名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

2019-01-01から1年間の記事一覧

新海誠は嫌いじゃないが「君の名は」は嫌いだ 〜新海誠の芸術論〜 【トイドラ的映画監督批評[前編 2/2]】

~この記事は前編1/2の続きです~ nu-composers.hateblo.jp 目次 「君の名は」を観る 陰キャを切り捨てるという勝算 お金が文化を喰っていく 結局「君の名は」の何が悪いの? 炎上対策(切実)と次回予告 「君の名は」を観る 「君の名は」のあらすじは、Wiki…

新海誠は嫌いじゃないが「君の名は」は嫌いだ 〜新海誠の芸術論〜 【トイドラ的映画監督批評[前編 1/2]】

まず謝らねばなりませんが、僕は新海誠も嫌いです。 いきなり嘘をついてしまいました、どうかお許しください……。 しかしながら、この記事のタイトルにはちゃんと意味があります。 僕は個人的に新海誠はクソ嫌いですが、だからと言って彼をアニメ映画界から排…

音楽とドラッグ

いま風邪ひいてるんですよ。ごほごほ。 しかも全然治らないので抗生物質の投与も視野に入れ始めました。 ところで、抗生物質って薬じゃないですか。 薬といえばドラッグですよね。 ということで音楽とドラッグの話をしましょう。喉痛え。 おくすりのみたい!…

ノイズと音楽の間に~チェルノウィンの系譜

Chaya Czernowin 彼女の名はChaya Czernowin、ハーバード大学の教授である。1957年にイスラエルに生まれ、音楽の道へ進んだ。今世界で最も権威ある作曲家である。今回は最新の現代音楽シーンの中核である彼女を中心に書いてみようと思う。はじめに断っておく…

ちょっとだけ覗く現代音楽 - 歴史編2 百花繚乱の時代へ

キノコおじさん 前回はキノコおじさんの登場までを簡単に振り返りました。 ここまでを纏めてみると次のように言えると思います。 ①調性音楽の歴史が続いている ②調性を壊したくなる ③調性の代わりの原則を見つける ④全部計算で縛ってみる ⑤だるいから好き勝…

オルゴールコンサート来場者アンケを読む

先日、我々名作同は第2回「オルゴールコンサート」を終えました。特にトラブルもなく、多くの方に来てくださって、とても楽しいコンサートとなりました。いやーほんと良かった。 演奏の風景 演奏後(しっちゃかめっちゃか) nu-composers.main.jp それはそう…

渋谷系の時代① フリッパーズ・ギター編

90年代と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? バブル、小室ブーム、ジュリアナ東京、世紀末......などなど様々ありますね。 そんな文化乱立時代の90年代に花開いた音楽ジャンルの一つに「渋谷系」があります。 まあ正確に言うと ジャンルではないんですがね…

アイスランドの二人の女性作曲家を聴く

アイスランド アイスランドの作曲家と言って数人の名前を挙げられる人はクラシックフリークでもかなりの通だろう。 実にアイスランドのクラシックの歴史はまだまだ短く国歌を書いたことでも知られるSveinbjörn Sveinbjörnssonが生まれたのが1847年で古く最も…

ちょっとだけ覗く現代音楽 - 歴史編1 ジョン・ケージ登場まで

現代音楽って聞いて何を思い出しますか? 一般的な現代音楽のイメージ ・難しい!・音楽に聞こえない!・吐き気がするっ!・笑っちゃうwww・真面目に何やってるの?・どうしてこうなった?・あれでお金もらうの?・詐欺にはならないの? ……………す、すいません…

谷川俊太郎作「なんでもおま〇こ」は俗悪な詩なのか

谷川俊太郎を知らない人はいないでしょう。 日本で最も高名な詩人の一人で、小学生の国語の教科書に載っている詩「いるか」や、合唱曲としても有名な「生きる」 、鋭い切り口で孤独をとらえた「二十億光年の孤独」なんかが有名ですね。 彼の詩は、非常にシビ…

このブログについて

さて、第1回の記事があんな内容になってしまったので、あまりにも今更ですが、改めてこのブログでやっていくつもりのことについて話しておきたいと思います。 我らが名大作曲同好会は、現時点で12名の会員を抱えています(2019/06/10現在)。 普段の活動はほ…

はじめての曲作り

今回は真面目に、当会のオルゴールコンサートのために作った曲を紹介します。 33弁オルガニートとピアノのための小品集「ノスタルジア」 33弁オルガニートとピアノのための小品集「ノスタルジア」より「灯り」 この小品集は「夕暮れの公園」、「灯り」により…

ジャパノイズ入門

これまでのあらすじ 20XX年、日本はガラパゴス化しまくり、 もう手遅れなくらいに音楽後進国となってしまった。 しかしながら、ノイズミュージックにおいて、 かつて日本のものはジャパノイズと呼ばれ、一定の評価を得ていたそうな。 ということで過去の栄華…

タイトル考 ~芸術家の苦悩の果に~

タイトルを考える |タイトルとは 芸術家にとって最も大切かつ最も厄介な問題が 「タイトル」 である。 熟慮に熟慮を重ね、言葉を手繰り寄せ、 自作を表現するにふさわしいものを撚る。あるいは至極適当に意味もなく。色々なスタイルはあれど、 タイトルを付…

自作解説「塑像 ~オルガニート独奏のための~」

塑像 |作曲動機 「オルゴールのコンサートがしたい」 会長のレッスン中の一言がこの曲を書く動機の最も原初のものであるのは間違いない。 トイドラは私の作曲の弟子である。 そして彼は現代芸術に理解を示し 類まれな音楽への才能を武器に 新たな音楽の地平…

盗まれたオルゴールと思い出めぐり

それは、名作同が発足する1年半前のこと。 どういう経緯だったかは分かりませんが、僕はある楽器の存在を知り、さんざん苦労してやっとその楽器を手に入れました。 超稀少楽器「αオルゴール」との出会いです。 そして昨日、その愛機が。 盗まれました。 最…