こんばんは、榊原です。私は毎月毎年プレイリストを作成しては公開し続けているのですが、そのために日々ありとあらゆるポップミュージックを聴きすぎて頭が爆発しそうです。最近はクラシックや現代音楽を再び聴き始めたので爆発しています。今日は世界中の音楽を一度に聴くことでより一層爆発していきたいと思います。みんなで世界中のヒットチャートを周遊しましょう。と言いつつも、思ったより文量が多くなってしまったので今回はアジアのみの紹介ですが。
*爆発した例*
3年前と比較しても面白いかもね!
BillboardのHits of the worldから抜粋
3年前はApple Musicのチャートを参照していましたが、今回はBillboardの世界チャートを参照していきたいと思います。Apple MusicのチャートはApple Musicのストリーミング再生回数しか反映していないんですが、BillboardはストリーミングだけじゃなくてCDとかダウンロードとかラジオでの放送回数とかも加味されるんですよね~。なので前回より各国の音楽事情を反映しているのではないかと思います。
またあれから3年が経過したということで、音楽を取り巻く事情もだいぶ変化しているようです。
*前回からの大きな違い*
①DABABY、干される
前回チャートを見たときに欧米を中心に爆発的に売れていたDABABYが干されました。夢幻泡影。
「コンプラ的にマズいことをする→バッシングが集中→干される」という現代のキャンセルカルチャーの王道を突っ走ってしまわれたご様子。ストリート出身のラッパーにお行儀の良さを求めるのはフツーに無理があろうと思われます。
(思えばポリコレ的でないミュージシャンはボコボコにされる時代になりました。The1975とか。)
そうでなくともラッパーは一発屋が多いです。大体売れるとそれまでのストリート精神を忘れたゴミみたいな「家族やパートナーラブだぜ!」的なリリックになるケースが多い様子。
②オリコンチャート、ついに死す
Billboard JAPANのチャートが、秋元康により破壊されたオリコンチャートにとって代わりました。
これによってこれまで数値的にはなかなか見えてこなかった本来の日本の音楽動向が可視化されるようになりました。うれしー!
③握手券商法、ついに死す
コロナ禍で握手ができなくなり、握手券商法が死にました。今月に満を持して復活するようですが、そうこうしているうちにオリコンチャートも死に、シングル売り上げがかつてほどの意味がなくなった今、どれだけの影響力を持ち続けられるのか気になるところです。
握手券商法でブイブイ言わせていたAKB48自体もかつての存在感はなく、KPOPブームも相まってアイドルは群雄割拠の時代を迎えたように見えます。
3年って短いようで長いですね。
ということで、3年前から世界各国の音楽情勢はどう変化していったのか見ていきましょう。
(2023/8/19現在)
日本
Bilboard ChartはApple MusicCDのチャートは違ってCD売り上げも加算されるため、ジャニーズやAKBなんかもランクインしますが、なんと関ジャニしかいません。普通に意外です。
ランクインした曲の中でも特筆すべきはVAUNDYの「怪獣の花唄」で、これは発表から既に3年が経過していますが、今でもバキバキに聴かれているようです。後の時代に振り返ったとき、20年代の楽曲として代表的なものとして扱われることでしょう。
*Pick Up*
アイドル - YOASOBI
YOASOBIは3年前「夜に駆ける」で1位を獲得してから新曲を発表するたびに1位ですね。もはや押しも押されもしないところまで来てしまいました。
Bilboardの世界チャートにランクインしたとかしないとかで話題になりましたが、以降のランキングで上位に出てこないところから察するにドメスティックな人気の影響が強そうです。
エンジョイ - めいちゃん
いわゆる歌い手。後にボカロPになった。現在はYoutuberユニット「肉チョモランマ」としても活動している。らしいです。なんやねん、「肉チョモランマ」って。
曲についてコメントするところがびっくりするくらいないです。youtuberが人気なのも時代ですね~。なんでも時代の所為にしてしまおう。
ETA - newjeans
Newjeansは韓国人、オーストラリア系韓国人、ベトナム系オーストラリア人からなる韓国の音楽グループ。有名すぎて今更語るまでもないですが、私は厚顔無恥なので普通にこういうことを書きます。最近の韓国音楽グループは多国籍が多いですね~。国内市場だけでなく海外市場にも積極的に働きかけようという意志を以前よりも強く感じますね。
最近はハウスミュージックぽいのがトレンドなんでしょうか。最近のKpopは昔より落ち着いた曲が多くてききやし~と思いました。私のK-pop認識はポンチャックで止まっているので。
嘘です。Kpopは今でも普通に低音を強調したヒップホップとかビートミュージックが主流だと思いますが、その中でもNewjeansは異質な部類のようです。
なんか最近寿司ランド発言で炎上していましたが、日本は寿司ランドだし韓国はキムチペニンスラだから何の問題もないと思います。
さて、日本のチャートを見てみました。K-popがブームとはいえトップテンに食い込んでいるのは2組(jung kookとNewjeans)と、やはり国内ミュージシャンが強いですね。あとボカロP出身がだいぶ増えました。三年前の時点ではYOASOBIだけだったんですが、今回は4組もいます(歌い手を含めると5組)。いわゆるZ世代の若手ミュージシャンにとって、そのへんはもはや通過儀礼みたいなものなんでしょう。私は通過し損ねたのでわかりません。Z世代なのに。
韓国
さて次はお隣の国、韓国です。
3年前から今までずっと、Kpopの破竹の快進撃は止まらない!
全部Kpopです。3年前はジャスティンビーバーとかアリアナグランデとかもいましたが、見事に消えました。音楽産業の国産化に完全に成功しています。
*Pick Up*
Seven - Jung Kook feat. Latto
BTSのメンバーJung Kookによるソロプロジェクト。この曲はアメリカのフィメールラッパーLattoとのコラボですね。人気グループのメンバーの曲ということもあり、国内外で大変な人気を博しているようです。
BTSは曲もアメリカの大物とかが作っていたりと。もはやKpopなのかよくわかんね~ところまで来てしまった気がします。すごすぎて。
ISTJ - NCT DREAM
こういうのだよなKpopって、という謎の安心感を覚える一曲。
とはいえ明らかに年々曲のクオリティが良くなっていってますね。ただのブリブリのダンスミュージックではなくなっていっている。久しぶりにまとまった曲数を聴いてびっくりしちゃいました。
中国
中華ポップは都市圏ではかなり洗練された音楽(C-pop)がここ10年くらいで勃興してきた印象がありますが、全体としては日本では40-50年以上前に流行ったような演歌調の曲がチャートのトップに上がる印象もあります。今はどうなんでしょうか。
中国のチャートはBilboardが情報収集できないためか、中国の企業(TME UNI)のチャートを流用しているっぽいです。
そしてランクインしているのは見事に全部中国人。東アジアは自国の音楽を消費する傾向にあるのでしょうか。まあ英語聴いてもよくわかんね~からな。
*Pick Up*
罗刹海市(Luo Cha Hai Shi)- 刀郎(dao lang)
伝統音楽っぽいレゲエ、しかし歌がダサすぎる、など謎のバランス感覚が面白い。と思ったら刀郎は民謡の現代アレンジなどをよくやるようで、そういった文脈の下この曲が作られているのかもしれない。が、中国語が読めないのでよくわからない。唯一わかるのはこの曲がチャートのトップになる中国はおもろい国だということです。「アイドル(曲)」がトップになる日本を客観的に見たら同じくらいまあまあおもろい可能性もありますが。
明天見(Ming Tian Jian) - TFBOYS
中国の三人組男性アイドルグループ。なんと中国初の国産少年アイドルグループらしいです。知りませんでした。しかし2013年から活動しているため、もう少年ではなくなってしまっています。青年アイドルは腐るほどいるので、できれば少年のうちに知りたかったですね。
肝心の曲についてですが、中国的な泥臭さ、ダサさみたいなのが一切感じられない非常に都会的なサウンドで驚きです。まったくヒップホップしてないKpopにありそう。だから正直全然面白くはないんですが。
タイ
東アジアの次は東南アジアに行きましょう。
タイには東南アジア諸国からみんな出稼ぎに来てるので、タイは実質8カ国分のマーケット規模があるってDJ社長が言ってました。ということはタイのチャートを見れば東南アジア全体の流行がわかるってことですね。すげ〜。
タイポップ、マジでなんもわかんね~~です。なぜならばストリーミング配信ではアーティスト名がタイ語で書かれているため、アルファベット表記との対応ができないから。タイ語、読めなさすぎる。でもタイポップはかなり面白いので好きです。
*Pick Up*
Shall We - Percy feat. 4ouryou & GENA DESOUZA
次の駅名が全く読めなかったが、歌はゴリゴリに英語でした。
4ouryouはおそらくタイのシンガーソングライターです。マジで情報がないので何者なのかよくわかりませんが、この曲だけ突出して再生されているので、TikTokかなんかでスマッシュヒットでもしたんじゃないでしょうか。Billboardのチャートは様々な媒体での音楽の再生回数をもとに算出されるので、こういうことがよくあります。今最もナウい音楽がここに。
Yindi Ost.Matarada - Sarah Salola
Sarah Salolaはタイのシンガーソングライター。多分。ギター持って歌ってるし、日本でいうあいみょん的な立ち位置なんじゃないかな~~~~????(適当)
それはそれとして、まあまあ洗練とされた感じじゃないですか? タイポップはこういうのとか、謎のファンクミュージシャンとかが存在するので結構侮れないです。特に後者。
インド
さてアジア編最後を締めくくるのは超大国インドです。なぜなら、中央アジアや西アジアにはBillboardのチャートがないからです。つくれ。
それはそれとしてインドは、異質すぎてもはやアジアでくくるのも申し訳ない、魔境です。
Shree Hanuman Chalisa - Hariharan
度肝しか抜かせねえ。サムネからして既にほかの国家とは違いますね。
hariharanはインドのプレイバックシンガーです。プレイバックシンガーというのは映画「雨に唄えば」のキャシーよろしくサウンドトラック用の楽曲を俳優に代わって歌う人たち。なので、この曲もおそらく何かしらの映画のサウンドトラックなのでしょう。
インド映画ではプレイバックシンガーを使うのが一般的で、さらにプレイバックシンガーは実際に映画に出演している俳優らと同じ待遇を受けているらしい(!)です。裏方もちゃんと評価されるの素敵。
というかこの動画、33億回再生されてるんですが、マジでなんなんですか????
とまあhariharanはインド国内で絶大な人気を誇っているようですが、現在ボリウッドの第一線で歌うということはないようです。大御所ポジですね。
Main Nikla Gaddi Leke - Udit Narayan
現在進行形のボリウッドだとこんな感じ。我々が想像する典型的なインド映画の様相を呈しておりますが、さも当たり前のように間奏でコナッコルをしないでください。
全体的にEDMっぽい音なのでサラっと聴けてしまいますが、ほぼ和音が鳴ることなく単旋律で曲ができていることに驚きを隠せません。民族音楽がナチュラルに根付きすぎだろうよ。
ちなみにUdit Narayanも例に漏れずプレイバックシンガーです。
というところでアジア編は終了です。インドが異次元すぎましたね。
次はヨーロッパ編の予定ですが、これがクライマックスだった気がします。頑張れヨーロッパ!