名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

オルゴールコンサート来場者アンケを読む

先日、我々名作同は第2回「オルゴールコンサート」を終えました。
特にトラブルもなく、多くの方に来てくださって、とても楽しいコンサートとなりました。
いやーほんと良かった。

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演奏の風景

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演奏後(しっちゃかめっちゃか)

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それはそうと、今回のオルゴールコンサートでは多くの来場者の方にアンケートを書いていただきました。
今回は、その一部をここでご紹介させてもらおうと思います。
というのも、アンケートを読んでいて僕は
「ああ、この人メチャクチャ真面目に僕らの音楽を聴きに来てくれたんだ」

と何度も思わされたからです。
作曲者であり演奏者でもある僕ら側が真面目に音楽をやるのは当然ですが、聞きに来てくれた観客側との相互作用があって初めて、僕らの表現は成立するのだと思っています。
そういう意味で、グッと前傾姿勢でコンサートに臨んでくれたお客様が大勢いる、ということは、僕にとって大変嬉しかったわけです。

前置きはこの辺までにして、さっそく紹介していきましょう。

 

お客様の声

  • ”どの曲も好き。強いて言えば、たまにオルゴールを回す音がマイクに入ったり、きしむ音がまざったりするのが気になった。それも含めてオルゴールなら受け入れるけれど。”

まず、作曲団体としては曲を褒めていただけると自信がつきます。
今後も、褒めていただけるような曲を作れるよう、会員一同修練を積んでいきたいです。

さて、ここでご指摘いただいた「オルゴールを回す音」「きしむ音」というのは、実際に議論が分かれるところだと思います。
確かに僕自身、マイクで拡張した音の中にこうした雑音が混じってしまうのは、少し気になっていました。
もう少しやりようもあった気がするので、ぜひ次回に生かしていきたいと思います。

その一方で、この「オルゴールを回す音」「きしむ音」がαオルゴールの良さである、という一面もある気がするのです。
今回、コンサートと同時にオルゴールCDも発売していますが、このCDでは敢えて演奏の際の雑音をわずかに残した形で収録をしています。
たまに「ゴト……」とか「カタ……」とかいうのが、個人的には結構好ましいんですよね。
オルゴール以外でも、例えばヴォーカルの息継ぎ音とか、ギターのフレットノイズとか、楽器演奏に際した雑音って意外とあった方が好ましく聞こえることがある気がします。
とはいえ、当然ありすぎると邪魔な訳で……。
大変重要な視座を与えてくれたご感想でした。

  • ”コンサート自体も曲もとても挑戦的で、面白い試みだと思います。楽しい時間をありがとうございました。”

現在、日本全国にはいくつもの音楽集団があることでしょう。
その中の一つに我らが名作同もあるわけですが、所謂「普通」のことをしていても、もはや目立てないと思うのです。
それに加えて、コンサートの時にもお話した通り、芸術は常識を破壊し続ける営みです。
若い音楽家として、私たちは常に挑戦的なことをしていかねばなあ、と改めて考えさせられました。

  • ”初め、αオルゴールの演奏姿をシュールだと言っていましたが、私はむしろその演奏姿を含めて心打たれました。懸命にハンドルを回す様子、それには誰かがついて一つの曲が完成する点、圧巻でした。”

今回のコンサート、当然僕がオルゴールをぶんぶん手回しして演奏しました。
はたから見ると結構シュールな光景で、しかもオルゴールに巻き込む楽譜シートを支える人員がもう一人必要なので、ちっこい箱相手に二人の男が四苦八苦しつつ演奏する、というややコメディな光景が繰り広げられるのです。
最初の司会の挨拶で、僕はこのことを説明して客席から笑いを取りました。

しかし、この方はそんな光景も含めて心打たれたと言ってくださったのです。
そのように感じてくださる方もいるのだな、と思い、僕自身目が覚めるような思いを体験しました。

  • ”「塑像」はとってもシュール……あまりにも前衛的でした!”
  • ”「塑像」の演者の気迫に驚きました。”
  • ”「塑像」、一つの劇を見ている様でした。魔法の箱を見つけた人が、四苦八苦し答えを見つけようとしているように見えた。”

今回のコンサート最大の問題作だったであろう曲、「塑像」に関しては、多くのお声をいただきました。
この曲は、簡単に言うとオルゴールを弓で弾いたり叩いたり、オルゴールの周囲の空間を叩いたり、挙句まったく意味の分からない音がポロンポロン鳴って終わるという、極めて難解な響きの曲です。
それだけに演奏者の僕にも気合が入り、とても楽曲に入り込んで演奏できたと思います。

この曲は、響きこそ難解ですがそのコンセプトははっきりしています。

nu-composers.hateblo.jp

榊山先生の芸術が炸裂した一曲でしたが、この曲に対する評価は結構割れました。
一方では「難解すぎてついていけなかった」という声もあり、一方では「音楽観が変わる良い経験だった」という声もあります。
ただ僕の感触としては、こんな見慣れない音楽を演奏したにもかかわらず、意外とウケは良かったな、と思っています。
僕自身、最先端の芸術への興味は失ってはいけないと思いますし、こういう曲をちょっとずつ演っていくのはいい相互作用を生む気がしました。
何より、観客の間でも評価が割れているというのが面白いですね。
人間には個性がありますから、本来はこのように「感じ方が分かれる」のは悪いことではないのだと思います。

 

最後に

さて、ここまでいくつかのお声を紹介させていただきました。
他にもたくさんのご意見やご感想をいただき、しかもその大半はお褒めの言葉や好評、応援メッセージという大変心温まるものです。
これらを読ませていただき、僕自身はっきりと
「今回のコンサートは成功だったな」
と思うことができています。
同時に、鋭いご指摘やご意見も多数頂き、真摯に次回以降へと生かしていく所存です。

改めて、コンサートに来てくださった方々、ご支援いただいた皆様、
本当にありがとうございました

 

 

さ、次の企画立案でもすっか……