このところ「作曲ものまねシリーズ」を連載していましたが、現在ラヴェルの研究に悪戦苦闘しているため今週はおやすみ……。
というわけで、今週は僕の思い出話をしようと思います。
「大合奏!バンドブラザーズ」、略して「バンブラ」というゲームについて。
バンブラとは
「大合奏!バンドブラザーズ」は、DSシリーズで3作品が発売された音ゲーです。
明らかに某人気対戦ゲーをパクった絶妙にダサいネーミングからも分かる通り、そんなにメジャーなゲームではありません。
ゲーム性ぜんぜん関係ないのになぜパクった???
一般的な音ゲーと同じく、リズムに合わせてボタンを押すというゲーム性です。
ただ、バンブラには非常に特徴的な点がいくつもありました。
①自分で曲を作れる
なんと、このゲームには作曲エディタが内蔵されていました。
最新作の「バンブラP」では、コードギターなども含む同時10パート+簡単なエフェクタまでついていました(!)。
当然音ゲーなので、自分で作った曲を演奏して遊ぶことも出来ます。
ガチで唯一無二のゲームです。
ついでに、最新作ではなぜかヴォーカロイドが内蔵され、自作曲を初音ミクなどに歌わせることができます。
???????
DSにボカロを内蔵するってだいぶ狂ってないか?????
開発陣の熱意がすごい。
赤字にならなかったんでしょうか。
②本当に演奏しないといけない
ふつうの音ゲーは、リズムに合わせてボタンを押しはするものの、別に曲を演奏しているわけではありません。
しかしバンブラでは、自分がボタンを押さなければマジで何も音が鳴りません。
というか、DSについている各種ボタン(ABXY・上下左右・LR)が1つ1つの音に対応しているので、プレイヤーは実際に曲を演奏することになります。
その気になればアドリブを演奏することも出来ます。
この仕様のせいで、オンライン合奏では荒らしが多発しました。
……そう、このゲームでは合奏ができるのです。
友だちがたくさんいれば、10パートすべてをみんなで分担して演奏することも出来ます。
③楽曲投稿&審査のシステムが存在した
このゲームでは、後から曲を追加購入することができました。
ただし、追加コンテンツを制作するのは開発陣ではなく、僕たちプレーヤーです。
プレイヤーの有志が好きな曲をバンブラで耳コピし、投稿し、審査を受けて通ればDLCとして配信されます。
??????????
冷静に考えてみてください。
好きな曲があったら何でも投稿してDLCに追加できるってヤバくないですか???
どんな超マイナー曲でも、JAS○ACの著作権管理リストに載ってさえいればマジで投稿することができたのです。
そのせいで、2014年の時点で追加楽曲数は7,400曲を超えていたようです。何事?
ちなみにバンブラは、JAS○ACにシャバ代を収めることであらゆる楽曲の配信を可能にしていました。
ただし、著作権法上「完全コピー」は許されるが「アレンジ(編曲)」は認められないので、配信されるためには原曲を完全に耳コピする必要がありました。
これが相当な鬼門で、生半可な耳コピ能力では配信にこぎつけらませんでした。
しかも考えてみれば、そんな大量の楽曲を審査するためには相当な手間暇がかかったと思います。
ここに割いた大きなコストが、バンブラの寿命を速めてしまったんでしょうか。
Noバンブラ, No Life
端的に言って、バンブラがなければ僕は作曲家を志していませんでした。
バンブラとの出会いは中学生の頃、「メイドイン俺」というゲームについていたオマケ機能の作曲エディタにハマっていた僕は、
「もっと自由に作曲してぇ!」
と思いこのゲームに手を出しました。
で、耳コピにハマったわけです。
初期収録曲だけでは物足りないので、自分でガンガン曲を増やしていきました。
ガンガンと言っても、1曲作るのに1か月ほどかかりましたが……。
やがて最新作の「バンブラP」を買うと、いよいよ楽曲投稿にハマりだしました。
しかし、これがなかなか審査を通過しない。
自分の耳コピの精度を磨いていくことになります。
で、気づいたら作曲ができるようになっていました。
そりゃそうですよね、既存の曲を全パート耳コピし続けるって最高の修行です。
しかも、バンブラの審査制度はかなり厳しく、ちゃんとプロの音楽家(?)からのフィードバックがもらえたので、相当ためになったと思います。
投稿時にトマト(ゲーム内通貨)を支払うことで、落選時にどこが悪かったか説明してもらえるサービスもありました。
ついでに、バンブラでは定期的に作曲コンテストも開かれていました。
入賞すると配信される上にトマトがもらえるので、いつも大変賑わっていました。
僕の曲が入賞することは結局ありませんでしたが、作曲仲間に囲まれる体験ができたのは大きかったと思います。
ついでに僕の投稿曲も1つだけ・・・
人生で一番オタクしていた(爆)
完全に蛇足ですが、バンブラは当時マイナーゲーにありがちなオタク界隈を形成していました。
当時中高生だった僕は、その中ではかなり若手でしたが、オフ会とかにもよく行っていました。アイタタタ……
でも、そのおかげでこんなものを持っていたりもします。
当時バンブラをやっていた人の中でも、未だに作曲を続けている人はわりといます。
DTMを始めるのに比べてかなり手が出しやすく、それでいて本格的だったバンブラというゲーム、すごい良ゲーだったなと今では思います。
何より開発陣の変態っぷりがすごい。
マスコットキャラがジト目爆乳ドSコウモリってどういう性癖してんだ?????