名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

科学者のデザインセンス

こんばんは。榊原です。

この前International Conference on Arabidopsis  Research(ICAR)という学会に出席してきました。英語能力がカスなのでボコボコにされてきたんですけれども、そんなことはどうでもよくてですね、

 

こちらをご覧ください。

ロゴがゴミすぎませんか?????????

 

*ゴミカスポイント*
アメリカの子供番組で使われてそうな、謎に光沢感のあるフォント。
・標語がArabidopsis for SDGs(この時点で既にクソ)だからCがSDGsのロゴ*1っぽくなっている。
・日本開催なのでAが富士山になっている。しかし開催地は千葉である。

・とりあえず載せとくか!みたいなシロイヌナズナ(左上の花)の絵

 

ちなみに2024のロゴはこう。

Picture

ヤシの木の葉がしれっとシロイヌナズナのロゼットになっているのがポイント高いです。流石に2023が酷すぎたようです。アレは日本の恥です。

 

過去のものも見てみます。

General 3 — Arabidopsis Community as supported by NAASC

General 3 — Arabidopsis Community as supported by NAASC

今とても2023のロゴの投げやりさを憂いでいます。なにあれ?日本に対する解像度が低すぎやしませんかね。

さて、気を取り直して過去のロゴを眺めていると、(ぜんぜん良いんですが、)フォントがもさいのが気になります。あとシロイヌナズナがイラスト化されているとはいえど写実的で、これがデザイン性を狭める原因の一つになっているように感じられます。これは科学者(あるいは専門家全般)のよくないところです。デザインなんだから、簡略化を許せよ。そういうところにばっかり目くじら立ててるから一般人から変人扱いされるんですわな。そしてそれを良しとしている節がありますね?
そしてこれらロゴはどうやら研究者が作っているようです(学会でロゴの締め切りをアナウンスしていたため)。ちなみに2025年ベルギー大会のロゴは今月まで募集をしていたはずです。みんな急げ!

とまあそんな感じで、科学者のデザインが稀にゴミだったりサイエンスに引っ張られすぎたりしている様をなんとなくわかっていただけたかと思います。わかっていただけなくても先へ進みます。

 

名古屋大学に存在するサイエンスデザイナーという謎の職業

話は変わって卑近な例として名古屋大学の事例を挙げます。名古屋大学にはITbMという生物学と化学を融合させてなんかする施設*2があるのですが、そこにはサイエンスデザイナーがいます。サイエンスデザイナーってなんなんだ。それを説明するためにはまず大学における研究者の立場を説明しなければなりません。

研究者は研究をします。当然ですね。しかし世の人間の中には研究者のことを「なにやってんのかよくわかんないw」「陰キャ」「税金泥棒」と思っている人が一定数いるからかなんなのか知りませんが、アウトリーチ活動というものもします。あるいはしろと国から言われています(基盤Sという研究費を貰っている場合など)。これは地方の高校とかに講演をしに行ったり、オープンキャンパスで研究紹介をしたりするやつです。あるいは論文が出たときにプレスリリースをします。これは報道機関を集めて記者会見をして、運がいいとテレビのニュースに出たり、新聞に載ったりするやつです。一般人が研究結果を知る場合、それはほぼ100%プレスリリースされています。
で、こういったことをするときに研究者が論文の図やICAR2023のロゴみたいなイラストを使って説明すると、みんなの頭の中が?でいっぱいになり、「これだから学者さんはw」とか言われてしまうからかは定かではありませんが、名古屋大学ITbMはそれ専用のデザイナーを雇うことにしました。それがサイエンスデザイナーです。前にその人に会って話したことがあるんですが、「サイエンスデザイナーなんてが職があるんですね~」と聞いたら、「私もここに来る時に初めて知りました!」と返答されたのであまりメジャーな試みではないようです。ほかの大学だと基本的にデザイン会社に外注するものらしいので、内製なのは確かに珍しいかもしれません。距離が近いので情報伝達に齟齬もなく、研究内容をちゃんと表したいいデザインが作れそうですね。

と言いたいところですが、

毎回毎回なぜかすべての図がカードゲームみたいなメタリックなデザインになっているのが気になります。いや、悪いわけではないんですが、

link.springer.com

だいたいこんな感じの殺風景な図がド派手にリアレンジされるのが衝撃すぎます。そこまでしないと大衆に伝わらないのか、そもそも伝わってるのか、地方紙の32面に小さく記事が載ることを伝わってるとみなしていいのか、朝ドラで牧野富太郎がフィーチャーされた方がよっぽどアウトリーチできるのではないか、という疑問こそあれど多くの研究者の間で採用されているので、まあ効果的なんでしょう。

で、私の中ではこれとICAR2023に非常に近いものを感じています。要するに両方とも派手で情報過多なんですよ。もうなんか日本の(バイオ)研究者の中でこういったゴテゴテしたものがよいとされているという状況の中でICAR2023のロゴが選ばれたとしたら非常に納得します。しかしそれは日本の研究者のデザインセンスが終わっているということを示すので、暗澹とした気持ちになるのでした。日本の研究界は予算や雇用のことばかり考えているので、こういった方面で危機感を抱いているのはたぶん私しかいないと思います。哀しいですね。おわり。