それは、名作同が発足する1年半前のこと。
どういう経緯だったかは分かりませんが、僕はある楽器の存在を知り、さんざん苦労してやっとその楽器を手に入れました。
超稀少楽器「αオルゴール」との出会いです。
そして昨日、その愛機が。
盗まれました。
最初の記事にしては内容がやや暗いかも知れませんが、今日は「僕とαオルゴールとの思い出」を回想してみようと思います。
出会い
高校3年生だった頃、受験勉強を苦にした僕は常に発狂寸前、既に引退していた吹奏楽部によく遊びに行き、奇声を発して転げ回っては後輩に呆れられるという有様でした。
受験生のみんな、辛くても正気を保とう。
そんな日常の中で、いつしか僕は一つの楽器に惹かれるようになっていました。
確かTwitterか何かで見かけたのだと思います。
オルゴールであるにも関わらず、思うままの旋律を奏でられる楽しさ。
紙巻き式でクランク付きという、どこか古風な見た目。
木目調に似合いすぎる奥ゆかしい音色。
そして何より、自由な半音階。
その楽器の名前が、「33弁オルガニート『αオルゴール』」というのだと知りました。
明けても暮れてもネットサーフィン
ニコニコ動画で調べると、αオルゴールの演奏動画は結構あります。
が、そのどれもが既存曲をオルゴールアレンジしたもので、
「それ、オルゴールである意味あるのか?」
というものばかりでした。
つまるところ、僕はこの楽器で自分の曲を作りたくてたまりませんでした。
もともと珍しいもの好きでもあった僕は、すぐにネットの海を探して回りました。
もともとαオルゴールを販売していたと思われるサイト(ココ)を発見し、¥37,000で売られていた形跡を見つけるも、販売は数年前に終了。
αオルゴールの製作者の名前が載っていたので、直接メールで聞いてみましたが、やはり販売再開のめどは立っておらず、手に入れるのも難しいとのこと。
数々のネットショッピングやオークションサイト、オルゴール同好会やオルゴール博物館のサイトに至るまで、調べ尽くしてもαオルゴールの影さえ掴めませんでした。
結局、僕はオルゴールを諦めてしまったのです……。
と思った矢先、なんと販売しているショッピングサイトを見つけました。
しかも4つも。
おまけに、そのどれもで定価¥37,000のはずのαオルゴールがなぜか¥20,000で売っています。
いや怪しいだろ。
後輩たちに嬉々としてこのことを話しますが、
「どう考えても怪しい」「詐欺に見える」「やめとけ」
などと賢明極まりないことしか言ってくれません。
それでも僕は止まらない。
若さって怖いですね。
ついには、購入したい旨のメールを送ってしまいました。
後日届いた返信には、ここに払ってくださいと銀行口座が指定されていました。
いや異国情緒溢れる名前だな??
流石の僕も疑い始めました。
よく考えたら、サイトの名前も「dacjponrions」「hanfaleca」など、読み方すらよく分からない意味不明な名前です。
あとメールの文章がやや日本人離れしてるし。
そうです、詐欺でした。
会社名で照会したら、全く関係のない会社の名義を流用していたようです。
サイバー警察に通報しておいたら、数日後にサイトがなくなってました。
こうしてあやうく詐欺にまで遭いそうになり、ついに僕はαオルゴールを手に入れるのを諦めてしまいました。
運命の達磨オルゴール大学
もう諦めようと思っていた折、一つのサイトを偶然発見しました。
それこそが、運命の「達磨オルゴール大学」だったのです。
見てみると、今までのサイトのような怪しさは微塵もなく、ただただオルゴール愛溢れる色々な写真や文章が踊っていました。
そして、なんとあのαオルゴールが当たり前のように売っているではありませんか。
値段は¥100,000。
共鳴箱にこだわっており、高級になっているようでした。
とても買える値段ではないが、猛烈に欲しい。
ダメ元で、社長さんにメールしました。
内部のメカニックだけでも安く譲っていただけないか。
我ながら無理な頼みだったと思います。
ついに手にした喜び
そして数日後、僕の家にはあの愛機、αオルゴールが届いていました。
社長さんのご厚意で、一台だけ残った練習機を¥30,000でお譲りいただいたのです。
本当に、本当にあのときの感謝は忘れません。
その日は一日中、αオルゴールと戯れていました。
本当に嬉しかった。
せめて愛されて
そんなオルゴールが、昨日盗まれました。
鍵を掛けたとは言え、大学のロッカーに置いたのがまずかったのかも知れません。
完全にこのオルゴールを狙っての犯行でした。
前から狙われていたのだと思います。
現在企画中の「オルゴールコンサート」、主役を飾るはずだったαオルゴールを失いました。
いつまでも落ち込んではいられませんが、犯人が見つかる見込みは低い気がしています。
せめて元気で愛されて、僕のオルゴール。
お前で舞台を飾りたかったが、何とかコンサートは実行するから!
元気で!!