名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

音を聞かずに即興で曲を作ったらどうなるのか

今の世の中、音楽を作る人はずいぶん増えましたね。

パソコンを使って気軽にDTMできる時代、作曲のハードルはだいぶ下がったように思います。

音を並べて、その場で聞いて、みたいなことはパソコンを使えば簡単ですからね。

DTMのイラスト

しかし、昔のクラシック作曲家とかの時代を思い浮かべてみてください。

当然ですがパソコンなんてなく、楽譜に書いた音は演奏するまで聞けなかったわけです。

まあピアノくらいならサッと弾くこともできたでしょうけど、オーケストラとか管楽器とかが入ると、本当に頭の中で音を想像しながらやるしかなかったんじゃないでしょうか。

クラシック音楽ってかなり単純な響きのものが多いですが、こういう事情も関係しているのかもしれません。

 

で、昔の人にできたなら僕らにもできるはず。

……一丁検証してみましょうか。

 

30分音なし作曲一本勝負

 

というわけで、30分音なし作曲一本勝負を行いました。

今回挑戦するイカれたメンバーはこの3人。

 

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冨田……名作同の会長。最近絶対音感を失った。

 

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榊原……名作同の副会長。服の趣味が良い。

 

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なんすい……名作同の会計係。恥ずかしがり屋。

 

そして作曲に使う楽器は、名作同の過去コンサートでもおなじみ、手回しオルゴール

紙に穴をあけたシートを巻き込んで音を鳴らすやつです。

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オルゴール

シートには音に対応した線が引いてあり、縦軸は音の高さ、横軸は時間の流れに対応しています。

まさにDTMのピアノロールに近いです。

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穴をあけたシート

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ピアノロール

ただし、DTMと違いオルゴールは紙に穴をあけただけでは音が鳴りません。

だから普段はいちいち音を確認しながら曲を作っていきますが、今回は音を確認するのは禁止。

30分の時間制限内に、音を一切聞かずに想像だけで曲を作ります

お題はです。

ではさっそくGO!

 

第1走者:なんすい

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なんすいは堅実に、まずはペンを取り出してシートにメモ書きを始めました。

 

なんすい「いや、想像だけでいきなり穴開けるの怖くないですか?」

 

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何やらどんどんメモしていきます。

しかし、今回与えられた時間はわずか30分。

下書きをしている時間などあるのでしょうか……?

 

冨田「15分経過」

なんすい「余裕すぎる……」

 

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15分以上かけて下書きした後、ついに穴あけ作業に入りました。

どうでもいいけど、めちゃ楽しそうにポチポチ穴を開けていきます。

そして……

 

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完成!

タイムは27分37秒です。

この時点では、作曲者のなんすいもこの曲がどんな曲か想像できておらず、不安げな様子。

 

なんすい「メモまで書いたのにカス曲だったらいやだな……」

 

それではついに運命の時です、聞いてみましょう。

 

「強く咲きほこれ ぼくらの桜よ」

なかなか悪くないんじゃないでしょうか?

全く音を聞かずに作った割に、変な音とか不協和音は見当たりません。

さすがですね。

ただ、制限時間ギリギリだったためか音数が少なく、特徴のない曲になってしまった感もあります。

 

なんすい「もっと攻めてもよかったかな……」

 

第2走者:冨田

次は冨田会長がチャレンジします。

 

冨田男は度胸だ」

 

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おっと、メモ書きをせずにいきなり穴をあけていきます。

時間を節約して音数を多くするという作戦のようです。

しかし……

 

冨田「…………」

 

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すぐに自分が何の音を鳴らしているのか分からなくなり、混乱し始めました。

それでもウンウンうなりながら果敢に攻めていきます。

 

冨田「ここで転調だ!」

なんすい「よく転調できるな……」

 

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なんとか完成!

タイムはだいぶ早く、17分57秒です。

早速聞いてみましょう。

 

「さくら」

なんすいの曲よりも明らかに音数が多く、豪華ですね。

ただし、その分響きが怪しい部分がある気もします。

とはいえ、お洒落でいい感じの曲にはなったんじゃないでしょうか。

 

冨田「頭の中ではもっといい曲だったんだけどな……」

 

第3走者:榊原

最後に、榊原副会長にチャレンジしてもらいますが……

 

榊原「僕、音聞かないと絶対曲作れないと思いますよ」

 

マジか……。

とはいえルールはルール、構わずやってもらいます。

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めちゃめちゃ首をかしげながら穴をあけていく副会長。

とても苦しそうで、「芸術家の苦悩」という言葉が脳裏をよぎります。

 

榊原「冒頭だけ12音技法にして……最後は適当にハ長調で終わらせるか」

 

本当に大丈夫なのか。

 

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一応完成しましたが、榊原は浮かない顔です。

タイムは18分21秒という好タイムをたたき出してくれましたが、肝心の曲は果たして。

 

「SAKURA ~咲かないで~」

いや、自信なかった割にいい曲では???

 

榊原「オルゴールの音色、多少怪しい音でもキレイに聞こえる」

冨田「最後だけいきなり普通の響きになるの、必死さが見えるな」

 

結果発表

以上の3曲で決選投票を取った結果、

 

なんすい:0票

冨田:1票

榊原:2票

 

ということでダークホースの榊原が優勝しました。

おめでとうございます。

 

結果、意外と音を聞かなくても曲は作れるっぽいですね。

ただ、やはり想定していた雰囲気と違ったり、音を制御しきれずに混乱することは多かったようです。

DTMには感謝しないといけません。

 

~告知~

名作同では、YouTubeにて無料公開するオンラインコンサートを企画しています。

3/25に「名作同YouTubeチャンネル」にて公開予定です。

この記事で使ったオルゴールも演奏に参加し、一風変わった面白い曲も聞くことができます。

お楽しみに!