こんにちは、なんすいです。
使っている香水が無くなってきたので、香水好きの友達と一緒に新しいものを買いに行ってきました。
私は香水ぜんぜん詳しくないので、友達に案内されるがまま、たぶん合計70種類くらいの匂いを嗅ぎ比べたと思います。
鼻がとても疲れました。
アートとしての香水「ニッチフレグランス」
香水といえば、花とか石鹸といった心地良い香りがして、お洒落や身嗜みとして付けるイメージがあります。
しかし最近は、「自分らしさ」を纏うという目的で、より個性的な匂いの香水が増えているようです。
万人受けする「いい匂い」に拘らず、芸術性を押し出した香水のブランドは、「ニッチフレグランス」と呼ばれています。
名古屋駅には新進気鋭のフレグランスブランドを集めた「NOSE SHOP」というお店があり、そこでニッチフレグランスを体験することが出来ます。
私も友達に案内され、NOSE SHOPで色んな商品を試して来ました。今回はその中でも印象的だった2つのブランドを紹介します。
気になった人はぜひNOSE SHOPに寄ってみて下さい。
Maison Matine
Maison Matine は、2019年に創設されたパリのニッチフレグランスメゾン。
自由さと親しみやすさを意識した現代的なフレグランスを作っているそうです。
以下のようなラインナップがあります。
アバン ロラージュ/嵐の前
プンプン/あるがまま
ワルニ ワルニ/こっちにおいで
あらしのうみ/あらしのうみ
バン ドゥ ミディ/真っ昼間の海
イントゥ ザ ワイルド/分け入っても密林
など…
おおよそ香水の名前とは思えないようなものばかりですね。
これらの香水はどれも、付けられた名前をイメージしたような匂いを持っています。
「ワルニ ワルニ/こっちにおいで」。
嗅いでみると、確かに、スパイスっぽい怪しげな第一印象の後に、引き込まれるような深い匂いがゆっくり顔を出してきて、何か誘われているような気分になります。
「プンプン/あるがまま」。
複雑な匂いではあるんですが、なかなかどうして、「あるがまま」な感じの素朴さが最後に印象として残ります。
こんな具合に、全部匂いを嗅いでみると確かに、とネーミングに納得出来るようになっていました。
共感性の高い高度な大喜利が、嗅覚の世界で行われているようです。
そして同時に、決して香水として万人受けする所謂「いい匂い」とは言い難いものばかりでした。
くさいとまではいかない、いい匂いなんですが、いい匂いでのみあることを目指してはいない感じがします。
The House of Oud
2016年に創設されたイタリアのブランド。
「人生における魔法の瞬間」を「目と鼻で体感する」と謳っており、パッケージにも気合が入っています。
ザタイム/現在
ジャストビフォー/過去
リブインカラーズ/未来
エメラルドグリーン/愛の系譜
ルビーレッド/情熱的な愛
サファイアブルー/真実の継承
ワビサビ
ギャンブリング
など…
ネーミングが厨二病っぽくてくすぐられます。
先程のMaison Matineが情景的なテーマだったのに対して、こちらの方がやや抽象的な題材を扱っている感じがします。時間だとか愛だとか。
「ワビサビ」。これにはなんと、香水としては珍しく本ワサビが使われているそうです。
ワビサビってワサビだったんだ、と思いながら嗅いでみると………意外とワサビの匂いはしません。
侘び寂びの匂い……も別にしないかもしれない。
どちらかと言えば、海外の人が「Wabisabi」という概念を聞いて思い浮かべたイメージ、の匂いがしました。地に足のついてない感じ。
一方で、「ギャンブリング」はラインナップの中で最も「わかる!」となった商品でした。
トランプゲームの舞台が目の前に浮かぶよう、かなりギャンブリングって感じの匂い。
この匂いを毎日身に纏いたくはないですが、他人事に嗅いでいる分にはとても楽しいです。
アートとしての香水
これらのニッチフレグランスは芸術的でありながら、同時に独自性を求める人々のニーズに応えデザインされた商業作品としての要素も多分に含んでいます。
香水が芸術として認められるかどうかは議論が分かれる問題ですが、一般に匂いを主体とした「嗅覚アート」の分野は、歴史が浅いながらもいくらか発展しているようです。
嗅覚アートの第一人者であるMAKI UEDAは、食べ物や体臭などのありのままの匂いを香水化する自身の技術をもって、さまざまな嗅覚アートを発表しています。
代表作「オー・ド・パルファン パーフェクト・ジャパニーズ・ウーマン」は4つの香水で構成されたインスタレーション作品で、各々の香水は「日本の社会が期待する女性像」を象徴する香りで出来ています。
それぞれ「糠味噌」「畳」「味噌汁」「石鹸」と名が付いています。米糠をアルコール抽出したり、味噌汁を蒸留したりと、かなりダイレクトな方法で匂いを香水化しています。
本人の解説ページもあり、作る様子の写真なども載っていて面白いので読んでみて下さい。
糠味噌の香水は結構嫌だなぁ。
というわけで、途中で香水繋がりのアート作品も紹介しましたが、いかがでしょう。
先の作品に比べればニッチフレグランスは全然商業的ですが、それでもかなり変わった匂いに出会えて、香水の固定観念が結構揺さぶられるのでおすすめです。身近に嗅覚アート的なものを体験してみたい人は行ってみると面白いと思います。
なお、色んな香水を試して回った結果、最終的にBon Parfumeurというブランドの「101」「201」を買うことにしました。
ここのブランドは商品名が全部番号になっています。1桁目が1ならフローラル、2ならフルーティといった具合にカテゴリごとに番号が振られている感じです。図書館の分類番号みたい。
普通にいい匂いがします。