名大作曲同好会

“音楽”を創る。発信する。

渋谷系の時代② 小山田圭吾編

~前回の記事~

どうも榊原です、ご機嫌麗しゅう。

さて、書いた本人すら存在を忘れかけていた不定期すぎてもはや不連載が再開します。

 

 

 今回は小山田圭吾編ということで、フリッパーズ解散以後の小山田圭吾の軌跡を辿っていきます。それではレッツゴー。

 

ソロデビュー~3rd Album

 

1st Album

1994/2/25 「THE FIRST QUESTION AWARD」

 

フリッパーズ解散から幾年か間をあけて、ソロユニットCorneliusとしてデビュー。

本当はその間にMO'MUSIC名義でなんかやってたり、レーベル立ち上げたりしてるけどめんどくさいのでカット。レーベルの話はそのうちする予定です。

 

肝心のアルバムの感想ですが、フリッパーズ路線をそのまま踏襲したなというくらいで、とくにこれと言って物申すことはありません。むしろヘッド博士の世界塔よりおとなしいんじゃないかな?という感じ。

 ただ随所にブラックミュージック的要素が現れているため、単純にフリッパーズの踏襲とは言い切れない。

 

先ほど述べた通りフリッパーズを踏襲=時代感が強いので、聴くと「アッ!1993年だ!!」となります。1993年知らんけど。

 

Corneliusでは一番素直で聴きやすいアルバムで、これはこれで好きです。

 

2nd Album

 

 1995/11/1 「69/96」

 

......??

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ヘヴィメタやってる顔には見えない

この顔から最も縁遠そうなヘヴィメタ(っぽい)路線に走ってしまいました。我らが小山田圭吾、どこへゆく。

 というか、このアルバム南国風味もあり、サイケもあり、大麻談義ありと、何でもありの内容となっております。

 

なんでもありといえばギミックも満載で、アルバムタイトルにちなんで96トラック69分収録、69トラック目と96トラック目にはボーナストラックが収録されていてとてもお得!

 

その記念すべき96曲目がこちら


cornelius ~ welcome to the jungle

 

木魚、モクギョ、もくぎょ、MOKUGYO......

ピチカートファイブスチャダラパーといった大ネタから、わけのわからない小ネタまで、盛りだくさんのサンプリング内容となっております。途中YMOが出てくるらしいですが、僕にはわかりませんでした。誰か教えて。

 

そう、前作では息をひそめていたサンプリングが今作では三面六臂の活躍を見せています。

アルバム2曲目の「Moonwalk」なんてアウトロがKISSの「Love Gun」まんまですからね。

2:14あたりからそのまま持ってきている。

 

あと「HOW DO YOU FEEL?」という曲も収録されてるんですが、そのAメロがThe Beatles「She Said She Said」のAメロに似てる。曲の雰囲気的に中期ビートルズリスペクトだと勝手に思っている!以上!
 

技術面

当時珍しかったハードディスクレコーディングを採用してます。
これがなかなかに画期的で、従来のレコーディングでは困難だった非破壊編集が可能なのです。つまりどういうことかというと、録った音をいくら弄っても元データが劣化しないということです。
これ以後のCorneliusの音楽は病的なまでにめためたに編集されることになります。

 

 

ちなみに

さっき悪魔コスしてましたが、この頃の小山田は文字通り悪魔です。

 

~悪の所業~

 

1.テレビ放送で、カヒミカリィ(当時の恋人)とひとしきりいちゃつきながら日本全国で家で一人でテレビを見ている可哀想な人たち、メリークリスマスと言う

 

......という映像が消去されていました。

 嗚呼、哀しきかな情報化社会。手に入りやすいということは、容易く消えてしまうということと同義であるのだ......。

 

ふざけんじゃねえぞ!野郎ぶっ○してやる!!

ところで、若き日の小山田の声とSEKAI NO OWARIFukaseの声クソ似てません?

この映像とかトランシーバー(?)持ってるし完全にドラゲナイですよね。(映像が消えたのでもう誰にも伝わらなくなってしまった文章)

 

 

 

2.レコード屋で万引きしまくってたことテレビで言っちゃう

 

これも映像がなくなってるんですが、STAR FRUIT SURF RIDER発売時にHEY HEY HEYに出演した時のトークだったはずだ!俺は覚えている!(発言がクズ過ぎて)

 

 

3.いじめ経験をインタビューで言っちゃう

 

小山田圭吾アンチの99.9%はこれをアウト判定してるんだろうなあと思うほどにかなりひどい内容。ネット中に転がってるので暇な人は見てみよう。これに関しては擁護ができない。

 

 

…てな具合にですね、悪魔なわけですよ。

明らかに普通の人間ならしないことを平然とやってのけちゃうので、多分頭のネジ数本抜けてるか、なめこに差し変わってるかのいずれかであるとは思います。

が、多分このぶっ壊れ具合が音楽やるうえでは超プラスに働いてしまっているとおもわれます。

というのも彼の音楽は異常(誉め言葉)だからです。

これに関しては言葉で説明するよりも、聴いて感じてもらいたいですね。

つまり先へ進みます。

 

3rd Album

1997/8/6「FANTASMA
超名盤の登場です。丁度この時代は日本のポップスが海外に輸出されてたので、その波に乗ってCorneliusも海外デビューすることとなりました。
どんな曲があるかというと


!!!??!?!???
当然一般ウケすることはなく、おもに海外音楽オタクからの支持を集めていくことになります。Beckとか。
ただこのとき海外で死ぬほどライブを行ったおかげか、今でも海外公演とかできてるようです。若いころの土佐周りって大事ですね。
 
肝心のアルバムの内容ですが、カオス・多幸感・サイケ・サンプリングの嵐です。

 
カオスにはなっていますが、前作までと比較すると曲の構造自体はすごくシンプルになってますね。
たとえば収録曲「Star Fruit Surf Rider」はAメロ~サビが2コードの繰り返しの上に三回繰り返されるだけです。

サビは「Star Fruit Surf Rider」しか言ってませんね。なんだこれ。
このシンプルさがあってこそ、ここまでカオスなバッキングが映えるわけで、絶妙なバランス感覚の元成立した曲といえるでしょう。
 
また今回も例によってサンプリングしまくってますが、サンプリングしすぎて権利関係がめちゃくちゃ大変だったらしいです。(当時のアメリカは既にサンプリングが厳しい)これが相当面倒くさかったらしく、FANTASMA以降はサンプリング・元ネタがほとんどなくなりました。


ちなみに

このころからプロデュース業が本格的に開始されました。
ちびまる子ちゃんのOPとかは知ってる人も多いんじゃないでしょうか。
さくらももこ氏はコーネリアスファンだったようで、氏の熱烈なオファーの結果

こうなりました。

 

 

 

ちびまる子ちゃんってぇ、こんなコケティシュな世界観でしたっけぇ...

 

 


4th Album 「POINT」以降

3rd Albumと4th Albumで前後を分けたのには理由がありまして(後述)、とりあえず一旦聴きましょう。

 

ひどくこざっぱりとしてはる。


渋谷系のしの字もねえ。
いや、アルバム最後の曲はかすかに渋谷系の残り香を感じなくもないですが。
 

どうしてこうなった

以降インタビューから拾えるものを抜粋して紹介。

 

 

1.音詰め込みすぎて疲れた

 

前作FANTASMAでは当時のDAWの限界まで音を詰め込んだが、30歳にもなってそれをやるのはさすがにしんどかった様子。人間年とると過激さが減るとは言いますが、小山田も例外ではなかった様子。

 

......とはいえ過激さも多少は欲しいようで、アルバム一枚にだいたい一曲、こういう超ハードな曲が入ってます。

何の脈絡もなく突然爆音が鳴るのでみんな気をつけような!

 

2.音の鳴るタイミングずらすと面白いことに気づいてしまった

 

先ほどの曲「Point of View Point」はリズムが特徴的ですが、これは「途中で拍がずれたけど面白いからそのまま使った」とのこと。そうなんだ......。

この辺で小山田は「楽器が鳴るタイミングずらすの面白くね?」という悪魔的発想をしてしまいます。

結果、彼はライブでメンバーが苦しむ代わりに唯一無二の音楽性を得ることになります。

 

なお、この気づき*1以降「音をずらす」ことに異常な執着を見せるようになり

こうなって

 

最終的にこうなってしまった。

 

この「あなたがいるなら」、ブルースロックっぽい甘くていい曲なんですが、いかんせん表拍がわからない*2。何回聴いてもわからない。

曲の構成要素すべてがキモすぎる(褒めてる)。

 

 

3.歌が「歌」しなくなった

 

JPOP的文脈で「歌」といえば、意味のある歌詞がそれなりに流れるようなメロディに乗ってサビでいい感じに高揚すると思います。

ですが、POINT以降の小山田圭吾だと

こうなる。

 

音節・文節で断絶された意味不明の歌詞が抑揚の少ないメロディに乗ってサビで高揚しないな~!!?!

 

JPOP的文脈ではセオリー無視ともいえる暴挙ですが、歌を「歌」ではなく「楽器」とみれば合点がいきますね。合点がいってください。おそらく本人もそのように歌を使っているはずです。

 

こうなった結果

 

とまあPOINT以降オリジナリティの塊になってしまったので、クリエイティボな方々から引っ張りだこなようで、

 

攻殻機動隊とか

僕がコーネリアスだと意識して聴いた曲はこれが最初なのでとても懐かしいです。

パン振りまくってて気持ち悪いですね。酔いそう。

 

デザインあとか

幼少期にデザインあのテーマ聴きながら育った子供ってやばくないですか?音楽に関する感性がぶち壊れてそう(偏見)

 

東京オリンピックのエンブレムPRとかで活躍してます。

東京オリンピック関係者、何人の首が飛ぶのか今から楽しみですね。

 

 なんかめっちゃ金もらえそうな仕事ばっかでいいな~~!!!!

売れるとでかいな、うん。

 

 

おわりに -小山田的渋谷系の終焉

 

さて、ここまで読めばなんとなくお分かりかと思いますが、4th Album以降は渋谷系ではないですね。

途中で「3rd Albumと4th Albumで前後を分けたのには理由がある」と言ったのはそのためで、このアルバム間では大きな断絶があります。

 

渋谷系ムーブメントの中心人物でもあった小山田圭吾が、引用や過剰さに支えられたアイデンティティを捨て、真の意味でのアイデンティティを手にする。これは同時に小山田的渋谷系の終焉を意味しますが、この流れが僕はとても好きです。

 

さて、次回は逆に渋谷系にとらわれてしまった小沢健二に焦点を当てていきたいと思います。次回はいつ来るのか?

 

 

 

*1:実際はBlurのTenderのremix時に気づいたが、ややこしいのでここではそういうことにしている

*2:本人曰く「ドラムが表拍」。なおユザーン(リズムに詳しい人)もわかってなかったのでたぶん誰もわからない