名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

【レポート】ライブを見てライブをやった

こんにちは。なんすいです。

最近ライブを見に行き、また自分でも小さいライブをやったので、今回はそのレポート記事になります。

 

Cory Wong featuring Antwaun Stanley

 

時系列は逆なんですが、先にライブを「見た」方から書きます。(プロップス順で)

 

Cory Wongはギタリストで、卓越したカッティングギターの名手として知られています。

またAntwaun Stanleyは歌手で、Cory Wongとはアメリカのミニマルファンクバンド、Vulfpeckでしばしば共演しています。

 

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そんな彼らが来日!名古屋にも来ました!

会場は新栄のダイアモンドホール。段差が無く平べったいイメージだったのでどれくらいステージが見えるか不安でしたが、実際行ってみると意外と見えました。


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開幕「Lunch Time」で盛大に始まり、得意のチャキチャキしたギター捌きを遠慮無く披露。

もうこれ以上の盛り上がりは無いんじゃないのか?くらい盛り上がってました。

 

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全パート細かい動きを要求される音楽でしたが、特にドラムやホーン隊の合いの手が後ノリを徹底することにより、極めて安定した合奏を実現させていました。

 

本当に全パート上手すぎでしたが、とりわけホーン隊がめちゃめちゃ上手くてびっくりしました。

2曲目以降は少し落ち着いて、各パートの長いソロを含む曲が代わる代わる披露されましたが、中でもトロンボーンのソロは圧巻でした。

 

そして、ボーカルのAntwaun Stanley。ゴスペルやR&Bにもルーツがあるようで、ソウルのある伸びやかな歌声でした。特に高音の質はとても日本人は真似出来ない、芯のある響き。

 

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今回のライブがきっかけで「Work it out」が好き曲になりました。

 

アンコールは「Stevie Wonder Medley」「Assassin」でした。

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Stevie Wonder Medleyではサックスがモスキート音みたいな超高音を出していました。

ライブ1曲目でこれ以上の盛り上がりは無いんじゃないか?と思っていましたが、Assassinでしっかりそれを超えて来ました。その一番の理由は、終盤テンポがどんどん速くなっていったからです。テンポが速くなると盛り上がるのです。

 

Vulfpeckのような音楽は、長くやるとだれてしまいそうだなと思っていたのですが、今回のライブは盛り上がる要素を適格なタイミングで小出しにすることで、大局で見てずっとテンションが上がるようなライブを作っており、大変勉強になりました。

 

 

 

 

紅白歌合戦

私が「やった」ライブの話です。

大学の学祭のステージでひたすら歌を歌うライブをやりました。

 

このライブとは規模もジャンルもプロップスも全然違うCory Wongのライブを記事の中で並置しようと思ったのは、ライブ特有の「怖い感じ」が似てるなーと思ったからです。

今回のCory Wongのライブは結構長いソロが多くて、みんな上手いのでバッチリ成功することは分かっているのですが、私はそれでも常にヒヤヒヤしながら聴いていました。

いつでもちょっとしたミスで全部壊れてしまいそうなヒヤヒヤ感、これが、Vulfpeckのような機械的なファンクの中にある「身体性」であって、特にライブという場ではそれを意識せずにいられませんでした。

 

そして、その「ヒヤヒヤ感」を味わいたかったために、私はライブ紅白歌合戦を企画したのでした。

 

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ライブのセトリは、以下の通り。

 

1. モス/サカナクション

2. 幼い二人/寺尾紗穂

3. =space/逆さまのイドラ。

4. urar/Chima

5. アルビレオ/冨田悠暉・梢明

6. 金の鯱/内田温

 

コンセプトは概要欄に以下の通り、記してあります。

「紅白」 ……相異なるもの、対立するもの、惹かれ合うものが一緒になるということ……それは「ふたり」であるということ。 「ふたり」をテーマにして、正に対立するものが衝突し顕現したエクストラステージの舞台上にて、LIVEを行いました。 歌を歌ったのは、大学生の自由研究メンバーの清水。清水自身は、紅白混濁の故に常に独りの存在です。セットリストはラブソング(だと清水が思ったもの)を中心に集めました。 ふたりを恐れ、独りに悲しむ全てのものに……晴やかなお祭りに、大道芸人に、コモンネクサスに、冨田悠暉に、食パンに、ダフトパンクに、香蘭楼に、

 

つまり、「私が一人で歌を歌うライブ」にしようということは、コンセプト段階で確定していました。

これに加えて先述の「ヒヤヒヤ感」を味わい自分の輪郭を認識することで、自分と他者の認識について理解し、最終的に「ふたり」を理解するという算段で、セトリを考えました。

 

1. モス/サカナクション

マイノリティとして社会で生きていくものを描きつつ、マジョリティの中のマイノリティという視点を超越する、的な歌です。

MVには可愛すぎるジュノンボーイとしてかつて話題を呼んだ、井手上漠というセクシャルマイノリティの人が出ています。

この人に私は昔影響を受け、結果的に私が独りになる要因になったので、セトリに加えました。

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また、MVの真似をしたかったので、寝袋を購入して再現しました。自分の身体的限界をなぞることがライブの目的だったので、頑張って地面を這ってみました。

キーは+5にして、自分が地声で出せる高音ギリギリを攻めました。当日の朝家でリハしてみたら全く出なかったので、ヤバいと思って本番までずっと龍角散を舐めていました。

 

2. 幼い二人/寺尾紗穂

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過去の幼い恋を追想する歌。

幼い自分と大人の自分の対峙であるところの追想こそ、独りの私にとって出来うる「ふたり」の想像なのかも。と思ってセトリに加えました。

 

3. =space/逆さまのイドラ。

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「逆さまのイドラ。」は、名作会初代会長のトイドラくんとその元カノによって結成されたユニットです。

今春2人が別れたので、何かセトリに加えたいなと思い、この曲を選びました。

と思ったら、ライブをする前にトイドラくんに新しい彼女が出来てました。おめでとう!

さすが「ふたり」の伝道師こと冨田悠暉、といったところでしょうか。

 

喪失や過去との葛藤を経て、空虚な"space"を自分の居場所として見つけていく歌。ですが、私はこれを「ふたり」が「ひとり」になる歌として再解釈しました。

ラスサビでは、一人で声をいっぱい重ねてみました。普通のアパートで絶叫しながらレコーディングしたので、通報されないかとヒヤヒヤでした。

 

当日スピーカーの後ろで歌ったのと、曲がハイテンポかつバスが控えめだったため、リズムを合わせて歌うのがかなり難しかったです。結構ズレちゃいました。ライブ特有の怖さ、来ましたね。

お金が貯まったらイヤモニ買おうかなと思いました。

 

4. urar/Chima

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ライブの中で最もヒヤヒヤだった曲です。

全編ファルセットで、音域も(私の中では)広めでした。

今回のようなコンセプトで無ければ絶対にセトリに加えないような怖い曲でしたが、今回のコンセプトなので、必須のナンバーとなっていました。

ずっと怖かったですが、これを歌ったことでかなり紅白歌合戦感が担保されたように思います。

 

5. アルビレオ/冨田悠暉・梢明

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ライブとしてだれるから無くても良いかなと思っていたんですが、ラブソングだったので入れてしまいました。

客観的にラブソングなのか微妙な曲が多いセトリの中で、かなりラブソングなナンバーです。

バックがオルゴール1本なので、一度タイミングを間違えると二度と復帰出来ない怖さがありました。

ハモリもこの曲だけは全編通して無しにしました。

 

6. 金の鯱/内田温

私が大好きな内田温の曲です。

客観的に見て全くラブソングでは無いですが、ラブ要素はかろうじてあります。ライブの〆としての選曲です。

britec.seesaa.net

 

振り返り

概ね、怖いライブが出来たので満足しています。

ただ、本当はこの企画のためのオリジナル楽曲を含めるつもりだったので、それが間に合わなかったのが心残りです。

製作時間が足りなかったことが主な要因ですが、そこには「ふたり」について自分がどういう答えを出せるか分からなすぎたこともありました。残念です…

 

(去年同じようなステージで歌ったオリジナル曲「Before anyone else」は明確なラブソングだったんですが、この時からあまり思考が進んでおらず、もう一度歌うのもなんかなぁと思ったので、歌いませんでした)

 

あと、(私にとっての)低い地声、高い地声、ファルセットを今回のライブでやることが出来ましたが、他にもラップとかデスボイスとかボイスパーカッションとか、もっと色々やりたかったです。

楽器演奏もやりたかったですね。

来年はしっかり製作時間を設けて、できるだけ色々やろうと思います。

 

 

以上、ライブを見たレポートと、ライブをやったレポートでした。THANK YOU