こんにちは!
前の記事で、パブリック・アートを取り上げました。
パブリックアートとなかよく - 名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)
結構固い感じで締めたような気がなんとなくしますが、今回はあまり固く考えないで実際に名古屋のパブリック・アートを見に行ってみよう、という記事です。
今回行った場所は久屋大通公園です。
久屋大通公園とは、名古屋の都市計画で作られた100m道路「久屋大通」のでっかい中央分離帯にある公園です。
道路の中央分離帯が公園になっているので、めちゃめちゃ縦長に伸びています。
緑がいっぱいで、近隣住民のお散歩コースとしても人気です。
そんな久屋大通公園ですが、公園内の各所に合わせて30個くらいのパブリック・アートが設置されています。
今回は久屋大通公園南端から北へ歩いて行き、栄駅に至るまでパブリック・アートを探していこうと思います。素敵な出会いがあると良いですね。
ピラミッド彫刻
久屋大通と交差するもう1つの100m道路、若宮大通の中央分離帯。
久屋大通の中央分離帯でもあるので、つまり四方を道路で囲まれているんですが、その中心に聳えるのが、こちらのピラミッド型の彫刻です。
三角形のタイルが組み合わさって出来ていて、中がおそらく空洞になっています。
正式な作品名は分かりませんでした。
名古屋を貫く大きな道の交差点にピラミッドというのは、かなりしっくり来ます。
あと、名古屋はなんとなく「古代」と相性が良い。戦前の帝国思想が形になったような整然とした街なんですが、その潔癖の中で人々が蠢いている風景が逆説的にプリミティブなものを掘り起こしていくような感じがします。同じような感覚で、名古屋は「土」とも相性が良い。土属性の街です。
かなりお気に入りの作品です。
ちなみに、ピラミッド彫刻がある辺りは名古屋高速の高架下になっているので、近くにブルーシートのピラミッドが時々立っていたりします。
ピラミッド噴水
若宮大通を渡ると、南噴水広場があります。
広場の名の通り噴水があるんですが、「ピラミッド噴水」と呼ばれているようです。
先ほどのピラミッド彫刻との関連性が気になります。
こんな感じで、確かにピラミッドっぽい形ですね。周りはベンチみたいになっていて、ゴミが散らかっています。人々の憩いの場になっているようです。
また、年に数回、こちらの噴水から久屋のテレビ塔に向かってレーザーを照射しているらしいです。
かっこいい。
ピラミッド噴水のすぐ隣にある広場は「光の広場」と良い、重なった弧の形に階段があります。これが上から見るとテレビ塔の方向を向いた「電波マーク」のように見えるので、全体として古代-現代を接続する…ひいては社会の持続可能性的なことを意識したデザインなのかなと思いました。
話が逸れますが、1989年、名古屋市では市制100周年を記念して、世界初の「デザイン」をテーマとした博覧会を開催しました。その名も「世界デザイン博覧会(名古屋デザイン博)」。
しかし、当時の名古屋は別にデザインに長けた街で有名とかでもなかったので、市は博覧会に際してマンホールを彩ったり、そこら中に彫刻を設置しまくったりしました。
したがって、名古屋のパブリック・アートのはこの時に設置されたものが多いです。
先ほどのピラミッド噴水もその一つのようです。
はぐくみ
ピラミッド噴水の隣に行くと、「光の広場」があります。その中心に「はぐくみ」という金属の大きなオブジェが生えています。
名前も相まって、ゆりかごのように見えますね。
振り返って左手には松坂屋とパルコが激しく主張しています。両側を建物が犇めく奇妙な感じは久屋大通公園特有の雰囲気だと思います。
駐輪場ストリートアート
光の広場を過ぎると、公園を横断する道へ出ます。
駐輪場の看板にストリートアートが描かれていまた。
キャンバスが小さいため絵もかなりミニマルで、ポップな様式でそれと分かるというだけの抽象的な印象を受けます。
エディオン久屋広場南端
道を渡ると、エディオン久屋広場に入ります。
南端は歩行者が行き来する歩道かつ駐輪場の入口になっていて、また塀がちょうどいい高さのためか、ゴミ袋や傘などが隅に引っ掛けられていました。
私はこういう風景や先ほどのストリートアートをパブリック・アートとみなしました。
公に設置されたパブリック・アートでもコンセプトが形骸化していたり、ほとんどデザイン的だったりするものもあるのだから、逆に草の根なパブリック・アートが認められてもまた良いんじゃないでしょうか。
エディオン久屋広場は、ほとんど何も無いだだっ広い空間でした。
何も無さを活かして時々イベント会場として使われています。
エディオン久屋広場を抜けると、白川通を挟んでエンゼル広場へ。
道を橋みたいに飛び越す歩道橋「エンゼルブリッジ」が架かっています。
エンゼル広場。
やはりだだっ広い空間です。
エンゼルは居るんでしょうか。
友愛(石田武至)
居た!かも?エンゼルかな?
地球を持っています。
遥か(高藤鎮夫)
女の人もいました。
男女で対の配置になっていますが、作者はそれぞれ別の人のようです。
正直な所、パブリック・アートの中でもこういう裸像みたいなやつが一番コメントすることも無いので好きじゃないです。個人の見解です。つまらない街。
水飲み場
水飲み場がありました。
こういう水飲み場の多くは衛生の観点から、水を止めたりコンクリで固めたりして使用出来ない状態にされ、使い途を失ってほとんど現代彫刻になっています。
しかしここの水飲み場はなんとまだ水飲み場として使えるようです。嬉しい。
水が出るパブリック・アートです。
駐輪場入口
現代彫刻かなと思って近付いてみたら駐輪場の入口でした。
これは勘違い型パブリック・アートですね。
給湯ポット
エンゼル広場の一角に給湯ポットが設置されていました。
想像が掻き立てられます。
エンゼル広場を抜け三蔵通を渡ると、「愛の広場」があります。
愛の広場はパブリック・アートがいっぱい犇めいていて、一番いい感じの広場でした。
人もいっぱいいました。
愛・5人家族(高橋洋、堀川恭、古島実)
5人が鳥と一緒にキャッキャしています。
かなり愛に溢れていますね。
夢(偶)(富松孝侑)
こういうモダンな彫刻もいっぱい設置されています。
パブリック・アートを見てて思うんですけど、こういう作品って意図が分からないとどうにも楽しめないので、キャプションを付けて欲しいです。
一応調べてみると、富松は木の彫刻で主に活躍した人で、感覚的な構造美を研究する作風のようです。
夏(昆虫の起源)(石塚賢一)
かっこいいタイトルです。
化石を切り取ったような造形をしています。
愛の広場を抜けると、「サカエ ヒロバス」という広場に出ます。
一気に栄っぽいおしゃれ空間になっていて、カフェがあったり、お昼はキッチンカーが停まっていたりします。
スパイラルタワー的なものがありました。
奥に見える観覧車、クレーンとの並びが素敵です。
盲導犬サーブの像
犬がいました。
よく見ると足が3本しかありません。
1982年(昭和57年)1月25日、岐阜県郡上郡美並村(現・郡上市)の国道156号での誘導中に、雪でスリップして突っ込んできた車から主人を庇って重傷を負い、その傷が原因で左前脚を切断する。この事故がきっかけとなって「盲導犬は視覚障害者の身体の一部」であるとの認識が広がり、事故にあった盲導犬にも自賠責保険が支払われるように法律が改正された。
こういうエピソードがあって、サーブは三本足の名盲導犬として有名になったらしいです。
サーブ像の隣に文言が添えられていました。
「名古屋市は安心で安全なひとにやさしい道路づくりに取り組んでいます」尤もですね。
電柱ストリートアート
大須〜栄には電柱などにストリートアートが描かれていたりステッカーが貼られていたりすることが多いです。
「自転車等放置禁止区域」のシールはストリートアートの後に貼られたんだと分かります。
こんな感じで公と草の根がせめぎ合っている様子が表象されていると、良いねと思います。
こんなところで、栄駅に着いたので、そろそろ今日は帰ります。
たくさんパブリック・アートやパブリック・アートっぽいものを見つけられて良かったです。
街中の落書きは結構多いのに対して、公園内や公園のアートは全て綺麗な状態で保たれていたので、公園を綺麗に保つ団体とかが居るのかなと思いました。
実際今日公園を歩いていた時も、ゴミ拾いをしている集団とすれ違いました。こうやって積極的に公共空間を綺麗にする人々がいるのは良いことですね。同じくらい、積極的に汚くする人々がいるともっと良いと思います。