どうも、トイドラです。
世の中にはいろんな3要素がありますよね。
たとえば、色の3原色。
これら3つの色を混ぜれば、全ての色を作れます。

あるいは、3大栄養素。
僕らの体を動かすエネルギーとなり、体を動かしてくれます。

あるいは、3種の神器。
日本の歴史を見守りつつ、代々受け継がれてきました。

さて、そんな大事な3要素ですが、実は音楽にもあります。
いわゆる、音楽の3要素です。

「リズム・メロディ・ハーモニー」の3要素があれば、どんな音楽も思いのまま。
まさに音楽の源であり、過不足なく音楽の特徴を表すことができるというわけですね!
…………………。
ほんとか???
音楽の3要素、ウソ説
というわけで、この"音楽の3要素"というものは、音楽を表すうえで全く説得力がありません。
確かに、多くの音楽がこの3要素を持っているのは事実です。
しかし、この3要素では表しきれない部分もたくさんあるし、逆にこれら3要素のうちどれかが欠けていても音楽は平気で成立します。
そればかりか、音楽の3要素はそもそもMECEですらありません。
上の図では、あたかも「リズム・メロディ・ハーモニー」という3つが独立して存在しているかのように(色の3原色のように)描かれていますが、実際の音楽はこんな風にキッパリと要素を分けることができないのです。
どういうことなのか、見ていきましょう。
音楽の3+α要素
まずいちばんのツッコミどころとして、音楽の要素に音色が含まれていないのはかなりの違和感じゃないでしょうか……?
当然ですが、楽器が変われば音楽の雰囲気は大きく変わります。
そればかりか、最近は音色(音ネタ)が主役として聞かれるような音楽も珍しくはありません。
また、「リズム」は要素として数えられている一方「グルーヴ」が入っていないのも個人的には気になります。
グルーヴとは、つまり
「思わず身体がノッてしまうような感じ」
のことで、打楽器的なトランジェント(音色)やスウィングしたビート(リズム)によって感じることができます*1。
思わず身体がノッてしまうような効果をもたらす、音楽の大事な要素ではないでしょうか。
例えば、グルーヴ感の弱い曲はこれで、
グルーヴ感が強い曲はこれです。
他にも、音楽における形式というものも重要ではないでしょうか。
どんな音楽でも、多かれ少なかれ秩序だった形式を持っていて、特によく使われる形式には名前もついています。
まったく形式を持っていない音楽というのはまれです。
例えば、2部形式の曲はこんな感じ。
ソナタ形式の曲はこんな感じ。
ここに上げた要素は一例ですが、他にも挙げればいくらでもありそうです。
音楽の0要素
また、音楽の3要素が含まれていない音楽というものも挙げることができます。
例えば、日本の伝統音楽である雅楽にはリズムの概念がなく、「メロディ・ハーモニー」だけでできていると考えられます*2。
また、テクノやハウスなどのダンス・ミュージックにはメロディがないことも珍しくありません。
「リズム・ハーモニー」だけということです。
ヒップホップなどのラップをメロディと考えるべきかどうかも、意見が分かれそうです。
また、ハーモニーがない音楽もフツーに存在します。
太古の昔、クラシック音楽の原型になったグレゴリオ聖歌にはハーモニーはなく、「メロディ・リズム」だけでした。
また同様に、「リズム」だけの曲もあれば、
「メロディ」だけの曲もあるし、
「ハーモニー」だけの曲もあります。
なんなら、全部ない音楽もあります。
ここまでくると
「もはや音楽なのか???」
というツッコミも来そうですが、少なくとも3要素のうちどれか(あるいは全部)かけても問題なく音楽として成立してしまうわけです。
音楽の3要素とは一体……?
音楽の2.5要素
さらに言えば、そもそも「メロディ」と「ハーモニー」というのは分けられるものなのでしょうか?
音楽の歴史をたどると、そもそも太古の昔には「ハーモニー」という概念はなく、「メロディ」しかありませんでした。
そこへ、
「複数のメロディが同時に鳴ると、なんか面白いぞ!?」
という発想が生まれたことで、メロディとは独立したものとして「ハーモニー」という概念が分化します。
例えば、この曲の中では複数のメロディが同時に鳴っています。
これは、複数の「メロディ」なのか、1つの「ハーモニー」なのか、一体どっちなのでしょうか???
これを区別できないとすると、もはや音楽の3要素ではなく2.5要素(?)です。
同じように、さっき話した「グルーヴ」についても、トランジェントなど音色の要素とスイング・ビートなどリズムの要素が両方関わってきます。
「音色」についても、実は音色と和音は本質的に同じもの*3なので、ハーモニーと何が違うのか、という話になりますが、やっぱり感覚的には分けないと気持ちが悪くて仕方ありません。
音楽の〇要素、紛糾!
というわけで、音楽の要素って結局なんやねん!というのが今回のオチです。
残念なことに、この議論に明快な答えはありません。
音楽は、「空気の振動」という単なる物理現象に対して、人間が感覚的に色々なイメージを感じることで成立します。
そもそもが感覚的な概念なので、色の3原色みたいな感じで明快・MECEに要素を分けることはできないのです。
多少ツッコミどころがあっても、寛大に受け止めてあげる必要があるんでしょうね。
にしても「音色」は含めた方が良いと思うけどな……