クリスマスも近いし、世の中には閉塞感が漂ってるし、実は世界ももうすぐ終わるので、エクストリームミュージックの話をしましょう。エクストリームミュージックとは究極にヤバいクリスマスにぴったりな音楽のことです。多分。聴けばわかります。
今回紹介するのはThe Gerogerigegege(ザ・ゲロゲリゲゲゲ)、通称ゲロゲリです。
ちょっとゲゲゲの○太郎に似た名前のこのお茶目な音楽グループは、山之内純太郎(写真左)によるソロユニットです。随分前にチラッと紹介しましたが、今回はもっと詳しくやります。
来歴
1985年、ゲロゲリゲゲゲこと山之内は、高校時代にメルツバウの秋田昌美に一本のカセットテープを送り、秋田が主宰するレーベルからデビューしました。
そのメルツバウの音楽というのが
こんななので、送ったテープも相当狂っていたことでしょう。
その一年後のデビューライブで早稲田大学の講堂ステージに穴をブチあけますが、エクストリーム・ミュージック界隈ではよくあることなので特に言及しません。
さらに翌年に記念すべき1stLP「センズリチャンピオン」をリリース。
ゲロゲリの曲は大体こういう感じなので、以後気にしないでください。気にしたら負けです。
このようにしてゲロゲリはエクストリームミュージック街道を爆進していったのです。
山之内以外のメンバー紹介
ゲロゲリはソロユニットとは言っても、常にいるのが山之内というだけで、その時々にはメンバーがおり、流動しています。以下はその例です。
ゲロ30歳
名前があまりにも衝撃的すぎますが、それを遙かに超えるレベルでゲロ30歳はヤバいです。その証拠をご覧いただきましょう。
動画開始大体1分後から見てください。ステージ中央で金玉を掃除機で吸われ恍惚としている全裸の男性、これがゲロ30歳です。形容詞のインパクトが強すぎて内容が頭に入ってきませんね。
ちなみにその下の方でひっくり返って奇声を上げているのが山之内純太郎です。本来はこれで十分ヤバいはずなのに、そのヤバさが完全にかき消されてしまっています。
ゲロ30歳が登場する曲で有名なのは、この「B面最初の曲」ではないでしょうか。
アイドルとお喋りができる虚しい楽しいCD音声と言葉のドッヂボールをするのは、我らがゲロ30歳です。あらゆるオブラートを突き抜ける性欲100%の言葉の一つ一つから、婉曲表現に塗れた現代日本人のへの批判が込められているように感じられます。そんなわけあるかい。
ストロング金剛
このビデオの冒頭で叫んでいる男は元プロレスラーのストロング金剛(ストロング小林)です。日本人初の覆面レスラーとして大変有名です。
彼はまだ常人の域を脱してないので、米軍基地前で叫んだ後恥ずかしそうにしてたり、横でノイズをまき散らしまくる山之内を見て、「うるさ......何やってるんだろう俺」とでも言わんばかりの目をしてたりしていますね!その反応で合ってると思います。
彼の声が聴けるアルバムは知りません。ゲロゲリはめちゃくちゃ作品数が多く、かつライブ会場限定で数十枚単位で発売されてたりするので把握が困難なのです。ということもあり、めちゃくちゃ高価でレアでもあります(一応通販で買える)。まあこんなの普通欲しくならないからレアだわな......
ゲロゲリの音楽性
そんなゲロゲリの音楽性は、上記からなんとなく察せるように、あまりにも自由で広大です。
例えばエクストリーム・ハードコアパンク
方やアンビエント・インダストリアル
その音楽性は広すぎて、作品の中には最早音楽なのかもわからないようなものもあります。
最早音楽ではない「昭和」
昭和天皇のご尊顔をジャケ写にしたアルバム、その名も「昭和」。音割れ君が代が流れたかと思えば、後はAVの音声が流れるだけです。
何故コレを売ろうと思ったのか。そういうことを考えてはいけないのです。何故ならそれは何故聴いてしまったのか、という問いと同じであり、そこにあるのは圧倒的無意味のみであるからです。アングラは基本的にナンセンスがセットでついてくるので、意味を求めない方が健康に良いと思います、本当に。
更にゲロゲリには「音楽/音楽でない」以前の問題もあります。
発売前のシングルを全部燃やす
見出しの通りです。センズリチャンピオンの後に出したシングル「SEXUAL BEHAVIOR IN THE HUMAN MALE」の発売記念ライブで、このシングル盤を全部燃やしてしまいました。商業主義に真っ向から対立するこの姿勢はまさしくパンクそのものであり、やはりゲロゲリの根幹にはパンク精神が存在していると言えるでしょう。
......本当にそうなのか?
別にゴミみたいな音楽ばかり作っているわけではない
ここまで読むと、ゲロゲリはノイズ撒き散らすだけのヤベー奴らと思ってしまいがちですが(実際そういう面もありますが)、必ずしもそうではありません。
ノイズや奇行はあくまでも手段であり、ゲロゲリの音楽性は時とともに移り変わっているのです。
2019年発売のアルバム「Uguisudani Apocalypse」を見てみましょう
なんとノイズの姿はほとんど見られず、80年代風の音楽(のサンプリング?)になっています。みんなノイズが無いと一周回って不安なようで、YouTubeのコメント欄で外人が困惑しててウケました。
まさにこのようにリスナーの期待を裏切りまくっていくところがゲロゲリの最大の魅力であり、ゲロゲリがカルト的人気を誇っている所以なのです。多分。標本が自分しかいないのでなんとでも言えます。本来なら実際にゲロゲリ聴いてる人に魅力を聞くべきですが、そんな人に絶対会いたくないですし......
また、ゲロゲリは近年アルバムを精力的に発表しているため、今後の作品から目が離せませんね。というか離さないでください。おわり。