大学一年生の秋学期、春学期で抽選落ちしたある授業を運良く受講することができた。
それは日栄一真担当教員による墓礎セミナ一B「テクノロジーと音楽について考える」。
名古屋大学全学教育棟2Fに存在するカフェ「PHONON」に流すBGMを制作するというゴールに向けてごく簡単な作曲法を学び、同時にメディ
アートやテクロジーを用いた音楽について考えるという内容だ。___
これは、「机上の空中散歩」の曲紹介冊子から抜粋した文章です。
今日は私、トイドラが作曲した「Rainy Phonon」について語っていこうと思いますが、この曲のそもそもの始まりは無機質な大学のとある授業でした……。
「文理関係なく好きなことを学ぼう!」みたいなノリの教養科目なのですが、ちゃんと単位に計上されるうえに割と面白そうな授業が結構あります(第1希望が通るとは言ってない)。
そんな基セミの授業の一つに、
という作曲を主眼とするセミナーがありました。
「こんなん取らないわけにはいかねえや!」
と思った僕は、1年生春学期の基セミで勿論ここを第1希望にしましたが、結果的に抽選で落ち、第5希望にすら書いてない太陽光発電のクッソつまらん授業を受けさせられました。
マジでつまんなかった……
半年経って季節は秋、今度こそはと願いと祈り(と呪い)を全力でかけて2度目の抽選、何とか第1希望のこの授業に当たりました。
それから毎週月曜5限の来るのが楽しみだったこと。
この授業では、名大にあるカフェ「PHONON」のBGMを作ることを目指して、みんなで音楽に触れていきました。
PHONONは名大の全学教育棟、つまり教室が密集する棟の中にあり、売り文句のセンスが独特なことで知られていました。
確かにすげーオサレでいい感じのカフェなんですが、チラシの文章にところどころ店長の変人感がにじみ出てたのを覚えてます。
授業で作った曲をPHONONで流してもらえるのも、どういうわけか担当教授と店長が友人同士らしいからでした。
この時僕は大学1年生、まだ吹奏楽部と特殊音楽研究会に入っていて、名作同は発足したばかり。
そう言えば、特殊音楽研究会の会長だったキタダさんもなぜかPHONON店長と仲が良く、PHONONでライブしたいと言っていたまま結局実現しなかったのを思い出しました。
ともかく、PHONONのBGMを作るというゴールに向けて僕は作曲を始めました。
BGMなんだから主張が激しくてはダメだろうと思い、「雨の日のPHONON」みたいな感じのイメージを設定し、当時マイブームだった rei harakami を大いにリスペクトしたエレクトロニカに仕上げました。
また、当時研究していたリディア旋法を取り入れ、こんなリフを考えました。
これ、実はF△7(#11)のファ:シ→G♭7のソ♭:シ♭の間にドミナントモーションが働いているので、F△7(#11)からG♭7に解決しているとも読めるんですよ。
あとはちょっとクセになるメロディを乗せてちょちょいとやれば完成。
僕の2単位とGPAがあっという間に錬成されるというわけです。
そんな経緯で作曲された、この「Rainy Phonon」ですが、パパっと作った割にその軽妙な響きと明るくも暗くもない雰囲気が結構気に入っていたので、いずれちゃんとした形で生かしたいなあと思っていました。
そして、そのまま2年の歳月が流れました。
サヨナラ、名大の憩いの場、フォノン! pic.twitter.com/dtbwGmUAi4
— Hidenori KURITA (@PresentSituatio) February 8, 2019
2019年3月25日、PHONONは突如として閉店してしまったのです。
→「Rainy Phonon (good-bye edition)」につづく…
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