どうも、なんすいです。
早速ですが、皆さんはストリートピアノをご存知でしょうか?
名前の通り、ストリートにあるピアノ。
…といっても、日本では路上よりも、駅やショッピングモールなどの中に設置されているものが圧倒的に多いです。
公共空間に置かれた誰でも自由に弾けるピアノ、それがストリートピアノです。
【推しの子】都庁ピアノで突然...『アイドル』を弾いたら、修学旅行生がまさかの反応...⁉️www【ストリートピアノ】【YOASOBI/IDOL/oshi no ko】 - YouTubeyoutu.be
ストリートピアノの発祥は、イギリスのアーティストLuke Jerramが始めたインスタレーション活動であると言われています。
彼は「Play Me, I'm Yours」と称して公共の場所にピアノを設置し、誰でも自由にピアノを弾けるようにしました。
彼の活動は、人々が演奏スキルや有名無名関係無く演奏出来る環境として、また人と人、人と街を繋ぐコミュニケーションの場として期待され、ストリートピアノは支持を拡大しながら世界中に広がっていきました。
そんなわけで、私達の日本でもストリートピアノ文化は流行し、現在およそ650台のストリートピアノが日本各地に設置されています。
社会との軋轢
しかし、ストリートピアノ文化は手放しには受け容れられませんでした。
ニュースにもなった、JR加古川駅のストリートピアノ撤去騒動。
騒音、マナーを守らない演奏などに対して苦情が寄せられた結果、撤去に追い込まれたようです。
実はこのように苦情が殺到して撤去や使用中止になった事例は、各地で起こっています。
もちろん、名古屋も例外ではありません。
名古屋市は、芸術推進事業として市内3ヶ所にストリートピアノを設置しています。
そのうちの1つ、名古屋駅のストリートピアノは、騒音などの苦情により5月から無期限の使用休止になっています。
撤去まではいかず、一応設置だけはされているんですが、弾けなければ何の価値もありません。せっかくのグランドピアノが置物状態です。
肩身の狭いストリートピアノ
使用休止とまではいかずとも、苦情を防ぐために運営側がストリートピアノを「目立たなく」させるような措置も行われました。
例えば設置場所。
通路の真ん中に設置するのを避けて、広場の隅っこに壁に寄せて設置するとか、「何でこんな辺鄙な場所にあるの?」というようなストリートピアノが結構あります。
休止中の名古屋駅のストリートピアノも、ゲートタワーという建物の15階にあります。
15階には一応休憩スペースにもなっている大きな広場があるので、そこに設置するのかな、と思いきや、もっと隅のほうの三方を壁に囲まれたデッドスペースみたいな所に設置されています。
いろんな事情を汲んでその場所になったのでしょうが。
設置場所以外にも、うるさくならないようにピアノに音量を弱める施しをしたり、弾ける時間帯を制限したりと、公共の福祉に配慮して色々な措置が取られています。
そこまでしてどうにか公共空間にピアノを設置しようというのも、なんだか歪んでいるような気がしてしまいます。
ストリートピアノの今後
ストリートピアノは大衆の賛同を得て各地で導入されました。
そして同時に、やはり大衆によって今度は否定に曝されてしまっている現状があります。
アートというものは常に、実用性から最も離れた所にあります。
むしろ、時に私達の効率的な生活を妨げ、私達はそれをアートのために我慢することを強いられます。
いろんな考えを持つ人がいるしアートに対する余裕も人それぞれ、これだからパブリックアートは難儀なんですが、多数決的に妥協策を講じたとしても、もうそれは誰にとっても幸せにならないかもしれません。
苦情に対して配慮し、建物の隅っこで小綺麗な音楽が弾かれる無害なストリートピアノが将来成立したとして、それはもはや極めてデザイン化されたBGMに成り果てているでしょう。
少なくともアートとしての面白味はありません。
さて、ストリートピアノの発祥から顛末を追ってみましたが、いかがでしょうか。
今後どういった形でストリートピアノが生き残っていくのか、あるいは存続できないのか。
少なくとも、より一層自由度が低く肩身狭い環境になりそうな気はします。
そうなっちゃう前に、我々名作会はストリートピアノを主役にした企画をやります!
【告知】名作会ストリートピアノ企画
考えてみれば、ストリートピアノというのは極めて魅力的かつ他に無い音楽環境です。
それにも関わらず、私達はまだストリートピアノを十分利用しきってはいないんじゃないでしょうか。
実際、「何を弾いても良い」と言われている割に、巷で演奏されているのは流行のポップスか有名クラシックか、せいぜいそれくらいです。
もちろん悪いわけじゃないですが、せっかくのストリートピアノです。もっと、何でもやって良いはずなんです(ルールの範囲内で)。
10分間ドを連打するだけとか、鍵盤の表面をカリカリ撫でるだけとかでも、何を弾いたとしても、強制的にオーディエンスはいるのです。
これはコンセプチュアル・アートの世界では相当稀有なチャンスだと思います。
そして、誰が弾いても良い。
上手くなくても、ピアノ初めたての子供や老人でなくても、何も練習してきてなくても、ピアノ椅子に腰を下ろす権利があります。
清掃員に扮装した凄腕ピアニストでなくても、本物の清掃員が休憩時間に弾いたって構わない。
もちろん、ピアノを一切弾けないし習ったことも無い、私、なんすいが弾いても良いでしょう。
そこで、名作会ストリートピアノ企画では
①ストリートピアノを使って演奏する
①ピアノが拙くても弾けるくらいの難度
の2点を前提に、各々新曲を書きました。
演奏は私なんすいが、実際に設置されているストリートピアノに赴いて行います。
[曲目]
- ピアノ・イドラ/なんすい
- KIRITORI ~by the media's efforts to sabotage the nation through street pianos/榊山大亮
- 空間デザイン/冨田悠暉
全部で3曲ありますが、どれもそれぞれ異なる切り口からアプローチした粒選りの怪作たちです。
そして、全てただのピアノ曲ではなく、ちゃんとストリートピアノで演奏する意味があります。
公開は名作会のYouTubeにて、弾いている様子を収録した映像として出す予定です。
ストリートピアノ本来の自由な理念、演奏環境としての特性と徹底的対峙した本企画、ぜひご期待下さい。