こんにちは。なんすいです。
こないだ、晴れて大学を卒業しました!
緑色の名大カラーの学位記。かっこいい!
正直卒業の実感もなかなか湧いていないうちに、気付けば私の手の中で何とも言えない質感として、確かに存在感を醸してしました。
めちゃ寒かった冬も三寒四温を経てゆるみ、ケバケバしい染井吉野の木並みが、いつの間に通いなれた大通りを支配しています。
超ひもQも最近見ないぞと思ったら生産終了していたし、追いかけていたえっちなアニメもなんだかんだもう最終回。止まらねえ、
気付けば春…気付けば卒業!一体どうなってしまうんでしょうか
卒業式当日はお天気にも恵まれ、意味のある一日になったように思います。この素晴らしくも呪いに満ちた時間が私の4年間の大学生活の一つの結果であるとすれば、報われた気持ちです。
祝ってくれた方々、一緒に写真撮ってくれた友人、ありがとうございました。
ありがとう!
さて、このたび大学を卒業した私ですが、同時に4月より名作会の会長職を継ぐことになりました。
先月のブログではこれを受け、前会長のトイドラくんが退任の経緯などを綴ってくれています。
また、こないだはBridge Scoreさんの配信にも出演、発足以降名作会の歩みを振り返ってくれました。
今回は私も、入会当時のことをなんとなく振り返ってみようかなと思います。
名作会・トイドラくんとの交流
大学でも作曲をやりたかった私は、すでに入学前から名作会の存在は知っていました。
ただ、具体的にどういう活動をしているのかあまりわからなかったり、ちょっと近寄りがたい感じがしていました。
また、多分公認?のサークルで、メンバーも多く新歓も積極的にやっていた作曲サークル「Anti Aging Record」というのも名大にあって、こっちに入るのも全然アリ?って感じでした。
そんなわけで、当初は名作会に対して漠然と距離を取りつつ、入る団体をまだまだ決めかねている状況でした。
そのうちに、名作会ではなく、「大学生の自由研究」という音楽も何も関係無い別サークルの企画がきっかけで、初めてトイドラくんと接点を持つことが出来ました。
ミドリガメをブチブチにして楽器を作ろう!という企画。
新入生の私にはなかなか刺激的な内容でしたが、これを主催していたのがトイドラくんだったのです。
年度初っ端から「殺害」を含む企画の募集…いよいよトイドラくんおよび名作会に対する警戒がマックスに高まりますが、一方で、あまりに真っ直ぐな尖り方が逆に気持ち良く感じられ、衝動的にアヨートル企画に参加しちゃいました。
そこでトイドラくんと初めて交流が出来たわけですが、企画のインパクトとは裏腹に、客観的な倫理観や無理ないコンセプトのもとに地に足の付いた考え方をしているのが話せば話すほど分かり、この時点でトイドラくんに対する印象が大きく変わりました。
また、カメの肉(唐揚げにして食べた)も割に美味しく、カメに対する印象も変わりました。
オルゴールコンサート
程なくして、名作会主催のオルゴールコンサートを聴きに行きました。
トイドラくん所有の33弁オルガニートを使った世にも珍しいコンサート。
苦難に見舞われながらも無事開催出来た舞台に、私は当時客として足を運びました。
どの曲もそれぞれに魅力があって素晴らしいプログラムだったんですが、私の中で特に群抜きで印象に残った曲がありました。
それが、榊山先生作曲の「塑像-オルガニート独奏のための-」です。
後日撮り直したものが動画としてYouTubeに上がっていますが、私はこれを同じパフォーマンスを生で鑑賞したわけです。
曲紹介が終わるなり、演奏者のトイドラくんが難しい顔をしてオルゴールの箱をガンガン叩いたり、ブラシで擦ったり、次々に理解し難い挙動を始めます。
シュー……………
カン!カンカン!………ゴシゴシ…………
ドン!!!!!!
オルゴールコンサートとは思えない怪音が会場に響くばかりです。
「めっちゃ現代音楽っぽい!」
私はこのかた所謂現代音楽の演奏に立ち会ったことが無かったので、パフォーマンスのインパクトだけで軽く興奮してしまっていました。
しかし、さらに私は事前にこの曲のコンセプトを読んでいたので、この荒唐無稽なシーンが「始原のパラレルワールドに立った、意味の再獲得」のプロセスであることを既に知っていました。
もしコンセプトを囓っていなかったら、きっと困惑とともに真剣な面持ちで、最後までこの曲を理解しようと努めていたでしょう。
程なくして、私の近くの客席で、クスクス笑い声が聴こえ始めました。
トイドラくんの奇行に耐えかねて、客の一人が失笑してしまっていたのです。
彼ももちろん空気を読んで堪えようとはしているんですが、それでも抑えきれないという様子で、ニヤニヤしながら鑑賞していました。
やはり曲のコンセプトを知っていた私は、「これは『嘲笑』だ」と気が付きました。
そしてさらに、この『嘲笑』は、もともと「塑像」のコンセプトの中に折り込み済みだったのです。
箱と対峙する演奏者、それを神妙に見守る客、冷ややかに嘲笑する客……。
「塑像」の作品そのものだけでなく、演奏者も聴衆も巻き込んだ、いやむしろ、彼らこそ本当の主体となるようなコンセプトが敷かれており、実際にその通りの世界が会場内に出来上がっていたのでした。
「こんなことが出来るのか!」と天地がひっくり返るような衝撃を受けたのを、今でも克明に思い出します。
この曲を聴いたのが決定打となって、私は名作会で頑張るモチベを強く持ちはじめました。
そうして入会に至ります。
入会してからは、企画に都度曲を出したり皆でコンサートを作ったりしながら、色々吸収しながら活動を続けてきました。
直近のコンサートでは、私も遂に現代音楽っぽいものを書きました。ハンドフルート企画に出した「ロマンス」がそうです。
初めての「現代音楽っぽい」作品ということで、私がこれまで勉強してきたコンテンポラリーの構造を抽象化し、さらにそれを直接コンセプトに結び付ける形に仕上げました。
まだまだ浅学な身であるなりに、一段上に立った視点から現代音楽と向き合えたように思います。
芸術をやれる作曲団体
振り返れば、改めて、このような芸術を妥協無くやれる団体は名古屋でも稀有な存在であると再認識出来ます。
新会長になる身としては、今後とも「芸術をやれる作曲団体」として、弛まず発信を続けていきたい気持ちです。
また、これまで他の団体さんや演奏家の方と一緒に活動してきた中ですごく感じているのが、「アートに対して敷居高い印象を持っている人が想像以上に多い」ということです。
パッと見難解に感じる現代的な表現も、落ち着いてほぐしてみれば、案外単純なことをまっすぐな方法で言っているだけだったりします。
ジャンルを飛び越えることを厭わず、常に自由・創造的であろうとするアーティストのプラットフォームとなること、さらに発展して、芸術音楽の楽しみや可能性を広く一般の表現世界に共有していくことは、今後の名作会の役割としてより強く目指されていくべきだと考えています。
以上
卒業式の話から無計画に始めてしまいましたが、なんとかまとまったような気がします。
現代を生きる在野団体として、新年度からもより柔軟で面白い名作会にしていけるよう努めてまいりますので、今後ともよろしくお願いします。
会長がんばります!