名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

都道府県民歌いろいろ

こんにちは!

自治体ソングポケモンのなんすいです!


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皆さんは、自分が住んでいる都道府県、あるいは故郷の都道府県民歌を歌えますか?

 

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言わずと知れた、日本の国歌。

めちゃめちゃウケてるし、式典で歌う機会も多いです。

音楽の教科書の最後のページにも、必ず国歌が乗っていました。

 

対して、都道府県民歌

はっきり言ってあんまりウケてないです。

というか、知られていない。音楽の授業とかでしっかり習うわけでも無ければ、歌う機会も少ない場合がほとんどです。

 

名古屋作曲の会ということで、手始めに愛知県民歌を聴いてみましょう。

 

愛知県民歌「われらが愛知」

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歌謡や軍歌を多く残した古関裕而による作曲です。

古関は他にも多くの自治体歌を手掛けています。

 

1950年に国体をきっかけに制定され、大戦からの復興歌としての側面を兼ね備えた内容になっています。

 

 

 

さて、都道府県民歌は大きく分けて以下のようなルーツがあります。

 

①戦後GHQの奨励によって制定したもの

②国体をきっかけに制定したもの(一番多い)

③その他きっかけ(県政〇〇周年など)

 

歌詞や曲調も、作られた時期やルーツによってそれぞれ異なっています。

戦後すぐとかのだと行進曲調だったり歌謡曲っぽかったりするし、最近作られたものだともう少し甘めだったりします。

 

今回は、そんな都道府県民歌から私が好きなものをいくつかご紹介したいと思います。

 

宮城県民歌「宮城県民歌」「輝く郷土」

宮城縣民歌(1939年) 〈宮城県制150周年記念特集〉 - YouTube

1939年制定の初代県民歌。軽やかな伴奏の上に若干陽旋っぽいメロディが乗って、柔らかく明るい印象です。

しかし大戦により、1946年復興歌として制定された2代目県民歌「輝く郷土」に取って代わられてしまい、初代県民歌は早々にサ終になりました(現在は愛唱歌として残っています)。

 

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こちらが2代目。

前奏が新民謡っぽい。歌の方はしっかり明るい感じで、ちょっと不思議なバランスかも。

 

秋田県民歌「秋田県民歌」「県民の歌」

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初代秋田県民歌は1930年の制定と古く、作曲は「浜辺の歌」などで知られる成田為三です。

成田為三は多くの唱歌を手掛けたことで有名ですが、一方でモダンな作風を持つ理論家の側面も持っています。

 

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モダニズムを隠してはいるものの、秋田県民歌も唱歌の範囲内で極めて完成度の高い音楽に仕上げられています。

しかしこの曲もやはり、1959年に制定された「県民の歌」に取って代わられてしまいました。

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こちらが「県民の歌」。正直微妙です。

結局、初代の県民歌も後年再評価され、今では2曲ともに県民歌として制定されています。

 

和歌山県民歌

和歌山県民歌、なんすいの激推しです!!!!!

 

この曲は作詞・作曲を一般公募により募集したもので、1948年に制定されました。

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良い曲!!!!!

作詞は詩人の西川好次郎で、確かに他の県民歌と比べて圧倒的に詩的で美しいです。

そしてこの歌詞に全く引けを取らない見事な作曲は、、一般公募したものの良い感じのが無くて、結局選者の山田耕筰が自分で作曲したものになりました。

自由な拍子で書かれていて、自然な呼吸感で詩を歌える感じが大好きです。

 

栃木県民歌「県民の歌」

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こういう感じの曲もあります。

 

謡曲調、みんなのうたっぽいですね。

1960年代、全国で都道府県民歌制定の流れが出来ていたので、これに乗っかって栃木県でも県民歌を制定しました。

地元の人からの人気も高く、結構認知されているようです。

 

愛媛県民歌「愛媛の歌」

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愛媛県成立100周年記念として、県章と合わせて1973年に新しく作られた県民歌です。

 

作曲は有名な中田喜直によるもので、さすが完成度が高いんですが、公募で選ばれた岩本義孝による歌詞が個人的に特に好きです。

山や川、地元の言葉があって、それは当たり前の事なんだけれど、でもふるさとってそれだけで良いんだな〜という、クールな詩です。

 

山形県民歌「最上川

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昭和天皇最上川の情景から御製になった和歌を歌詞として、1930年に制定された県民歌です。

しかしその後敗戦、占領下にあって演奏が自粛され、代わりに2代目県民歌「朝ぐもの」が作られましたが、県民にはあまり浸透せず、1982年には再び「最上川」が県民歌となりました。

 

福井県民歌/新福井県民歌

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こちらは2014年に曲を改訂して制定した「新福井県民歌」です。

 

元となった旧版「福井県民の歌」は、1954年に諸井三郎によって作曲されました。

しかし、歌詞に登場する当時の市郡の数が現代のそれと合わなくなっていたため、新版では2,5番を廃止して1,3,4番のみ使用しています。

また原曲の旋律が歌いづらいと不評だったため、曲も作り直されることになりました。

 

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こちらが原曲。前奏がイカしてます。

確かに旋律はちょっと親しみにくい?ような気もしますが、曲としては雰囲気があってこちらの方が好きです。

改訂されたのは2014年のことなので、結構新しい話ですね。

 

 

 

いくつか私の好きな都道府県民歌を紹介しましたが、いかがでしょうか。

結構日本の有名な作曲家が手掛けてたりするので、国歌に負けないくらい歌う機会があってほしいな〜と思います。

皆さんも自分の住んでいる都道府県や自治体の歌、もし知らなかったら調べてみると面白いかもしれません。