名古屋作曲の会(旧:名大作曲同好会)

“音楽”を創る。発信する。

〈作曲ものまねシリーズ〉#1 ベートーヴェン

どうも、名作会会長の冨田です。

自分は今年度大学を卒業してから、作曲家として活動すべくインプットを重ねる日々を送っております。

「インプットを重ねる」というのは、具体的にいうと優れた作曲家の曲を分析して作風を真似してみるということです。

実際やってみるとなかなか面白いものがあり、ちょっとシリーズものとして解説してみようと思います。

今回はかの有名なベートーヴェンをものまねしてみましょう。

耳の聞こえないベートーヴェンが不屈の精神で骨伝導を発見するまでの物語 (2021年6月14日) - エキサイトニュース

 

ベートーヴェンとは

ベートーヴェンLudwig van Beethoven)は、楽聖とも呼ばれるドイツの作曲家です。

1770~1827年を生き、古典派の集大成をなすと同時にロマン派への先駆けともなりました。

神経質で繊細な性格を表すように、重厚で暗く時に荒ぶるような楽想を見せるのが印象的です。

20代から難聴を患い、その後完全に聴覚を失ったというエピソードもよく知られています。

ソナタ形式に通じており、たいへん構成力のある作品を書きあげます。

 

さて、今回彼の作風をモノマネするにあたり、参考にした曲は「月光ソナタ」こと「ピアノソナタ第14番 『幻想曲風ソナタ』」です。

特徴点の分析

全体

まずは全体的なことから。

このソナタは3楽章制ですが、同じ主題が別々の楽章に共通で使われています

特にわかりやすいのは、第1楽章と第3の冒頭部分です。

どちらの楽章でも、分散和音+低音の順次下行という音型が見られます。

第1楽章冒頭

第3楽章冒頭

また、第1楽章の第2主題は第3楽章でもそのまま用いられています。

半音進行が印象的で、絶妙な不協和音を生じる不思議な主題なのですが、これが第3楽章でも再現されることで、ある意味伏線が回収されたような感じがしますね。

第1楽章の第2主題

第3楽章29小節目

このような、楽章間で使い回される循環主題ベートーヴェンの大きな特徴です。

 

また、古典的なソナタでは第1楽章はふつう明るいものなのですが、この月光ソナタの第1楽章は大変重々しく暗いです。

ベートーヴェンの挑戦的な一面が現れているといえます。

☆POINT☆

・循環主題

・伝統的な形式に対する反抗

 

第1楽章

さて、第1楽章の特徴を見ていきます。

なんといっても一番の特徴は、主題がぜんぜん旋律的ではないということでしょう。

きわめて鈍重な分散和音から始まり、そのあと第1主題が奏されますが、旋律的な要素はほぼありません。

同じ音が「デーンデデーン」と連打されるだけです。

たいへん主張が穏やかで、主題としては最低限のものだといえます。

ただ、茫洋とした均質な音像の中で、「デーンデデーン」というリズム感が印象的に響くので、結果的に耳に残る主題となっています。

 

そして、その背景の和声はとても不思議なものです。

古典音楽ではなかなか考えられないような複雑な転調もあり、かなり茫洋としています。

古典のソナタでは転調する調が決まっているのですが、そうした原則は破られています。

とても変わった転調

 

また、メロディの音が第5音高位になることが大変多いです。

ふつう、ある和音が鳴っているとき、メロディはその和音の根音か第3音を鳴らすのが美しい響きになるのですが、この曲ではあえて硬い響きになる第5音が好んで用いられています。

さらには、高音だけではなく低音も、第5音を保続することが多いです。

第5音高位の第1主題

属音保続部

これらのことから、ベートーベンは属音や属和音の響きを強く意識していたことがうかがえます。

つまり、解決の響きよりも緊張の響きの方に重点を置いていたということです。

☆POINT☆

・旋律的な動きのない主題

・複雑な和声

・属音機能への傾倒

第2楽章

第2楽章は、このソナタの中で唯一明るい楽章です。

冒頭からいきなり示される直截な反復進行がかなり印象的で、果敢な反復進行はベートーヴェンの得意とするところだったと分かります。

冒頭の反復進行

また、この第1主題はきわめて美しい旋律動向でできています。

ベートーヴェンが対位法の名手だったことが分かりますね。

旋律的な要素が最低限しかなくても、対位法的にリズムや和音を絡み合わせることで、聞きごたえのある音を作っているというわけです。

こうした対位法は、中間部にも見ることができます。

やはり旋律的要素はかなり希薄であるにも関わらず、係留音を使いこなすことで対位法的な面白さが生まれています。

中間部

☆POINT☆

・効果的な反復進行

・対位法的な処理でシンプルな旋律をおもしろく

第3楽章

第3楽章は、まず第1主題がかなり特徴的です。

なにしろ、ただの駆け上がる分散和音が第1主題となっているわけですから。

やはり旋律的な要素の薄い主題が用いられています。

第1主題

それに対し、第2主題はとても旋律的なものが示されます。

ややモーツァルト的な、転がるような旋律ですね。

第2主題

が、この第2主題もすぐに変奏されていき、結局は旋律的要素のないものになってしまいます。

変奏された第2主題

和声的には、ナポリのII、つまり主調の半音上をrootとするメジャーコードが多用されます。

ベートーヴェンナポリ学派の影響を受けていたことの証左ですが、この和音は第1楽章にもかなり多用されています。

和音どころか、ナポリのII調への転調さえ見られます。

これはなかなか果敢です。

ナポリのII調(半音上)への転調

結果的に半音の動きがやや多めになり、妖艶な響きを形作っています。

 

また、特にカデンツァ付近が分かりやすいですが、曲全体に直接的なdim7の響きがたくさん見られます。

カデンツァ付近

ベートーヴェンはこの響きが好きだったようです。

☆POINT☆

・第1主題は和音主題

・第2主題はモーツァルト的な旋律主題

ナポリのII・dim7の和音を偏愛

 

ものまね曲、完成

……以上のポイントを踏まえて、ベートーヴェンをものまねしてみました。

この曲は僕が作ってみた曲です。

ちゃんとベートーヴェンっぽく聞こえるでしょうか?

まあ、ちょっと月光ソナタに寄り過ぎた気もしますが、おおむねいい感じではないでしょうか。

こうしたものまねはを通して、音楽的な理解が深まっていけばいいな~と思います。

皆さんもぜひ、ベートーヴェンっぽい曲を作ってみては?

作ったらぜひ僕に聞かせてください

 

 

なお、「月光ソナタ」の詳細な分析はこちらにアップしています。

興味があれば見てみてください。

ブックオフオンラインの宇宙SFラノベガイドが凄すぎる件

みなさんこんにちは、gyoxiです。

皆さんは小説、特にライトノベルはお読みになるでしょうか。実は私、大の活字嫌いで本という本は当分読めていません。それでも「このライトノベルの特集、マジですげえ!」と思うページを見つけたので今回はそれを共有したいと思います。

 

そのページとは...

 

宇宙SFライトノベル完全ガイド 

宇宙SFライトノベル完全ガイド

 

 

こちらはブックオフオンラインライトノベルに関する特集記事の一つだ。そのタイトルの通り宇宙SF系作品のライトノベルの紹介ページで、スペースオペラ」「ファーストコンタクト」「宇宙人と交流」など、8つのジャンルに分類されて紹介されている。ちなみに各作品タイトルをクリックすると商品購入ページに飛ぶことができる(商売上手ですね)。

 

そしてなんといっても凄まじいのがその紹介作品の幅と紹介作品数だ。このページには1967年から2017年まで計364作品が紹介されているのだ。1967年って私が生まれる遥か遥か前ですよ。そんな時代からラノベってあったんだな...と少し感動しました。また、これだけの数ライトノベルを紹介されりゃ、活字嫌いの自分でも流石に心を惹かれます。ズラッと並んでいる表紙を眺めているだけでもなんだかとてもワクワクさせられました。

 

ちなみにこの特集では紹介作品を纏めたCSVファイルも配布しているので、是非活用していただきたい。


特集の紹介はこんなところだが、せっかくなのでこの特集にある作品の中で自分が(アニメで)観たものや(アニメで)これから観てみたい作品をピックアップしてご紹介したい。

 

王立宇宙軍 オネアミスの翼

今私が今秋の4k版の公開を今か今かと楽しみにしている作品。あの庵野秀明氏が作画監督をしており、当時からアニメを視聴していらっしゃる方に「この作品は是非観るべきです!」と教えていただいた作品です。予告版からして既にハイクオリティすぎるので早く観に行きてぇ...!

 

宇宙一の無責任男シリーズ(無責任艦長タイラー)

(アニメ版が)私の大好きな作品。無責任で奔放な性格のジャスティ・ウエキ・タイラーが宇宙航行艦「そよかぜ」の艦長を務めることになるのだが... タイラーの側で巻き起こる事件には毎回ドキドキさせられそれを可憐に(?)解決してゆく様を見るのは実に痛快!!!次回予告の最後に表示される「音と映像を愛するすべての人にささげます」という言葉がその完成度を物語っていると言っていいだろう。

 

天地無用!シリーズ

1992年のOVA作品から始まったが、TV版やらスピンオフ作品やらが作られまくったので、今では一大超クソデカコンテンツと化している。シリアスな話もあるが基本ドタバタしていて観ててとても面白かったです、観たのは一期だけだけど。オープニング曲がインストでとにかくカッコいいので是非一度聴いてみてください。

 

星界の紋章

2話の途中まで観ました。まだ本編の面白いであろう所には到達できていません...がしかし、このアニメのOP曲が歌詞なしオーケストラ曲でとにかくかっこいい!様々な分野で活躍されていた服部克久氏の作曲です。このオープニング曲を聴くだけでも壮大な宇宙物語が想起されて非常にワクワクします。早く観なきゃ...

 

カウボーイビバップ

シートベルツが演奏するOP楽曲があまりにも有名なこの作品。太陽系を飛び回る賞金稼ぎ達の物語となっております。登場人物の言動がとにかくハードボイルドで超カッコイイ。主人公の仲間のフェイ・ヴァレンタインの一連の身の上話、特に18話「スピーク・ライク・ア・チャイルド」は観ててマジで泣きそうになりました。演技してた林原めぐみさんはすげー恥ずかしがってたらしいですが...

 

涼宮ハルヒの憂鬱


皆さんご存知、涼宮ハルヒの憂鬱です。宇宙要素はそんなにないですが、この特集では「(宇宙人・異星人・異星生物との)交流」の項目で紹介されています。登場人物の長門有希ヒューマノイド・インターフェース(≒宇宙人)という設定ですね。因みにこの作品は私の浪人時代の大学入試前夜に観ていた作品です(何やってんだ)。

 

ミニスカ宇宙海賊

モーレツ宇宙海賊というタイトルでアニメ化もされている作品。ももクロがOP・EDを歌っていることでも有名。実はこのアニメ、映画演劇部門・メディア部門で星雲賞を受賞しているすごい作品なのです。内容も、ガッツリSF!スペースオペラといった感じで星雲賞受賞も納得の一作品です。

 

 

おわりに

さて今回はブックオフオンラインの宇宙SFラノベガイドについて特集した。本好きラノベ好きの方は是非この特集ページで見知らぬ宇宙の物語をdigってみてはいかがだろうか?

 

ではまた!

ナンダコーレとは何ぞこれ

スペースシャワーTVというCSのテレビ局がありますね。

ロゴ

日本初の音楽専門チャンネルとして名高く(?)、基本的にはPVを垂れ流し続けています。

が、アーティスト特集やよくわからないバラエティー番組、マニアックなイベントの中継などもやっていて私は割と好きです。

かつて、その中でも一際意味のわからない番組が存在しました。それが突撃3分番組「ナンダコーレ」だ!!!!

 

......とは?

説明するより見るのが早いです。百聞は一見にしかずと言いますしね。ということで初回の映像をご覧いただきましょう。


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いかがでしたか?

竜巻太郎というドラマーの紹介であるのはかろうじてわかるのですが、アクの強すぎる某国際問題のパロディによって全てがナンセンスの虚空に消えました。この感情を言葉で表すとしたらそう、まさに「なんだこれ」ですね。はい、そういう番組です。

 

ここに私のお気に入りの放送回ベスト3を紹介します。

 

ばばん


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選定の理由:最もくだらないから。「大切なのは楽しもうと思うこと」を免罪符にするな。

 

アルパカ


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選定の理由:ナンダコーレという番組名に最も相応しくシュールだから。森に迷い込んだ少女は、見てはいけないものを見てしまいがち。

 

テルミン太極拳


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選定の理由テルミンを何かの動作をトリガーとして発音させるのはアイデアとして面白いから。普通に真似したい。

 

 

これだけ抽出して紹介しているとマジでただのふざけた番組に思われるかもしれませんが(実際そうですが)、ただナンセンスをやるだけでなく、一般人からしたら「なんだこれ」となるような前衛芸術の紹介も一応しています。


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あと芸術や音楽に限らずサブカルなども少々


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セーラちゃんになる前のまぼろし博覧会館長の貴重な発声シーンが見られます。

 

こんな感じのが50本YouTubeに上がってるので、どうしても暇で仕方ない時などに見るといいのではないかなと思います。

 

おわり。


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シリーズ我が国の作曲家006「栗原泰」

我が国の作曲家

 この研究をしているとしばしば出会うのがほとんど資料が残っていない、もう存在を肯定することも難しいという作曲家である。
 そんな作曲家の書いた「楽譜」がと登場してしまうと、誰かのペンネームでない限りその作曲がいた事になってくるので、調べ上げなければならなくなる。


今回テーマにしているのはまさにそういうタイプの作曲なのである。

 

栗原泰


「栗原泰」

 

 この名を聞いたことがある人がどの程度いらっしゃるのだろう。
 私も当初は彼の書いた「Walzer Sakura」という曲の楽譜を目にしただけで、いつもどおりある程度の情報は出てくるだろうと考えていた。しかし調べても調べても彼の横顔はわからずじまい。さくらさくらをテーマにした件のワルツを書いた人以上の情報が見えてこないのである。

Walzer Sakuraの冒頭

 そこで調査の範囲を広げ、Twitterでいつもお世話になっているErakko.I.Rastas(@erase_m)さんにも聞いてみることにした。その結果おぼろげながらこの作曲家の横顔が見えてきた気がする。

 まず生年についての類推だが、直接生年に触れた資料は見つかっていないことをお断りしておきたい。これについては前述のErakko I. Rastasから教えていただいた東京音楽学校の資料である「東京音楽学校一覧」である程度想像ができる。

 まず東京音楽学校に入学した年であるが

dl.ndl.go.jp

この資料から1925年(大正14年)に「甲種師範科」に入学していることがわかる。

 

dl.ndl.go.jp

 そしてこの資料から1928年(昭和3年)に同科を卒業していることがわかる。
 同期に町田等がいることから、その生年と入学年をあわせて鑑みると1900年代初頭、1903年頃~1907年頃の生まれであろうと思われる。
 そして「甲種師範科」の卒業なので中等教員の育成をメインとした科ということから、教員になったのではないかと想像される。更に出身地についても「埼玉→東京」となっているので、埼玉生まれで東京に移住したと思われることがわかる。

 

 この資料から読み出されたことを更に掘り下げてみようと思う。

 

http://www.linkclub.or.jp/~taka-org/workscd.htm

 

 上のページを見ると「栗橋市出身の栗原泰」との記述があり、静御前に関係する史跡の催しで彼の書いた「静を偲ぶ」という曲が歌われているとのこと。なるほど埼玉県出身という点についての裏付けになるはなしだろう。

 

dl.ndl.go.jp

 今度は昭和16年発行の「音楽年鑑」であるが、ここに彼の名の記述がある。
 東京音楽学校出身で教師していることと、当時の住居が牛込区早稲田、現在の新宿区早稲田に居を構えていたことがわかる。これで彼は1900年初頭頃に埼玉県栗橋市に生まれ、その後東京都新宿区早稲田に居を構え東京音楽学校甲種師範科に大正14年に入学、昭和3年に卒業し教員の道を歩んだ。というところまでまとめられる。

 続いて教員になったという点から、校歌を手掛けたのではないかという類推ができるだろう。この点から教員としての彼を少し追いかけられるかもしれない。

 

www.city.kazo.lg.jp

 真っ先に見つかるのがこのページである。


「埼玉県加須市立元和小学校校歌」

 作詞は「栗原浩」とあり兄弟かもしれない。

 そのほか「さいたま市立馬宮小学校校歌」、「さいたま市立桜木中学校応援歌」を書いていることがわかる。また教員として幸手市幸手中学校、蓮田市立蓮田中学校に奉じた記録がある。どうやら出身地の埼玉に錦を飾ったようだ。このあたりの学校を歴任しているのは昭和30年代であり、その後の記録が途切れることから、その頃なくなっているのかもしれないし、引退し表に残る活動から遠のいたのかもしれない。没年については生年より遥かに調べにくいものであり、現時点で定かではない。ただ生まれ年を考えればまだ存命と考えるのはちょっと無理筋だろう。

 

 いかがだったであろうか。

 

 調査としては未完成であり、内容も充実しているとは言いかねるが、こういった忘れ去られてしまった作曲家について、その調査の方法や過程とともに、栗原泰の横顔を少しでも多くの人に知っていただければ幸いである。

 さて最後にそんな栗原泰の書いたピアノ曲「Walzer Sakura」を聴いて、今回を閉められえばと思う。

 

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地下のライブハウスでバイトし始めた

お久しぶりです、「名古屋作曲の会」主宰の冨田です。

今年度で大学を卒業したので、うちの会の名前を「名古屋作曲の会」とすると同時に、バイト先を探し始めました。

(音楽をやるために就職はしなかった)

それで名古屋の地下ライブハウスで働きはじめました。

せめて何か音楽とつながりのある職場が良かったので……。

そのライブハウスはほとんど地下アイドルの公演しかやらない小屋で、僕は地下アイドルたちのライブを眺めながらドリンクを注ぐ仕事をしています。

しかし、やってみると変わった業種で、なかなか面白い。

地下のライブハウスには未知の世界が広がっています。

今日はバイト先での発見をあれこれ書いてみます。

 

地下アイドルは礼儀正しい

バイトに行くと、本番前のアイドルたちが準備に励んでいます。

そんな彼女らは、バイト風情に過ぎない僕にでも

「お疲れ様です!」

などとたいてい労いの声をかけてくれるので、僕は驚きました。

なんというかこう、地下アイドルってもっと育ちが悪いイメージが……というのは完全に僕の偏見だったわけですね。

お見それしました……。

 

人によっては、わざわざ舞台関係者全員のもとを回って自己紹介&深々とお辞儀までしているアイドルもいます。

「よく考えたら、エンタメで身を立てようと頑張ってるという意味では僕と一緒なんだな……」

と気づき、自然と応援したい気持ちになりました(とはいえアイドルの追っかけとかはしないが)。

しかも、人気なアイドルほど挨拶などの礼儀もちゃんとしている、というのはなかなか示唆に富んでいます。

 

意外と曲が良い

正直、僕はアイドルソングが嫌いです。

なぜって、単純に音楽的につまらないので……。

だから、地下アイドルの持ち歌なんてよっぽどつまらないだろう、とたかをくくっていました。

しかし、むしろ歌に関してはマイナーアイドルの歌の方がカッコいいかも知れません。

もちろんグループによるのですが、意外とカッコいい歌がたくさん聞けて、バイト中も普通に音楽を楽しんでいます。

まあ、もちろん人気のないグループは歌のクオリティもそれなりですが……。

 

客層が広い

地下アイドルを見に来ている人なんて中年のおっさんばかりなのでは?……と思っていました。

しかし、実際には若い男性が3割、中年の男性が5割くらいで、残りの2割は若い女性、中年の女性、家族連れ、おじいちゃんなど様々です。

意外と、「地下アイドル=サブカルチャー」とは見られていなくて、普通にライブを楽しみに来る感じで気軽に来場する人が多い印象です。

 

仕事が異様に楽、だが……

バイトをする身としては、業務内容がめちゃくちゃに楽なのが気に入っています。

なにしろ、ライブが始まったら基本的にやることがないので、本を読もうがスマホをいじろうが自由です。

社員の人にも、

「この仕事空き時間が多いから、漫画とか持ってきた方が良いよ」

と言われました。

この「ちゃんと仕事さえやればそれ以外はどうでもいい」という感じ、実に業界っぽい感じがして個人的には好きです。

もちろんこれは「努力してても仕事ができなかったらダメ」ということの裏返しでもあるんですが。

 

さて、そんな感じで楽ちんな仕事なのですが、イヤな点もいくつかあります。

まず、出勤時間が前日まで分からないので、臨機応変さが求められます。

次に、給料が安く交通費も出ません。

極めつけは、業務中ヒマすぎて疲れる。

まあこれはいい点とも言えますが……。

 

こんな感じで、ライブハウスのバイトを通して今まで知らなかった世界と触れ合うことができています。

名古屋という土地は、どうやらけっこう地下のライブハウスでのライブが盛んなようです。

興味があれば、一度見に行ってみるのはアリなんじゃないでしょうか。

もちろん、その時はばっちりコロナ対策をしていきましょう。

たいてい換気のカの字もないようなライブ会場なので……。

クラブダンス大百科

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こんにちは。gyoxiです。

最近はクラブカルチャーが盛り上がりを見せていますね。さて、そんなクラブカルチャーと縁が深いのがクラブダンスクラブステップと呼ばれるダンスです。

クラブダンスとストリートダンスとの違いは、どちらかというとカッコよさもありますが「自分が踊って楽しい」に重きが置かれているダンスなんじゃないかと自分は考えています。

そして、そんなクラブダンスには多種多様なジャンルが存在しています。なので今回はそんなクラブダンスを(あまり踊られていないものも含めて)一挙紹介してみたいと思います。題して...

クラブダンス大百科

 

 

 

メルボルンシャッフル

まずそもそも、Shuffle=引きずる・擦るという名前の如く、足を地面に擦らせて踊るのがShuffleだ。最もイメージしやすいのはPERFECT HUMANの"We〜 live in Tokyo"の動き、と言えばイメージがつきやすいだろうか。

 

 

そのShuffleの動きをシンプルに、そして深く追求したのがMelbourneShuffleだ。MelbourneShuffleには様々なスタイルが存在しているのがその深さを物語っている。そのスタイルをいくつか紹介しよう。

Rockers

よくクラブで踊られているのがこのスタイルだ。他のスタイルに比べて左右前後の移動幅が少なく、所々にトリックが入っているのも特徴だ。

 

・AUS

最もダイナミックな横移動をするのがAUS style(Australian style)だ。また、このスタイルで踊る人はパーカーとphatpantsと呼ばれるパンツを着るという人が多く、このスタイルの特徴の一つとなっている。

 

・MAS

足を高く上げる独特なシャッフルをするのがMAS style(Maraysian style)だ。Shuffleの途中に挟まるトリックが種々多様なのも特徴の一つだろう。

 

カッティングシェイプス

ランニングマンとTステップというシンプルな構成のMelbourneShuffleに比べ、CuttingShapesチャールストンやクラブ、ムーンウォーク(?)等の多彩なトリックと共に踊られる。TikTokTwitterでよく観る踊りといったらコレ!という人も多いのではなかろうか(TikTokやってないから知らんけど)。主にDeepHouseやFutureHouseに合わせて踊られる。

 

ドラムンステップ

その名の通り、BPM175前後のDrum'n'Bassに合わせて踊られるのがこのDnBStepだ。このダンスはDrum'n'Bassの他にもロック界隈やボカクラ(ボカロ系クラブ)、アニクラ(アニソン系クラブイベント)でも踊られているらしく、知名度は意外と高い。

 

ハッケン

オランダ語の「木を切る」という意味の単語"Hakkuh"由来のダンスであるHakken最もクレイジーなダンスの一つであると言えよう。そのファッションスタイルもとても特徴的だ。このPVを見ればその文化を垣間見ることができる。

主にBPM180以上のgabbaやHardcoreTechnoに合わせて踊られており、BPM200越えのハイスピードで踊っている人も少なくない。因みに私はこのダンスが一番好き&得意です。


 

ジャンプスタイル

ジャンプと付く名の通り、ピョンピョンと飛び跳ねるように踊るのがJumpstyleだ。1997年にベルギーで生まれたダンスらしく(Wiki参照)、Jumpstyleというジャンルの音楽(BPM140程度のgabbaやhardstyleに近い音楽)に合わせて踊られる。もちろん、hardstyleに合わせて踊られることもある。

 

テックトニック

クルクルと手を回したりして上半身で魅せるダンスがこのTecktonikだ。2000年代後半にフランスで流行したダンスで、主にTechnoやTranceに合わせて踊られている。


インダストリアル

皆さんは海外ミームの動画でこの動画を見たことはないだろうか?

実はこれ、Industrialという立派なクラブダンスの一派なのである。Cybergothを身に纏い、ハードサウンドに合わせて踊っている様子はとてもカッコイイ。

 

リキッド

手をウネウネさせ、まるでその動きが液体であるかのように魅せるのがLiquidだ。その不思議な手の動きは不思議で、そして魅力的だ。

 

レイバーステップ

その名の通り、レイヴで踊られるのがこのRaverStepだ。個人的にはpsychedelic tranceとの相性がバツグンなように思うが、HardstyleやMakinaなどのハードサウンドに合わせても踊られている。


マズ

Hardstyle等のハードサウンドに合わせて上半身を使ってリズムを取るダンスがMuzzだ。やってみると分かるが簡単そうに見えて意外と体力を消耗するダンスだ。



オタ芸

皆さんご存知、オタクが踊るダンスといえばオタ芸だ。実はオタ芸にも“サイリウムダンス”と“地下打ち”の二種類が存在し、皆がイメージするサイリウムを持ったオタ芸が前者、サイリウムを使わずに全身でキモい動き(褒め言葉)をするのが後者だ。

 

ツーステ

テンポの早いロックに合わせて高速で脚を蹴り出すのがツーステだ。このダンス(ステップ)は主にロック系イベントや野外フェスなどで踊られているので、野外フェスなどのイベント参加経験者なら知っているのではないだろうか。

 

 

グロースティッキング

オタ芸のサイリウムダンスとも近いのがglowstickingだ。サイリウムを使ったダンスで、サイリウムに紐をつけてポイのように振り回すのがstringing、手で直接サイリウムを持ち、身体に沿わせるように動かしたり投げてキャッチしたりするのがfreehand glowstickingというダンスになる。

 

 

以上!

 

今回は自分の思いつく限りクラブ等で踊られているダンスを紹介しました。さて、皆さんは「これカッコいい!」「このダンス気になる!」となったものはあったでしょうか。もしあったら練習&クラブで実際に踊ってみてください。もちろん周りの様子もしっかり見てTPOを忘れずに

それでは楽しいクラブライフを!

ドロステ

時計を見ると朝の7時でした。ああ、大学へ行かなければならない。私は居室を出て最寄り駅に向かいました。今日も良い天気です。

 

改札を抜けるとそこは幼稚園の前でした。なぜこんなところにあるのだろうと疑問に思いつつ、大学に向かうべく園内を抜けようとすると、ある教室から声が聞こえてきました。窓から覗いてみると、どうやら三者面談を行っているようでした。
「このままだと将来碌な大人になりませんよ」
そう言うのはかつて私を受け持っていた保母の先生でした。すると彼女はこちらに気づき、
「ほら、こんなふうに」
と言い、私を指差しました。すると子供とその親もこちらに顔を向けました。彼らは幼少期の私と父でした。
私は教室内に進み出て、「ろ、碌な大人になれなくて、申し訳ありません」と謝罪しました。

少しの沈黙の後、「やりたいことをやっていれば、それでいいんだ」と父は答えました。幼い私は父の後ろに隠れて恐る恐るこちらを伺うだけでした。

 

やりたいこと。

 

やりたいこととはなにか。

 

当時絶対的な存在だった先生に、反撃を試みること。

 

そこで私は先生を押し倒したのです。やってみると案外簡単なものだな、と私は思いましたが、あたりどころが悪かったのか先生はそのまま動かなくなりました。私は驚いておもわず机にぶつかり、ハサミを落としてしまいました。ハサミは先生だったものの胸部にブスリと刺さりました。赤い液体が衣服を、床を染めていきました。

(これで私の過去も報われるだろうか......)

 

「やっていいこと悪いことがあるだろう」と父は言いました。
「ごめんなさい」
殺すつもりも刺すつもりもありませんでしたが、他にやりたいことはありませんでした。
私が立ち尽くしている間にも、血は止めどなく溢れ出て床を染めていきます。
私は床がこれ以上汚れてもいけないと思い、さっきまで先生だったものを片付けることにしました。しかし一体なぜかそれは私が所属する研究室の教員なのです。あたりもいつの間にか研究室の居室になっていて、ラボのみんながこちらを見ていました。
「こ、これには理由があるんだ」私は弁明を試みました。
「全部おまえがやったんだ」と彼らは言いました。
よく見ると、その教員だけでなく他の皆の胸にもハサミが刺さっていました。早くなんとかしなければ。私は研究用のアルコールを一面に撒いて火を放ちました。これで何もかも燃えて無くなってしまえばいいのだけれど、そうは上手く事は運ばないんだろうな。

 

炎の向こうで壁掛け時計が鳴っています。
時計を見ると朝の7時でした。ああ、大学に行かなければならない。私は居室を出て最寄り駅に向かいました。今日も良い天気です。