村河内です。

www.youtube.com

String Quartet No.5/Giacinto Scelsi

 

しかしその事実を知らないフランスの若者が彼の思想に共鳴し、
なんと新しい潮流を作り上げてしまいます。

 

スペクトル楽派というその潮流は、音楽における物理学的側面に注目。
倍音を演算で変調させながら新しい音響を構築する方法にたどり着きます。

 

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Tristan Murail

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Gérard Grisey

この手法の第一人者はこの人、トリスタン・ミュライユジェラール・グリゼーです。
彼らの活動とブーレーズの庇護がやがてIRCAMという先端的な組織の構築につながったわけですね。

www.youtube.com

Treize couleurs du soleil couchant/Tristan Murail

 

フランス、イギリス、アメリカといろいろな潮流が現れてきましたが、本流ドイツはどうなったでしょうか。

 

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Karlheinz Stockhausen

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Wolfgang Rihm

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Helmut Lachenmann

カールハインツ・シュトックハウゼンはセリー時代、電子音楽時代と時代が変わるごとに最新の語法を追求、
そしてポスト・モダンの時代にはヴォルフガング・リームなどが次々と登場します。
そのなかでも特筆すべきは我が自作の稿でも出てきたヘルムート・ラッヘンマンです。
彼の音楽は異化とノイズの音響体と紹介しましたが、最新の潮流にあって
彼の影響は未だに大きく、この時代の最重要作曲家として紹介しないわけには行きません。

www.youtube.com

Mouvement/Helmut Lachenmann

 

え?
なんだかごちゃごちゃしてきてよくわからなくなった?

たしかにそうかも知れません。
きのこマニア以降の音楽はだんだん個人の思考に細分化していくので
作曲家の数だけ潮流があるとも言える様になっていきます。

 

今日はここで一度仕切って
次回は最先端の音楽までを一気に見てみたいと思います。